Release 僕の神様

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滾れ、文化祭!1

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 7月の大きな行事は、文化祭だ。新徳高校の文化祭は3日間あり、一日ごとに仮装パレード、ステージ発表、出店をしなければいけない。そして、クラスの28人を三等分して作業することになっている。



 僕の所属する2年1組が行うものは、殆どクラスの中心になっている女子グループによって決められた。仮装は最近映画にもなった今大人気の某アニメの衣装、ステージ発表は定番の歌とダンス、出店はお化け屋敷らしい。



 やりたい係のところに記名するように、と学級委員長が黒板を3分割してそれぞれの係の枠を作った。周りの人たちがぞろぞろと席を立ち、友だちとどの係になろうかと楽しそうに話すが、僕はその動向を見守るしかない。正直、何でもいい。



 ステージ係は注目を浴びたいような、クラスの女の子たちが固まっており、そんな陽キャグループに混ざろうとする人たちはあまりいない様子だった。そのため、別に注目はいらないが仲のいい子と思い出作りをしたい系の人たちは仮装や出店を希望した。



 僕はへーちゃんのことが気になったが、彼も記名してはいなかった。学級委員長の五木くんに声を掛けられると「空いているところでいいから最後に決める」と答える。へーちゃんとつるんでいる近衛くんや加山くんは五木くんに聞かれてもスマホを弄っている。



 結局、彼ら3人は人気の少なかったステージ発表の係に配属となった。



 「優は?」



 「え?」 



 「え、って。お前だけ名前ねぇぞ」



 確かに、僕は記名していない。そもそも、参加して良いのかもわからなかった。



 というのも、僕は高校ではいじめられてはいないものの、いない存在に扱われている。実は1年生のときなんて係に配属されてなくても気付かれなかったのだ。そのまま何の準備もできず、文化祭は独り廊下の隅で過ごした。



 自分から声を上げる勇気もないし、学級委員長に声を掛けられたるのを待っていたのだ。でも、やっぱり僕は彼らにいないように扱われているらしい。へーちゃんや、普段サボるような近衛くんたちに声は掛けても僕には掛けてこなかった。



 へーちゃんはそんな幽霊のような僕を、仏頂面で見ている。



 「優は何してぇんだよ」



 「え、えっと……何でもいい、かな……」



 「五木、コイツもどこかに入れてやってくれ」



 「あぁ、すまないな。忘れてた」



 へーちゃんに言われて五木くんが、僕をあまっていた仮装パレード係に入れた。



 「相沼、参加するんだぁ! ウケる!」 



 五木くんが僕の名前を書くと、同じく学級委員長の榊さんがクスクス笑う。彼女はステージ係に配属した、クラスの目立ちがりやな女子だった。長い茶髪をクルクルに巻いて、まつ毛を毎日上げて登校している。気の強い女子で、もちろん僕とは無縁の存在だ。



 でも、1年生から同じクラスなのでたまに授業でグループを組むこととかもあった。その度にキツイことを言われるので、苦手だ。



 榊さんが笑ったことで、他の彼女の取り巻きも笑い出す。いじめはない、と自分では言っているがこうやって馬鹿にされることは度々ある。特に榊さんグループには陰口を言われている。陰キャだとかは言われても事実だしなぁって思うだけだけど、この前臭いと言われていたときはさすがに凹んだ。



 「相沼ってさぁ、勉強もできないしスポーツもできないし、友だちいないし、何で学校来てるわけ? しかもブサイクだし!」



 「榊は性格ブスだな」



 ゲラゲラ笑っていた声が、一瞬で白けた。



 へーちゃんは榊さんをじっと見つめたまま、鼻で笑う。



 「は、はぁ!?」



 「大勢の前で自分の性格の悪さアピールして楽しいかよ、ウケる」



 へーちゃんの言葉に榊さんの顔が赤くなる。それを見て近衛くんが吹き出している。



 ふ、雰囲気が最悪なんだけど……!!



