帝都の影の下で~若いノンケの軍人さんが、年上のえっちな男娼さんに捕まってしまったようです~

真田火澄

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【いいおっぱいの日】ちょっとした小話

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それは単なる語呂合わせである。語呂合わせであるが、なぜか目の前の愛しい人は真剣だった。

 今日はなんと言っても、「良いおっぱいの日」である。

「……ツェツィーリア……」

「なに」

「えっと、まだかな……」

「まだ」

 今、ジークハルトは、愛しい人ツェツィーリアに、両胸を揉まれている。いや、揉みしだかれていると言っても過言ではない。

 話は少しだけ遡る。

 その日も、ジークハルトは太陽の橋にいたツェツィーリアを拾った。
 いつものように料金の交渉があって、そうして無人タクシーでいつものホテルへ向かった。

 ホテルの一室に腰を落ち着けたかと思うと、突然ツェツィーリアが膝に乗り上げてきた。
 彼がジークハルトの膝上を独占するのはいつものことなのだが、今日はなんだか様子がおかしい。非常に真剣な眼差しで、ジッとジークハルトの頭から腰までを見つめた後、ひどく丁寧な手つきで軍服のジャケットを脱がされた。

 まだシャワーもしていない、ルームサービスのワインも飲んでいないのに、どうしたのだろうか。

 ツェツィーリアは、意外と真面目にルーティーンを守るタイプだ。
 中を解す必要があるから、と、シャワーを浴びずに行為に及ぶことは固く拒否されているし、ワインもなんだかんだと飲んでからでないと気が済まない様子だった。

 それが、今日はいったいどういうことだろう。

 ジャケットをソファの背に放られて、そしてまたジロジロと頭の先から腰までを見つめられる。

「ツェツィーリア?」

 声をかけても、無視。
 本当にいったいどうしたのだろうか。

 と、おもむろにツェツィーリアの両手がジークハルトの胸へと伸びた。

たふっ

「へ?」

たふたふっ

「………」

「ツェツィーリア……?」

 そうして、冒頭に戻る。

 かれこれ三十分ほど。真剣な表情のツェツィーリアによって、たふたふと揉みしだかれる己の胸。

 揉み心地がいいのかなんなのか。それにしてはやたらと眼差しは鋭く、なんだか口出ししてはいけないような気がして、ジークハルトも無言になってしまう。

 だが、人間、限界というものがあるわけで。

「……ジルケ、楽しい?」

「ううん」

 なら、なぜこんなにも長い間揉まれているのだろうか。訳がわらず、だからと言ってこちらから仕掛けようとすると、手をはたかれる。

 仕方ないので、彼が満足するまでこうして身体を弛緩させていたものの、やはりもう限界だ。

「ジルケ!」

「わっ! なんだよ、もう!」

 ガバリとツェツィーリアを両腕で抱き締めると、珍しく少し非難の声が上がった。なんだよも何も。そう言いたいのはこちらである。

「もう、本当に突然どうしたの? 突然揉み出したから驚いたよ」

「だって……」

「ん?」

「だって、いっつも良い胸してるなって、思ってたから」

 つい、だなんて言う。
 
 告げられた理由に、なんと返事をしていいものやら、「う、うん……」と返すしかなかった。
 腕を解放すると、また胸をたふたふ揉み始めたので、慌ててツェツィーリアの両手を取ってやめさせた。頬を膨らまして不貞腐れてしまったが、やめてほしいのが正直なところである。

「あんまり揉まないで」

「どうして? あ、えっちな気分になっちゃうから?」

「違うよ」

 それはそうなんだけども。違うと一応否定しておく。

「そんなに、揉みたいくらいのもんかな……」

「うん」

「そんなに?」

「俺には無いものだもん。揉みたくなる」

 そうだろうか、とツェツィーリアの身体を見ると、「えっち」と嫌がられた。理不尽である。

 たしかに、ツェツィーリアの胸は薄い。と言っても、ガリガリと言うほどのものでもなく、程よく肉付きがあって心地よい。それがどうにも本人には不満なようだった。

「持ってる人間には分からないよ」

「そ、そうかなぁ……」

「そうだよ。いいなぁ。俺ももう少し筋肉がついたらなぁ」

 両手がするりと逃げて、たふっと胸に寄り掛かられた。

たふたふっ

 今度は頭で胸を押される。

 これは、意趣返しのようなものだ。

「えいっ」

 胸筋に力を入れて、彼の頭を跳ね返してみる。

「やめて」

「……はい」

 その途端、鋭い静止が入った。

 これはもう、彼の気の済むまでやらせてあげるしかないようだ。
 ジークハルトは諦めて、彼のための置物に徹するのだった。

 
 その後、ツェツィーリアが胸を揉みしだくのに飽きてさっさとシャワーに行ってしまったのは、ホテルに着いてから二時間後の話である。
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