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世界
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ベットの上で寝っ転がる。
ベットはふかふかで、マスターが言うには王国製の最高級ベットらしい。
洞窟よりも少し明るい木製の部屋。
回りには本棚に収められた本がたくさん詰まっている。
「それで…あいつはなんなんですか…?」
木製の扉の向こうで、話し声が聞こえた。
最初に洞窟にやってきた女だった。
名前はソフィーだった筈。
「あいつはね…吸血鬼だよ」
そして、次に聞こえた声は、マスターの声だった。
マスター。本名はリリィ。
何故か僕にはマスターと呼ばせているようだけど…
「別にそれくらい知ってますよ!!本で読みました!吸血鬼には頬に2本の黒い線があるって!あいつにも黒い線が2つある…だから、吸血鬼なのはわかってます!!!!」
そういえば、4日前に初めて鏡を見た。
鏡に写っていた顔にも頬に2本の線が引いてあった。
そして、鏡に写っているのは僕の顔だと言う。
だから、マスターとソフィーの二人は僕に関して話していると分かった。
「そっか…教会から何も聞いてないの?」
マスターは言った。
「何も…聞いてません…」
ソフィーは言った。
「アイツはね…ラースはねぇ、1000万年前に封印された吸血鬼なんだよ!!!」
「それは知ってます!!!!!違いますよ…なんで今になって、そいつを解放させたんですか…あんな化け物、気味が悪い…」
ソフィーは静かに言った。
「今さ、魔王が暴れてるでしょ?だから、魔王…まあ、ようするに魔族には魔族をぶつけるってこと」
「それって…ラースに魔王を殺させるってこと…なんですか!?」
「そうだよ。ラースは吸血鬼。ヴァンパイアは人間を喰って腹を満たすけど、ラースは封印で人間を喰わなくても良い体だし、それに強いし」
「たしか…旧約の夜でしたっけ?」
「そう。人類の人口が1000分の1なった奴ね。ヴァンパイが腹減ったからっていう理由で人間を食べまくっちゃった奴。ま、1000万年くらい前の話だけどね。」
「ヴァンパイア狩りが始まったのは…たしか1000万年前…ですよね…」
「そう。ここらへんは、教会が最後に潰しに掛かったヴァンパイアの集落の1つ。たぶん、あの子は最後の1人。まあ、生き残りだよ。」
僕は生き残り…
「ちゃんと人間とヴァンパイアのハーフとかじゃなくてヴァンパイアとヴァンパイアの純血…目の色が両方とも真っ赤だった。あの子の本能を刺激してはいけないよ。」
僕は窓の外の月を見た。
ヴァンパイアは人を食らう。
マスターとは違う生き物なのか。
僕には人間のする、寝るという行為や、休むという行為が出来ない。
でも、待っていれば、時間は過ぎる。
そういえば、マリーの事について、なにも聞いていなかったな。
僕は扉を開ける。
木製の扉の向こうは明るいランタンで照らされている。
そして外にはマスター。
ソフィーの姿は無かった。
「お、ラース。全部聞こえてた?」
僕は頷く。
「ま、そういうことだ。教会の命令でね。明日から旅に出るから。よろしく」
「わかった。一つ聞きたい。マリーって知ってるか?」
僕は聞くと、マスターは手を顎に当てる。
「マリーか…400年前なら安直な名前だな。ラースは吸血鬼で、今の年齢は1000万歳と前に説明したが…」
「400年前になにかあったのか?」
僕は聞くと、マスターは頷いた。
「400年前、勇者が居たんだよ。ここらへんの村の出の勇者。名前はマリーっていうんだけどさ、その勇者、魔王になっちゃってさ。それで、マリーって名前が使われなくなったんだ。マリーっていう名前は、400年前は安直な名前だったけど今では口に出すのも悍ましい名前だよ。」
「それじゃあ、今の魔王の名は?」
「今の魔王の名前はマリー。スキル、勇者を授かり、そして、魔王として君臨した女だよ。そして、マース。君はマリーを殺さないといけない。そういう使命だ。」
「わかった。頑張る」
僕は言うと、自分の部屋へと戻ろうと、扉のドアノブを握る。
「ちなみに、マリーって何処で知ったの?」
マスターが言うと、僕は踵を返す。
「最初の話し相手だった。短い間だったけど、世界の事を教えてくれた。そういえば、最後に話した時に、勇者を授かったって言っていた。」
「じゃあ、思い出の人なんだね。」
「思い出?なんだそれ」
「こう…心に深く残る記憶の事だよ。」
「どうやったら深く記憶に残るんだ?」
「なんか、感動したりとかかな。」
「感動…僕には良くわからない。マスターは今日、感情について教えてくれたけど、僕には難しい。難しすぎる。」
「そうか。じゃあ、マリーを殺せって言ったら殺す?」
「マスターは世界を教えてくれた。マリーも世界を教えてくれたけど、マリーよりもマスターの方が世界をもっと教えてくれた。マスターが言うのであれば、マリーを殺す。」
「あそう。じゃ、戻っていいよ」