 「邪魔したな、悪い。話し合い、進めて」



 「あ、そ、そうだね!」



 榊さんが言い返してこないのを見て、へーちゃんは進行していた五木くんに軽く頭を下げた。



 口をワナワナさせている榊さんと対象的に涼しい顔をしているへーちゃんが、やっぱり凄い人だなと思う。



 へーちゃんは多分、僕の文化祭への貢献度なんて興味がない。ただ、僕だけが参加していないという状況を変えてくれたに過ぎない。



 自分から輪に入れない僕にとって、本当に感謝しかない。



 榊さんに怒られるかと思ったが、どうやら彼女はへーちゃんに怒りの矛先が向いているようで僕には目もくれていなかった。



 それに胸を撫で下ろしつつ、係での話し合いが始めるということで僕は席を移動した。

 



 下校時間になり、僕は帰る支度をしつつへーちゃんへのお礼を伝えるタイミングを窺っていた。



 結局、話し合いは他の子たちが盛り上がっていて僕は空気だった。みんなの意見を聞きながら愛想笑いだけを浮かべる。虚しいだけの時間だ。



 それでも、去年はどの係にも参加せず教室の隅に座っていたことを考えれば係に所属できただけでも成果は大きい。



 へーちゃんは近衛くんと加山くんと帰るらしい。近衛くんの大きな声から、これからカラオケに向かうことがわかる。



 2人がいるからへーちゃんに話しかけにくく、じっと彼らを見ていた。へーちゃんは僕の視線に気付いて一度目が合ったが逸らされてしまう。



 僕がモジモジしていると、へーちゃんに女の子が声を掛ける。



 類沢さんは、引っ込み思案の子だ。他のクラスには友だちがいるようでたまにその子と話しているのを見るが、クラスでは孤立していた。



 確か類沢さんはへーちゃんと同じステージ係だった。さっき彼らの話し合いの声が聞こえていたが、榊さんは今度は僕ではなく類沢さんをターゲットにして嫌味を言っていた。そこにやっぱり突っかかるのが、へーちゃんだった。



 多分、へーちゃんは相応なお節介なのだろう。



 「さっき、ありがとね」



 「はぁ?」



 盗み聞きは悪いと思いつつ、彼らの声が聞こえる微妙な立ち位置に行く。どの道、へーちゃんに声を掛けたいので近くには行かないといけないのだと、自分に言い訳をする。



 へーちゃんはよくわからないと言いたげに首を傾げた。よほど勇気を振り絞ったらしい類沢さんは、へーちゃんに気持ちが伝わらず目を泳がせる。



 「えっと、ほら、さっき、私の意見も聞いてくれたでしょ……? だからね、その……嬉しかったの」



 「お前、あんなんでいいのかよ」



 「え?」



 「やりてぇことがあるからステージ係に入ったんだろ。このままだと、お前の意見なんて聞くこともしないでアイツらが全部決めて全部やるぞ」



 へーちゃんは肩に鞄を掛けながら、類沢さんの目を見て言った。



 ステージ係の中心は、間違いなく榊さんだ。だから、類沢さんの意見はあっさり弾かれたのだろう。いや、そもそも意見を言う機会すら与えられないのだ。



 類沢さんは極度の人見知りなのだろう。同級生相手に足が震えている。



 「でも……榊さんの言うこともわかるの……私が何したって……楽しくない……」



 そして、類沢さんは遂に泣き出した。傍にいた近衛くんも加山くんも、驚いて周りを見ている。泣かせた、と思われたくないのだろう。確かに、怪訝な目をしている人たちは何人かいた。



