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第三章:「新たなる歩み」

第29話 「最強と最弱・勇者と魔王」

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 ファルシアもただならぬ状況に真剣な表情を浮かべた。

「アルシア…先に家に帰っていなさい」

きっと、危険な目には合わせたくないのだろう。

アルシアは父親ファルシアの顔を見ると、小さく頷く。

ファルシアは自分の娘が視界から消えたのを確認すると、質問した。

「お前、何が目的だ?」

そう言って、構えた。

「何が目的?コイツサモンは名門の生まれ故に、嫌がらせなど受けない。俺はコイツより上なのに褒められもせず、そして試験に落ちた時もみなが言う…『平民』だからと!」

シュタールは地に手を付け。

「俺は、そんな苦労知らずの、名門の落ちこぼれ最弱が腹立つんだよ」

初めて知った。
そんな一方的な感情だけで、散々俺に嫌な態度を取り続けたのか。

「お前、サモンさんは本当に落ちこぼれだと?」

そういったファルシアはどこか楽しそうだ。

「あぁ!苦労して、手に入れたの俺はだ!こんなとは訳が違う!」

―― か ――

そしてファルシアはを見せ。

「なら、『最強』は私だな?」

「『✕線』!?」

「そうだ、お前はただ、自分の境遇を人と比べ、勝手に嫉妬をし、腹立たせているだけに過ぎない。だが…本当のは私やお前ではなく、サモンさん最弱だ!」

こう言われたシュタールは、心底腹が立ったのだろう。
目を殺気立たせると、ディルク勇者に言った。

「ディルク!お前が憎き悪の元凶バルバラとそのが居るぞ!」

「あぁ、そうだな!」

ディルクは剣を抜き、物凄い速さでバルバラに斬りかかった。

突然の行動に思わず叫んでしまう。

「バルバラ!」

「ふふっ、大丈夫だ。久しぶりの心が躍るよ」

バルバラは微笑みなが、斬撃を全て交わしている。
あれだけ速い攻撃を交わすなんて…

「こっちを向けよ!相手は俺だ!最弱!」

そう呼ばれ振り向いたら、魔物が目の前に迫ってきていた。

(殺られる!)

咄嗟に手で顔を庇った瞬間。

突然魔物が消えた。

横を見れば、見た事のない「騎士」が立っていた。

騎士の後ろから声が聞こえた。

「間に合って良かったです」

どうやらこの騎士を召喚したのは、ファルシアの様だ。

「サモンさん!集中ですよ!」

そうだ、集中しなければ…

俺は地面に手をかざす。

「そんな方法で召喚出来る訳がないだろ!ちゃんと手を付けよ!最弱!」

シュタールはそんな事を俺に言うが、今はでも出来る。

地面には再び紋章が浮き出る。

燃えたぎる猛火の中、出てきたのはあの時の『』だ。

高く身体を伸ばすと、シュタールに向けて大きく口を開けた。

「こ、これは…一体……」

シュタールは恐怖のせいか、手を付いたまま固まってしまった。
暫しの間『焔蛇』を見た後。
我を思い出したのか叫んだ。

「ディルク!!」

呼ばれたディルクは斬撃を辞め、焔蛇の方へと駆けてゆく。

そんな行動に焔蛇もディルクの方を向き、口を大きく開ける。

ディルクは、焔蛇と同じ高さまで飛び上がり。
剣を振り上げ、焔蛇に切りかかった。

焔蛇の鼻先に近付いた瞬間、突然ディルクは横に吹き飛ばされた。
地面に叩き付けられると同時に、地を揺らすかの轟音と砂埃が舞う。

その場に居た全員が、驚いた顔をしている。

「シュタール?魔王あいつ勇者の真剣勝負を、自分の窮地の為だけに止めるのは辞めて欲しいものだな?ふふっ、それに貴様もサモンと真剣勝負をしているのであろう?」

それを聞き、シュタールの顔は「絶望」と「恐怖」からか青ざめていった。




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