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嫉妬
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しおりを挟む「桜だ。」
校庭に、桜が咲き始めた頃、
私と主人は、無事3年生になった。
付き合い始めてから、約2ヶ月。
まるで首輪の時に戻ったような変わりない日常。
唯一変わったことと言えば、
「あ、みゆ様だ!おはよー!」
「…あの、気になってたんだけど、何で様付け?」
やっと主人への呼び捨てに慣れてきた頃、私は周りから様付けされるようになった。
「ええ、だってあの蓮様の心を射止めた人だよ!?女として尊敬!まじみゆ様ぱねえっす!」
「……はあ」
あんな嫌われてたのに、一周回って尊敬されるようになった。
ほんと女の子ってわからない。
"あ、蓮様だ!"
窓の外を見てそう言う人の声に無意識に反応してしまう。
"女の子といるよ、あれ誰だろ"
は?女の子?
私はすぐに窓際に駆け寄り、みんなの視線を追う。
すると、テラスに可愛くて小さい女の子の後を歩く主人の姿があった。
え、誰…あんな子知らない…
「…ハァハァ…」
…で、教室飛び出して見に来たはいいものの、
草むらに隠れてそこから動けない。
葉っぱの間から2人が見えはするけど、何言ってるのか全然聞こえないし…
ここからわかるのは、女の子の顔がすごく赤くて、可愛いこと。
主人のことが好きなんだ、と聞かなくてもわかる。
そして女の子はそっと主人の袖を掴んだ。
可愛いな…
主人も、やっぱあんな子が好きなのかな、とか変に不安になる。
私らしくもない…
すると、主人を残して女の子がどこかへ去っていった。
これって絶対……
「かくれんぼ楽しそうだね」
「…うわっ!」
考えているうちにいつのまにか主人の目は私を捉えていた。
「ふっ、みゆちゃん~隠れるならもっとうまく隠れなきゃ。バレバレだったよ?」
「…ご、ごめんなさい」
胸の音がうるさくて、主人に聞こえそうだ。
「何でここにいるの?」
「……窓から蓮が見えて、女の子と一緒だったから、気になって…」
「あーそれで、嫉妬して来ちゃったわけだ?」
「……しっと、…まあ、そうです」
「お、認めた、めずらし~」
「調子狂っちゃうなあ」と私の髪を長い指でサラッと触る。
「……ッ…で、誰なんですかあれ…」
「んー?知らない」
「…は?知らないって、」
「1年生って言ってた」
「……告白、ですよね?」
「んー、今日入学してきたのにすごいよね~。だから俺に彼女いるって知らなかったんだと」
「…はあ、なんでそんなにモテるんですか…」
「あ、また妬いてる」
「…妬いてないです!ただ蓮だけモテるのがムカつくだけです!」
目をキラキラさせた主人は、ゆっくりと私を抱きしめた。
「やっべ、超嬉しい」
「…はぁ、人の気も知らないで」
「ねえ、キスしてい?」
顔を覗き込んでそう言う主人。
ちょ、何言ってるのこの人…。
「……だめ、でしょ。ここ学校」
「みゆがしてよ」
「……はなしきいて……」
たった数センチの距離にある主人の顔に、思わず見惚れた。
ああ、慣れない。
いつまで経っても主人は、私をおかしくさせる。
「俺をみゆのことしか考えられないようにしてよ」
その色っぽい声に、反射するように顔が動く。
ここが学校だなんて一瞬忘れてしまって、
私の頭の中には、主人しかいなかった。
触れた唇は熱を持つ。
顔を離すと、満足げな表情の主人。
「……ずるい、」
私は結局主人には勝てない。
「あー、最高」
「…ッ…うれしそうですね」
「そりゃあもう。ねえ、このまま学校抜け出して俺ん家行こっか?」
「……は!?!え、い、今、なん、なんて?」
「帰って楽しいことしようよ」
わざと私の耳元でそう囁く主人に
私の顔はまんまと熱くなる。
(キーンコーンカーンコーン)
そこでタイミングよく(?)鳴ったチャイム
「じゅ、授業あるから、戻ります…!じゃあ!」
私は走って主人と距離を取る。
はあ、なんでこんな焦ってんだろ。
でも、"俺ん家"って……そういう……
ああ、蓮のせいだ。
「授業、出れるかな…」
絶対に集中できない。
主人のさっきの言葉が頭から離れない。
"俺をみゆのことしか考えられないようにしてよ"
なんかむかつく。
私はとっくに
蓮のことしか考えられないのに…。
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