「そうする。」
今度こそ僕は扉を開けて部屋の中に入った。
ベットはふかふかで、マスターが言うには王国製の最高級ベットらしい。
洞窟よりも少し明るい木製の部屋。
回りには本棚に収められた本がたくさん詰まっている。
「それで…あいつはなんなんですか…?」
木製の扉の向こうで、話し声が聞こえた。
最初に洞窟にやってきた女だった。
名前はソフィーだった筈。
「あいつはね…吸血鬼だよ」
そして、次に聞こえた声は、マスターの声だった。
マスター。本名はリリィ。
何故か僕にはマスターと呼ばせているようだけど…
「別にそれくらい知ってますよ!!本で読みました!吸血鬼には頬に2本の黒い線があるって!あいつにも黒い線が2つある…だから、吸血鬼なのはわかってます!!!!」
そういえば、4日前に初めて鏡を見た。
鏡に写っていた顔にも頬に2本の線が引いてあった。
そして、鏡に写っているのは僕の顔だと言う。
だから、マスターとソフィーの二人は僕に関して話していると分かった。
「そっか…教会から何も聞いてないの?」
マスターは言った。
「何も…聞いてません…」
ソフィーは言った。
「アイツはね…ラースはねぇ、1000万年前に封印された吸血鬼なんだよ!!!」
「それは知ってます!!!!!違いますよ…なんで今になって、そいつを解放させたんですか…あんな化け物、気味が悪い…」
ソフィーは静かに言った。
「今さ、魔王が暴れてるでしょ?だから、魔王…まあ、ようするに魔族には魔族をぶつけるってこと」
「それって…ラースに魔王を殺させるってこと…なんですか!?」
「そうだよ。ラースは吸血鬼。ヴァンパイアは人間を喰って腹を満たすけど、ラースは封印で人間を喰わなくても良い体だし、それに強いし」
「たしか…旧約の夜でしたっけ?」
「そう。人類の人口が1000分の1なった奴ね。ヴァンパイが腹減ったからっていう理由で人間を食べまくっちゃった奴。ま、1000万年くらい前の話だけどね。」
「ヴァンパイア狩りが始まったのは…たしか1000万年前…ですよね…」
「そう。ここらへんは、教会が最後に潰しに掛かったヴァンパイアの集落の1つ。たぶん、あの子は最後の1人。まあ、生き残りだよ。」
僕は生き残り…
「ちゃんと人間とヴァンパイアのハーフとかじゃなくてヴァンパイアとヴァンパイアの純血…目の色が両方とも真っ赤だった。あの子の本能を刺激してはいけないよ。」
僕は窓の外の月を見た。
ヴァンパイアは人を食らう。
マスターとは違う生き物なのか。
僕には人間のする、寝るという行為や、休むという行為が出来ない。
でも、待っていれば、時間は過ぎる。
そういえば、マリーの事について、なにも聞いていなかったな。
僕は扉を開ける。
木製の扉の向こうは明るいランタンで照らされている。
そして外にはマスター。
ソフィーの姿は無かった。
「お、ラース。全部聞こえてた?」
僕は頷く。
「ま、そういうことだ。教会の命令でね。明日から旅に出るから。よろしく」
「わかった。一つ聞きたい。マリーって知ってるか?」
僕は聞くと、マスターは手を顎に当てる。
「マリーか…400年前なら安直な名前だな。ラースは吸血鬼で、今の年齢は1000万歳と前に説明したが…」
「400年前になにかあったのか?」
僕は聞くと、マスターは頷いた。
「400年前、勇者が居たんだよ。ここらへんの村の出の勇者。名前はマリーっていうんだけどさ、その勇者、魔王になっちゃってさ。それで、マリーって名前が使われなくなったんだ。マリーっていう名前は、400年前は安直な名前だったけど今では口に出すのも悍ましい名前だよ。」
「それじゃあ、今の魔王の名は?」
「今の魔王の名前はマリー。スキル、勇者を授かり、そして、魔王として君臨した女だよ。そして、マース。君はマリーを殺さないといけない。そういう使命だ。」
「わかった。頑張る」
僕は言うと、自分の部屋へと戻ろうと、扉のドアノブを握る。
「ちなみに、マリーって何処で知ったの?」
マスターが言うと、僕は踵を返す。
「最初の話し相手だった。短い間だったけど、世界の事を教えてくれた。そういえば、最後に話した時に、勇者を授かったって言っていた。」
「じゃあ、思い出の人なんだね。」
「思い出?なんだそれ」
「こう…心に深く残る記憶の事だよ。」
「どうやったら深く記憶に残るんだ?」
「なんか、感動したりとかかな。」
「感動…僕には良くわからない。マスターは今日、感情について教えてくれたけど、僕には難しい。難しすぎる。」
「そうか。じゃあ、マリーを殺せって言ったら殺す?」
「マスターは世界を教えてくれた。マリーも世界を教えてくれたけど、マリーよりもマスターの方が世界をもっと教えてくれた。マスターが言うのであれば、マリーを殺す。」
「あそう。じゃ、戻っていいよ」
「そうする。」
今度こそ僕は扉を開けて部屋の中に入った。
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