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第9話 私は上から見下ろしたい
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結局、あのまま夕食は終わった。
…鼻に箸を突っ込んだままの兄さんと、
…目がしゃちほこのようになった母上さんと、
…トイレに行きたそうな父上さんを残して。
あー。漬け物美味しかった。
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次の日。
私の夢がぶち壊されました。
せっかく、夢現実(仮)の戦国時代に来て、
せっかく、(なんと)姫様になったんだから、
「人がゴミのようだ!!」
と城のあのベランダみたいな所から叫ぶという、大きな夢が。
せっかく、大名の娘(そう、あの父上さんが。あの母上さんの睨みに怯える父上さんが。)になったんだからさー。あの高い城に住んで、
「ありのようにせっせっと働くがよい。
わぁっ、はっはっはー。」
とか言いながら、働く人々を見下ろしたかった…。(言っている人見たこと無いから私が一番だね)
はぁ、私の壮大な夢が…………。
夢をぶち壊してるのは、住んでいる場所だ。
私は今、二の丸という場所の一部の大きな二階建て建物に住んでいる。
…広いちゃぁ、めちゃめちゃ広いし、豪華ちゃぁ、豪華なんだけど。
………納得できない。だってだって、目の前にしゃちほことか、矢倉とか、天守閣とか付いてる立派な城があるのに、だよ。
テレビでも住んでたって、言ってたじゃないか。
何で住まないの~。
人々を見下ろそうよ~。
……とくの記憶だとあの立派な城は最終防衛所で、立て籠りのために造られたものらしい。つまり、戦に負けている時に住んでいるぽっい。
…どうやら、私がテレビで見た城に住んでいた人々は結構大変な状況だったらしい。(そりゃ、「ありのようにせっせと働け」と言っている場合じゃないね。)
……いや、でもまだ遅くない。
住めなくても、中に入って人々を見下ろすくらいは出来るハズ!!
と、言うわけで今日は城に行くことにした。
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…戦国時代は好きだ。
…しかし、そこで生きたいとは言ってない。
あ、る、き、に、く、い、んだよ!
こんの、き、も、の❕!!!
アノね、私走りたいの。具体的にいうと足を60㎝ぐらいガバッとあけて。
決して、それくらいあけようと思って、40㎝しか開かなくて、コケけたい訳じゃあ無いんだよ!(恥ずかしいし、痛いんだよ。)
でね、無理に開けようとすると帯が緩んでくるだよ。階段も登りにくいし。
もう、着物キライ。
もう、戦国時代キライ。
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そんなこと(そんなことじゃあ無いよ!こっちは恥掻いたんだ!)に苦労しつつ、私はやっとあの、立派な城にたどり着いた。
しかし、城の扉の前には、兵士二人の影が………。これでは、城に入れないぞ!
……コミ障、彼氏居ない歴=年齢の安藤佐紀。…ってこの情報は要らないか。
…………どうする!!
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