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「ガルージュ王子!何ぼーっとしているんですか!またステップが遅れておりますよ!」
ガルージュは朝からダンスのレッスンを受けていた。結婚の話が急に進んだせいで、本来レッスンはまだまだ先だと余裕ぶっていたのが裏目に出ている。
カルラーナ家のご令嬢との結婚が決まったのは1ヶ月ほど前。
父親同士が緊急で話し合い、急遽決定したのだ。
ガルージュは父親から聞いた情報と写真でしか、リリアのことを知らない。
会ったこともないのに急に結婚をするだなんてと、ガルージュは内心腹を立てていた。
「わかってるよそんなことくらい!そんな急に言われてできるかってんだ!」
「もう!そんなことでは婚約者様の前で恥をかくことになるんですよ!王子、あなたはもう結婚するという自覚をいい加減持ってください!」
ー急にそんな結婚するだなんて言われて自覚が持てるもんか。父上が言っていた「お前は末っ子だ。好きな人と結婚しなさい」って言うのは嘘だったのかよ
「はあ、今日のレッスンはここまでとします。ステップの練習、よーくしておいて下さいね」
「…はーい」
ガルージュは、カルラーナ家のことは小さい頃から知っていた。行方不明のご令嬢を探してるって言うのと、文房具の事業で成功したというふたつの点で父親からよくその話を聞かされていたからだ。
しかし、ガルージュはリリアの写真を見た時に少し違和感を感じたのだった。
「ガルージュよ、この写真の女性がカルラーナ家のご令嬢リリアさんだ」
父親からそう言われ受け取った写真を見る度にガルージュは幼なじみのレイミーを思い浮かべるのだ。
目元や瞳の色、髪の色が少し似ている。そう思うも、まさかそんなわけないよなと自分に言い聞かせていた。
「ああ、大変なことになってしまった!」
レイミーと勉強をした日の午後、お菓子でも食べようと食堂に向かっていたガルージュ前を父親が急ぎ足で通り過ぎて行った。
変なのーっと思いながら少し気になったりもしたので兄のルージュに何かあったのかとガルージュは聞いてみた。
「おお、ガルージュちょうどいいところに。まずいことになったんだ」
「まずいことって?」
「まあ簡潔に言うならお前の婚約者が変わるかもしれんな」
「は?」
「聞いて驚けよ…もし婚約者が変わったとしたらお前、レイミーちゃんと結婚するかもしれないんだ」
「…えっ?なんでレイミー…?……………まさか」
「ついさっきカルラーナ家の行方不明だったご令嬢が見つかってね、それがお前が片思い中だったレイミーちゃんだったってわけだ」
「は?えっ!?てか、片思い中だなんて言ってねーだろうが!」
「言ってなくても何となくそうなんじゃないのかなって兄さんは思ったんだけどなー、そうかそうか、レイミーちゃんとの結婚は嬉しくないかー」
ルージュが冷やかすものだからガルージュはさらに状況が理解出来ていないようだった。
「まあでも、レイミーちゃんはカルラーナ家のご令嬢であっても、一般人として生きてきた。父上も、カルラーナ家の当主の方も今まで通りリリア嬢を婚約者にして穏便に済ませるだろうな」
「そうか…だよなやっぱり…」
「んー?もしかしてレイミーちゃんの方が良かったか?恥ずかしがるなよ」
「なっ、違う!なんでそうなるんだよ!」
「そうだ、父上から伝言を預かってんだ。いいかガルージュ、この問題が解決するまでは絶対にレイミーちゃんに会うな。せっかく一緒に勉強をしてるってのは知ってるし、こんな事言うのも俺だって苦しい。けれど、国に関わることかもしれないんだ。わかってくれるよな。ガルージュ」
「…わかった」
ガルージュは朝からダンスのレッスンを受けていた。結婚の話が急に進んだせいで、本来レッスンはまだまだ先だと余裕ぶっていたのが裏目に出ている。
カルラーナ家のご令嬢との結婚が決まったのは1ヶ月ほど前。
父親同士が緊急で話し合い、急遽決定したのだ。
ガルージュは父親から聞いた情報と写真でしか、リリアのことを知らない。
会ったこともないのに急に結婚をするだなんてと、ガルージュは内心腹を立てていた。
「わかってるよそんなことくらい!そんな急に言われてできるかってんだ!」
「もう!そんなことでは婚約者様の前で恥をかくことになるんですよ!王子、あなたはもう結婚するという自覚をいい加減持ってください!」
ー急にそんな結婚するだなんて言われて自覚が持てるもんか。父上が言っていた「お前は末っ子だ。好きな人と結婚しなさい」って言うのは嘘だったのかよ
「はあ、今日のレッスンはここまでとします。ステップの練習、よーくしておいて下さいね」
「…はーい」
ガルージュは、カルラーナ家のことは小さい頃から知っていた。行方不明のご令嬢を探してるって言うのと、文房具の事業で成功したというふたつの点で父親からよくその話を聞かされていたからだ。
しかし、ガルージュはリリアの写真を見た時に少し違和感を感じたのだった。
「ガルージュよ、この写真の女性がカルラーナ家のご令嬢リリアさんだ」
父親からそう言われ受け取った写真を見る度にガルージュは幼なじみのレイミーを思い浮かべるのだ。
目元や瞳の色、髪の色が少し似ている。そう思うも、まさかそんなわけないよなと自分に言い聞かせていた。
「ああ、大変なことになってしまった!」
レイミーと勉強をした日の午後、お菓子でも食べようと食堂に向かっていたガルージュ前を父親が急ぎ足で通り過ぎて行った。
変なのーっと思いながら少し気になったりもしたので兄のルージュに何かあったのかとガルージュは聞いてみた。
「おお、ガルージュちょうどいいところに。まずいことになったんだ」
「まずいことって?」
「まあ簡潔に言うならお前の婚約者が変わるかもしれんな」
「は?」
「聞いて驚けよ…もし婚約者が変わったとしたらお前、レイミーちゃんと結婚するかもしれないんだ」
「…えっ?なんでレイミー…?……………まさか」
「ついさっきカルラーナ家の行方不明だったご令嬢が見つかってね、それがお前が片思い中だったレイミーちゃんだったってわけだ」
「は?えっ!?てか、片思い中だなんて言ってねーだろうが!」
「言ってなくても何となくそうなんじゃないのかなって兄さんは思ったんだけどなー、そうかそうか、レイミーちゃんとの結婚は嬉しくないかー」
ルージュが冷やかすものだからガルージュはさらに状況が理解出来ていないようだった。
「まあでも、レイミーちゃんはカルラーナ家のご令嬢であっても、一般人として生きてきた。父上も、カルラーナ家の当主の方も今まで通りリリア嬢を婚約者にして穏便に済ませるだろうな」
「そうか…だよなやっぱり…」
「んー?もしかしてレイミーちゃんの方が良かったか?恥ずかしがるなよ」
「なっ、違う!なんでそうなるんだよ!」
「そうだ、父上から伝言を預かってんだ。いいかガルージュ、この問題が解決するまでは絶対にレイミーちゃんに会うな。せっかく一緒に勉強をしてるってのは知ってるし、こんな事言うのも俺だって苦しい。けれど、国に関わることかもしれないんだ。わかってくれるよな。ガルージュ」
「…わかった」
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