VRMMO無課金攻略計画~女子高生精霊術士はノート片手に冒険する~

冨山乙女♪

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マシロ編

参話 無課金攻略計画ノート②

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 2018年5月2日。放課後。
 「はぁぁぁっーーーーー⁉」
 真白は何度目かの深いため息を吐く。
 今、真白は中央棟2階の『生徒会室』の前に立ている。
 何故、こうなったのか?
 真白は『お呼びだし』のきっかけになった2時限目を思い返す。

 「・・・・・はぁ、はぁ。お、遅れ、ましたぁぁっ‼」
 真白が教室に飛び込むと、数学教師が笑顔で振り返る。
 「美空、か?ご苦労様。生徒会の仕事を手伝ってくれてたんだてな。北条から聞いてるぞ。流石、篠宮校長の娘、だな‼」
 真白は?マーク点滅。話がみえてこない。
 (どうなってるの?)
 困惑の中、席に着くように促される真白。
 席に座ると、真白は教科書とノートを取り出す。もちろん、数学の。
 (攻略ノートの続きしたいけど、今は止めといたほうがいいかも)
 「美空。放課後も、北条が手伝って欲しいと言っていったから、頼むぞ‼」
 数学教師の言葉に真白は、内心ため息を吐く。

 そうして、現在真白は生徒会室前にいる。
 「失礼します‼」
 真白は覚悟を決めて、扉を開けた。
 「ようこそ。美空真白さん」
 生徒会長は、とても良い笑顔で迎えてくれた。
 真白は生徒会室の中を見回す。他には誰もいない。
 「あのぅ?わたしに、生徒会の仕事を手伝って欲しいって、聞いたんですけど?」
 長い黒髪を後ろで結った生徒会長、北条晶(ほうじょうあきら)は黒真珠の様な黒瞳を見開いた。
 「本日は生徒会は活動しておりません」
 真白はソファに座らされた。
 「1時限目は、わたくしも自習で此方で書類の整理をしようと思い、自習室の前を通りましたら、貴女が独り学習用ブースに入っていかれるのをお見かけしたので。1時限目の終了の鐘も気がついておられなかったので、先生に一声お掛けしておいたのです」
 真白の前に紅茶のティーカップを差し出しながら、晶はニッコリ頬笑む。
 「えっと、あ、ありがとうございます」
 真白は紅茶を一息に飲み干し、逃げる様に部屋を後にした。

 去って行く真白を、晶は肩をすくめて見送った。
 「逃げられて、しまいました」
 晶の背後で、人が動く気配がして消えた。晶はため息を吐く。
 
 晶は真白が廊下に落としていった、『フォースクロニクル』のAIピクシー人形『ピカリ』を拾い上げた。
 「これ、お財布だわ。大変‼」
 晶は真白を追いかけた。

 真白は自宅近くの公園まで戻って来て、ようやく落ち着いた。
 「次は『クエスト』かな?無課金で攻略するなら、『アイテム報酬』か『アイテムドロップ付き』。『装備品報酬』っていうのもあるか?確認、確認」
 真白はタブレット端末を操作する。
 「えっと、どれどれ。うわぁ、その条件のクエストはどれも、Bランクから上でクリアレベルも高めに設定されてる。うーん。コンバートデータを適応しても、先にパワレベかな?」
 パワレベとはパワーレベリングの略で、レベル上げのことである。
 「レベリングクエストでいいのないかな?」
 真白は攻略サイトを読んでいく。
 「あ、これ。いいかも‼《コボルト退治》」
 制限時間60分の間に、無尽蔵に沸いて出るコボルトを何体倒したかで、経験値変動制クエストバトル。
 コボルト1体の経験値は20。30体倒して、経験値の合計は600。100体倒して、経験値の合計は2000。1レベル、999経験値で上がるとして、1日、2レベル上がる計算。
 「1日、100体がノルマか。割が合わないなぁ」
 真白がぶつぶつ言っていると、小学生の女の子が声を掛けて来た。
 「お姉さん。これ、お姉さんのお財布?」
 少女が差し出しているのは、真白の小銭入れ。
 「あれ?落としてた?ありがとう」
 その様子を確認して、公園の出入口に停まっていった黒塗りの高級車が、静かに発進した。

 車の後部座席で、晶はゲームショップのレシートを見ている。
 「『フリーダムオンライン』。あの方の手の中で動くのは、不本意ですが。・・・仕方ありませんね。1度は、依頼を引き受けたのですから」
 晶は運転する初老の男性に、ゲームショップに向かう様に声を掛ける。

 「何よりも、わたくしが貴女とまた、『冒険』したいと思っているのですから。『ホワイト』」
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