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chapter1
知恵熱出ちゃった(テヘ
しおりを挟むあれから、数日がたち……え、展開早いって?? いや、だって僕の平々凡々とした生活見たってなんの面白味もないでしょ??
それより、やっと新入生歓迎会が来たんだよ!! しかも、鬼ごっこだって!! いやー、テンション上がりまくって、今は知恵熱出て部屋に居ます。ハイ。
慶が僕と同室な為、熱がでた途端にベッドに戻されました。流石慶だよ……過保護すぎる。
とまあ、僕は天井と睨めっこしながら、来週の新入生歓迎会を待っている。しかし、楽しい事ばかり考えていられないのが、現実だ。僕はこの通り、すこーーーしばかり、身体が弱く、走れないのだ。だから、慶に担がれる。でも、今回ばかりは担いで鬼ごっこなんて出来ない。しかも、まだ鬼か逃げる方か決まっていないから不安しかない。
「どうしたものか」
僕は、必死に考えて居ると、ブーブーと携帯が鳴った。
その画面には慶の名前がある。
「はい、もしもし」
『涙、今体調はどうだ??』
電話を出ると、いつもより優しめの声が聞こえた。僕が体調を壊した時は、大抵この声質になる。
「今は怠さもないし、熱も下がったっぽいから暇だよ~」
『……チッ、仕方ない』
ん? なんだい?? 今ぼそっとなんか言ったよね?? 声が小さくてよく聞こえん。
『今少しだけ職員室に来れるか?? 無理そうなら迎えに行くが』
「職員室? いいけど、僕なんかした??」
なんかしてしまったのなら一大事だ!! 僕の特待生枠に関わる!!
『いや、違う。新入生歓迎会の事で話したい事がある』
「新入生歓迎会?わかった~、職員室に行けばいいんだね??」
『あぁ……いや、俺がやっぱり迎えに行く。待ってろ』
「は? いいよ、職員室くらい行けるから」
『いや、あのな……お前……ここじゃ言えないか。取り敢えず待ってろ!!』
言うだけ言って一方的に切られてしまったよ。
「取り敢えず、準備しておくか~」
15分位たった頃、ガチャと玄関が開く音がした為、僕も扉の方へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
(side慶)
あのクソ教師。わざわざ今じゃなくてもいいだろ。
俺はイラつきながら、寮へ向かった。
「あいつ、絶対分かってないよな。しかし、あそこで言ったらあのクソ教師にバレる」
部屋の前につき、自分のセキュリティカードをだし、扉を開けた。
「お、きたきた~、準備は出来たから行こうか!!」
と、呑気に出てきた涙は、やはり自分の想像していた通りだった。
「それで準備が出来たのか?? 明らかに出来てないと思うが??」
「え??……ハッ!」
涙は、玄関にある全身鏡を見て、慌てて中に引っ込んだ。
まあ、誰が見ても今の涙を、涙だとは思わないだろうが……
しばらく待っていると、やっと涙が出てきた。
「お、お待たせしました」
サラサラの黒髪に黒目、そして黒いセーターに、黒の手袋、黒のネックウォーマー。これが、いつもの涙の姿になる。それも、今はまだいいが、夏もこの格好だ。本人も辛いだろうとは思うが、仕方ないだろ。元の姿は、雪兎の様な真っ白い肌に、真っ白な肩まである髪。そして、色素の薄い赤目に白いまつ毛。この世の者とは思えないほど、幻想的に見える綺麗な男の子。
……涙は、アルビノだ。
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