Baseball Side Story

榊 海獺(さかき らっこ)

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フィクションを超えて

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 よくある漫画やアニメのスーパースター。それを超える逸材が現れるなど誰が予想しただろうか。

 2011年夏。僕はその逸材の存在を見付ける。
 あれは当時付き合っていた彼女の家で、何となくテレビを見ていた時だった。ザッピングしていたら、たまたま目に留まった高校野球。それが花巻東の試合だった。そう。その試合で投手として出場していたのが、あの大谷翔平だったのだ。
 当時高校二年生の大谷翔平。その当時からただならぬオーラを纏っていた。その試合に関しては、ピンチを招き投手交代に。守備位置をライトに変更になったのだが、その時の表情は今でも忘れられない。あどけない顔立ちの中で、確かに闘志は燃えていた。「このままでは終われない。」と。
 結局、その試合に敗れ、花巻東は敗退してしまったのだけれど、二年生ながら流した悔し涙は、輝かしい未来を築くプロローグだったんじゃないかと思う。

 翌年、大谷翔平は一気に注目を浴びることになる。高校三年生にして球速160kmを記録したのだ。これは当時のアマチュア野球の最速球速である。怪物の登場に日本中が一気に湧いた。
「こいつ知ってる。」
 中継で大谷翔平が映し出された時、僕は思わずそんな声を漏らしてしまい。彼女からは「え? 知り合いなの?」と驚かれたのを覚えている。
 当然ドラフトの目玉となった大谷翔平。しかしながら、彼は当時からメジャーリーグ挑戦を宣言しており、NPB球団のアプローチすら許さなかった。
 そんな中、唯一アプローチを掛けたのが、当時日本ハムファイターズ(以降、日ハム)で監督をしていた栗山英樹だった。メジャーリーグ挑戦を宣言していた大谷翔平をドラフト会議で無理矢理1位指名したのだ。単独指名である。
 当然大谷翔平側は日本球界に行く考えはない事を日ハム側へ伝えたのだが、栗山英樹は何度も家に通い、投手と打者の二刀流の育成プラン、プロ野球選手としての基礎を築くことの重要性を説き、結果日ハム入団が決まる。背番号は11番。これはあのダルビッシュ有も背負った背番号である。期待の表れだった。

 日ハムに入団し、そこから初年度は13試合に登板し(内11試合先発)、3勝だった。ちなみにこの年大谷翔平には一つも負けが付いていない。そこから5年間。1度も負けが先行した年はなかった。
 そして、2017年オフにロサンゼルスエンゼルスに移籍し、大活躍の末、2023年オフに名門ロサンゼルスドジャースに移籍した。

 今ではドジャースのスター選手となった大谷翔平。漫画やアニメといったフィクションを超え、誰もが想像すらしなかったような記録を残し続けている。今後彼を超えるような選手が日本から出てくるのだろうか。てか、一度くらい日ハム時代に生で観とくべきだったな。当時観戦サボってたツケが回ったな。


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