運命の女~麗奈~

モモ

文字の大きさ
上 下
55 / 63

風邪(55話)

しおりを挟む
◯儀式の二日前・水界・水宮・幸太の部屋
慌てて部屋を出入りする侍女と家来達。
急いで駆けつけた水神王。
水神王が侍女と家来に
水神王「どうして、急に風邪を引いたのだ!
あれほど、病にかからぬよう気をつけろと言ったのに。」
と、少し怒りぎみに言った。
侍女と家来が跪いた。
侍女・家来「申し訳ありません。
私どもの注意不足です。」
水神王はため息をつき
水神王「今はそんなことを言っている場合ではない。
天神王になんと言えば良いのか…。」
と、言った。
すると、そこへ奏太が来た。
奏太「父上!兄上が病になったとは本当ですか?」
水神王「あぁ、本当だ。」
奏太「でも、どうして急に。
許嫁の儀式はどうするおつもりですか?」
水神王は少し考えた。
すると、奏太が
奏太「私を麗奈と許嫁にしてください。
このまま、儀式ができなければ、麗奈はもちろん、天神王様まで恥をかきます。
ですが、民は父上の息子二人のどちらかが許嫁になるとは知っていますが、麗奈と誰が許嫁になるかは知りません。
なので、私が儀式に行けば、天神王様と麗奈は恥をかかずにすみます。」
と、言った。
それを聞いた水神王は
水神王「今は、その方法しかないな。
奏太は天界へ行く準備をしなさい。
すぐに出発する。」
と、奏太に言った。
奏太はそれを聞くと、頷いて部屋へ戻って行った。
水神王「幸太を頼むぞ。」
と、侍女と家来に言った。
水神王(すまないな。幸太。
今回はこの方法しかないのだ。
辛いと思うが、私の事を許してくれ。)
水神王は心の中でそう思うと、幸太の部屋から出ていった。
◯半刻後(はんときごと言い一時間を意味する)・天界・天宮・広間
話している天神王と水神王と奏太。
天神王「なんだと!?幸太が病に?
どうして急に。」
水神王「本当に申し訳ない。
私も、どうして急に風邪を引いたのか分からなくて。」
そう言うと、天神王がため息をつき
天神王「儀式は取り止めよう。」
と、言った。
水神王「ですが、それでは麗奈が傷つきます。
儀式を取り止めてしまえば、麗奈は幸太に捨てられたと噂されてしまいます。」
天神王「ならば、どうすれば良いのだ?
他に方法はなかろう。」
水神王「私もあまり気が乗りませんが、どうか奏太と許嫁の儀式をしてください。」
しおりを挟む

処理中です...