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後編
1夢
浄化作業や僕の前世のゴタゴタから月日が経ち、僕は15歳になった。
……15だよ、15。知ってると思うけど、僕はそろそろ、というか一週間後に結婚する。相手は勿論ジルだ。
相変わらず、ジルは僕にべったりで、父様も僕に過保護だ。イルやディーも相変わらずだが、変わった事がいくつかある。
まず、父様の異変だ。父様は、性欲が落ち気味だ。なぜなら、一年前から夜一緒に過ごしても、行為をしないで、普通に抱きついて眠る様になった。父様自身は、歳のせいだと言っていたが、何か隠している気がする。
二つ目は、僕の魔力量だ。僕は討伐に行く度に、浄化魔法を使っている。それによって魔力が増量したのだ。そのお陰か、前の様に浄化で倒れる事は無くなった。
そして三つ目、これが重要だ。僕は眠っている間は必ず結界を張っているが、最近眠くない時でも、いきなり睡魔が襲ってくる。まるで、僕をあちらに連れて行こうとする様に。それもあって、僕は常に結界を張るようにした。しかし、それは流石に厳しいので、ジルにも手伝って貰っている。ジルは、最初こそ氷の結界に慣れないようだったが、今ではすんなり出来るようになっている。
コンコン
「ハル~、入るよ。」
そう言って入ってきたのは、ジルだった。
「どうしたの?ジル仕事は?」
「今は休憩だよ。流石に結婚前だからやる事が多くて疲れる。だから、ハルに癒されようと思ってね。」
ジルは僕にもたれ掛かる様に抱きついてきた。
「はいはい、お疲れ様。結婚式当日ってこの国の人達の前で挨拶しなくちゃいけないんだよね。僕も何喋るか考えておかないとな……」
「??ハルは何も喋らないよ?ただ手を振っていればいい。ハルのエロい声を聞かせるわけないでしょ。」
……はい?今なんと?
「ハルは私の隣に居てくれればいい。本当は顔も見せたくないけど、こればっかりは仕方ない。」
「ただ居るだけって……それ凄く印象悪くない?」
「それが普通だよ。王妃になれば、いろいろ制限が付くからね。まだ私が王位を継承していないけど、結婚式当日に、私の王位継承もするからね。」
そうなのだ。この国では、結婚式と王位継承は同じ日にやる決まりになっている。
「でも、制限って言っても国の人達には挨拶するものじゃないの?おかしくない?」
「チッ。……そんなのハルの気にする事じゃないよ。だから、一言も喋ってはダメだよ。」
え、今舌打ちした?……もしかして、嘘?
「ちょっと、ジル!それ嘘でしょ!!本当は、挨拶しないといけないんじゃないの!?」
「しなくていいんだ!!ハルは。」
僕はって何?今までの王妃達はしていたの?
「ジル、何隠してるの?教えて!!でないと、僕は普通に挨拶するよ。」
「……ハルは脅すのが好きだね。」
ジルはため息をついている。
いや、脅すのが好きなのはジルだろ!?
「仕方ないな。父上やショーンさんとも話し合って決めた事だから、もう変えられないからね?それだけは言っておくよ。」
変えられないって?てか話し合ったって…。
「ハルは声変わりしてから、なんか色気がある声になったんだよ。自分では分からないだろうけど。それで、ハルに良からぬ事を考える者が出るかもしれないし、他国の王族が何を考えるかも分からない。この容姿に加えてエロい声だったら確実に狙われる。だから、ハルは声が出ないと言う事にしておいたんだよ。この知らせは結婚の知らせと同時に民にも他国にも伝えてあるから、変えることは出来ないんだよ。」
……え、なんでそんな考えに至ったんだ。まず、僕の声は普通だ。容姿だって、小さい頃に比べ、可愛さもなければ、綺麗な訳でもない。僕の周りに居る人達は、絶対におかしいと思う。
「ハル、そろそろ自覚して欲しいんだけど……。」
「いや、自覚も何も僕は普通だよ!!変わっていると言えばこの髪色に男なのにこの長さだよ!」
僕は、髪を切る事を許されず、伸ばしっぱなしになっている。いつも後ろに一本に結い、前に垂らす様な形になっている。
もう邪魔で仕方ないんだよ。
「確かにそれも目立つよ。しかし、それに負けない程の容姿と声なんだよ。」
「なら髪だけでも切らせてよ!!」
「ダメ。綺麗な髪の毛なんだから。それに、時々切り揃えるのは許しているでしょう?」
「それも、ほんの数センチだよ!!バッサリ切りたいの!」
「そんな勿体無い事は出来ないね。」
もう、これ言っても無駄だよね。分かってる、分かってるけど僕は嫌なんだ!このやり取りだって何回したか分からない。
僕はため息をつき、ジルは勝ち誇った表情をしている。
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