29 / 81
2/14 バレンタインデー編
本命の在(あ)り処
しおりを挟む
「え……」
「この国のバレンタインデーは女性から想いを伝える日でもあると私も記憶している」
「…………」
(本命って、たしか一番って意味だよね……?)
キュリオの言葉に微笑んだアオイは彼の空色の瞳を見つめながら心を込めて言葉を紡ぐ。
「私の"本命"はお父様です。今までも、これからもずっと」
まごうことなき真実を口にしたアオイ。その澄んだ眼差しは偽りのないものだと証明するには十分だった。アオイの愛にあふれる言葉と視線を受けたキュリオの顔が幸せそうに和らいでいく。
「……私には永遠に意味のない日だと思っていたが……お前から愛の証が得られるのならば、私はこの日を喜んで迎い入れよう」
アオイを両腕で抱きかかえたキュリオが椅子から腰を浮かす。
「きゃっ」
小箱を手にしたまま咄嗟に父親の首元に腕を回したアオイ。必然的に互いの顔は近くなり、キュリオの微笑みが間近に迫る。
「お、お父様……?」
やがて扉へ向かって歩き出したキュリオにアオイは戸惑い、彼の意図を汲み取ろうとその美しい横顔を見つめた。
「今日は想いの通じ合った恋人同士が甘い一日を過ごす日でもある」
「…………」
(きっとお父様は、私のことを一番という意味で恋人同士って言ってくださってるんだ……)
「じゃあ、お父様の"本命"も……」
込み上げるあたたかな気持ちがアオイの頬をゆっくり染める。
「いつも言っているだろう? お前を心から愛していると」
「この国のバレンタインデーは女性から想いを伝える日でもあると私も記憶している」
「…………」
(本命って、たしか一番って意味だよね……?)
キュリオの言葉に微笑んだアオイは彼の空色の瞳を見つめながら心を込めて言葉を紡ぐ。
「私の"本命"はお父様です。今までも、これからもずっと」
まごうことなき真実を口にしたアオイ。その澄んだ眼差しは偽りのないものだと証明するには十分だった。アオイの愛にあふれる言葉と視線を受けたキュリオの顔が幸せそうに和らいでいく。
「……私には永遠に意味のない日だと思っていたが……お前から愛の証が得られるのならば、私はこの日を喜んで迎い入れよう」
アオイを両腕で抱きかかえたキュリオが椅子から腰を浮かす。
「きゃっ」
小箱を手にしたまま咄嗟に父親の首元に腕を回したアオイ。必然的に互いの顔は近くなり、キュリオの微笑みが間近に迫る。
「お、お父様……?」
やがて扉へ向かって歩き出したキュリオにアオイは戸惑い、彼の意図を汲み取ろうとその美しい横顔を見つめた。
「今日は想いの通じ合った恋人同士が甘い一日を過ごす日でもある」
「…………」
(きっとお父様は、私のことを一番という意味で恋人同士って言ってくださってるんだ……)
「じゃあ、お父様の"本命"も……」
込み上げるあたたかな気持ちがアオイの頬をゆっくり染める。
「いつも言っているだろう? お前を心から愛していると」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
異世界に喚ばれた私は二人の騎士から逃げられない
紅子
恋愛
異世界に召喚された・・・・。そんな馬鹿げた話が自分に起こるとは思わなかった。不可抗力。女性の極めて少ないこの世界で、誰から見ても外見中身とも極上な騎士二人に捕まった私は山も谷もない甘々生活にどっぷりと浸かっている。私を押し退けて自分から飛び込んできたお花畑ちゃんも素敵な人に出会えるといいね・・・・。
完結済み。全19話。
毎日00:00に更新します。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
王宮メイドは今日も夫を「観察」する
kujinoji
恋愛
「はぁぁ〜!今日も働くヴィクター様が尊すぎる……!」
王宮メイドのミネリは、今日も愛しの夫ヴィクターを「観察」していた。
ヴィクターが好きすぎるあまり、あますところなく彼を見つめていたいミネリ。内緒で王宮メイドになり、文官である夫のもとに通うことに。
だけどある日、ヴィクターとある女性の、とんでもない場面を目撃してしまって……?
※同じものを他サイトにて、別名義で公開しています。
最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました
斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。
白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。
その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。
それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。
やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり――
白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。
身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。
十八歳で必ず死ぬ令嬢ですが、今日もまた目を覚ましました【完結】
藤原遊
恋愛
十八歳で、私はいつも死ぬ。
そしてなぜか、また目を覚ましてしまう。
記憶を抱えたまま、幼い頃に――。
どれほど愛されても、どれほど誰かを愛しても、
結末は変わらない。
何度生きても、十八歳のその日が、私の最後になる。
それでも私は今日も微笑む。
過去を知るのは、私だけ。
もう一度、大切な人たちと過ごすために。
もう一度、恋をするために。
「どうせ死ぬのなら、あなたにまた、恋をしたいの」
十一度目の人生。
これは、記憶を繰り返す令嬢が紡ぐ、優しくて、少しだけ残酷な物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる