ざまぁされた悪役令嬢の息子は、やっぱりざまぁに巻き込まれる

たまとら

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学園

1 はじまる

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静謐な図書室に、
「きゃっ☆」と、声が上がった。
同時に本好きには破滅の音…
バサバサ ドサドサと本が床に叩きつけらる音が連打される。


………


静かだった図書室の中は、ゴクリとした緊張の消音になった。
本好きの内気な生徒達の視線の先には、目を見開いて本を胸に抱き締めて立ちつくすプラチナブロンドの少女と、散らばった本の中でしゃがみ込んだピンクブロンドの少女がいた。


「ひっどぉい。何でこんなことなさるんですかぁ」

ふわふわしたピンク頭が、ローズピンクの瞳をウルウルと揺らす。
ぽろりんと丸い涙が、その可愛い頬に滑り落ちた。

プラチナブロンドの少女は、呆気に取られたように目を見開いている。

その場にいた者は、いきなり始まった寸劇に口を開けて立ち尽くした。



「大丈夫かぁ!」

野太い声が神聖な図書室を切り裂いた。
ドカドカと足音荒く、人が走ってくる。
赤褐色の金髪を先頭に、ガタイの良い三人が走って来た。
すちゃっとピンク頭の前で片膝をつく。

「ザ、ザラドさまぁ」

甘ったれた声で泣き濡れた顔を上げると、三人は ぬっ‼︎ と、固まった。

「私ぃ、本を探していたらぁ、シャルア様が足を掛けましたぁ。」

ザラドの手を掬い取ると縋り付く。

「怖ぁぁい。」

「ぬあんだってぇ!」

うん、歌舞伎調。

「貴様ぁ。この学園の中でそんな非道な事をっ‼︎」

「お待ち下さい、ザラド様。」

プラチナブロンドのシャルアは、ようやく自分の置かれた立場に気がついたようだ。
~~ちょっと鈍い。

「私、その様な事は致しておりませんわ。」

胸に抱いた本をきゅっときつく抱き締めて、シャルアは首を横に振った。

「違いますぅ。シャルア様は私とザラド様が仲良しなのが気に食わなくてぇ、いつも意地悪なさるんですわぁ。」


焚きつけるピンク頭のセリフに、モブに徹していたレリアは、あっ‼︎ と合点がいった。
これだ。
コレがセバスが言ってた"ざまぁ"というのになってく奴だ‼︎


ザラドは王子で、シャルアと婚約している。
でも学園では一つ年下のリーリア嬢と、いちゃいちゃしてると評判だった。

男三人が、ウルウルするピンク頭を真ん中に円陣を組み、激昂している。


~~五月蝿い。
ここは図書室だ。
私語厳禁の図書室だ。


「貴様!いつまで王子を見下ろしているっ‼︎」

赤毛のマッチョがシャルアに詰め寄った。
膝を付いて抱き合っている二人は、そりゃシャルアを見上げているけどなっ。

そのでっかい手が、怯えて固まるシャルアに届こうとした時。
レリアはすっとその手首を掴むと、そいつの動きを利用して背中にねじり上げた。

ドスン。
床を鳴らして、男が膝をつく。

一瞬何が起こったかわからない顔で。
次にその顔は怒りで真っ赤に染まった。
その男はぎろりとレリアを見返した。

全員がびっくりした顔でこっちを見る。
~~入学以来、今まで地味に過ごしてきた。
まぁ、目立ちたくなんかなかったけどね。

振り解こうと足掻く男の耳元に唇を寄せて囁く。

「武器を持たない女性に挑む事が、騎士としてのお仕事なのですか。騎士としての誇りはどこへ行ったのです。」

そしてザラドの方へ振りかぶると、大きく声を張った。

「僕は見てました。
シャルア様が本をお探しになる後ろに忍び寄って、その女性が手の中の本をばら撒いたのを。」


今まで地味なモブ担だと思われていたレリアの乱入に、図書室は息を呑む音で静まり返った。
そして、直ぐに蜂の巣を突いたような騒ぎになった。
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