 へーちゃんは呆れたように大きなため息をついた。それから、自分のポケットからキレイに折り畳まれたハンカチを取り出して、泣いている類沢さんに差し出した。



 「お前だってアイツらのやりてぇことしたって楽しくねーだろ。お互い様じゃねーか」



 「……でも、」



 「何であんな奴らの顔色伺ってんだよ。バカみてぇ」



 「……」



 「はやく使え」



 へーちゃんは類沢さんの手にハンカチを握らせる。類沢さんは声に出して泣きながら、そのハンカチで目を覆った。



 「ステージ発表10分なんだろ。お前、アイツらと別で発表したらいいだろ」



 「それいいじゃん! 俺も1分くらいもらおうかな!?」



 へーちゃんの案に、何故か近衛くんが乗っかった。



 「いっそこっちは4人でステージやらね? 3分くらいもらえばできるっしょ」



 「え、俺もやんの!?」



 加山くんが驚くと、近衛くんは「当たり前じゃん」と満面の笑みを返した。髪も染めて、タバコも吸って、授業もまともに受けないような彼らに巻き込まれそうになっている類沢さんは目を丸くしていたが、3人の顔を見ながら声を振り絞った。



 「い、いいの……?」



 「俺はいい! 双郷と加山もいいだろ?」



 「んー……まあ、双郷と近衛がやるならいいけど」



 「俺もどっちでもいい」



 3人の返事に、類沢さんはますます涙を流した。



 「あり、ありがとう……」



 「じゃあ、決まりだな。おーい、榊!」



 ……へーちゃんに声を掛けるタイミング、ないなぁ。



 近衛くんは大きな声で、彼ら4人以外のステージ係でタムロしている榊さんを呼んだ。榊さんは近衛くんの声に、不快そうに目を細める。



 「なに?」



 「お前らはお前らで発表していいから、俺らに3分くれよ」



 「どういうこと?」



 「お前らは5人でダンスなりバンドなり好きなことしてくれ。俺らは4人で何かやるから」



 近衛くんがハキハキと言うと、榊さんは人を見下すように笑いながらへーちゃんを指差す。



 「なに? 正義のヒーロー気取り? 類沢のためなんでしょ? ウケるんだけど!! どうせ双郷が言い出したんでしょ? 前から思ってたんだけど、双郷ってもしかして先生にいい子ぶってるの? それとも弱い子助けてる俺カッケェって思ってるの? 相沼のときも思ったけど、そーいうのマジで白けるからやめたらぁ?」



 へーちゃんに何てこと言うんだ!



 なんて思ったけど、やはり僕はそんなこと言う勇気が出なかった。



 ゲラゲラと下品に笑う榊さんに、榊さんの友だちも同調して笑う。でも、クラスに残っていた人たちは引いていた。



 言われた当の本人であるへーちゃんは、榊さんに挑発されてこちらも見下すように笑っていた。その顔は、どう見ても正義のヒーローではない。



 「んなわけねぇだろ。お前、弱いものいじめして、自分が上だと勘違いしてるんだろ? 大概、俺と変わらねぇんだな」



 「はぁ? どういう意味よ」



 「誰かの上に立っていい気になってるクズだろ? 他人をコケにして自分は強いって思えると最高だよなぁ、わかるぜ? 俺もそうだから。自分が一番強いって思えると気持ちいいよなぁ」



 へーちゃんは、はじめて見るくらいの満面の笑みを浮かべて言った。その笑みを見ると、何故か自分に向けられた訳でもないのに背筋に冷たいものが走る。笑った顔はキレイなのに、冷たい瞳には明らかな敵意が籠められている。獲物を射殺すような視線なのだ。



 はじめて、人の笑った顔が怖いと思った。



 教室に残っていたみんなが、黙り込んでしまっている。



 榊さんはへーちゃんの笑みの圧に負けたのか、唇を噛んだ。



 「……いいわよ、3分ね。それ以上はあげないからね」



 「ああ、どうも」



 へーちゃんは話が終わると、すぐにいつもの表情に戻って教室のドアへ向かった。近衛くんたちも慌てて後を追う。



 「優」



 「あ、ふぇ!?」



 ぼんやり眺めていると、へーちゃんがドアの前で僕を見ている。不機嫌そうに眉間にシワを寄せていた。



 「ずっと見てただろ。用事あんのか」



 「あ、え、えっと! あ、ありがとうね!」



 よかった、言い忘れるところだった……。



 僕の言葉にへーちゃんは興味なさげに「あっそ」と呟いてそのまま教室を出て行った。
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