2 / 20
ばあちゃん家
しおりを挟む
夏休みが始まると、少しだけ気持ちが楽になった。
だけどいつか夏休みは終わる。
その時また学校に通えるのか…絶対に無理。
またいじめられるに決まってる。
家族は僕が学校でいじめられてることに薄々勘づいているっぽい。
だけど、だからといって父さんや母さんに僕がゲイだなんて言えない。
どうしたらいいのか分からなくて怖いよ…誰か…助けて…
僕は将来に対する不安と恐怖で部屋から出られなくなった。
何も食べたくなくて毎日涙が止まらない。
「真白、夏休みの間、四国のばあちゃん家に泊まりに行かない?」
ストレスからほとんど食事を受け付けなくなった真白に、見かねた母が声をかけた。
「ばあちゃん?」
小学生の低学年の頃までは夏休みになると毎年遊びに行っていた祖母の家。
成長と共に回数は少しずつ減っていき、中学生になると全く行かなくなっていた。
懐かしい自然に囲まれた優しい祖母の家。
少しは気分転換になるかも…父と母の勧めを真白も素直に受け入れた。
空港からタクシーと電車とバスを乗り継いで数時間…海と山に囲まれた祖母の家に着く頃にはすっかり日が暮れていた。
電灯のほとんど無い薄暗い田舎道を、記憶と地図アプリを頼りに進む真白。
「えーと…そろそろだよね…」
自分に言い聞かせる独り言が増え、だんだんと不安に襲われてゆく。
「おーい!真白!こっちやでー」
聞き覚えのある声に強ばっていた頬が思わず緩んだ。
家の前で待つ祖母が懐中電灯を振って真白を呼んでいる。
かなり小さくなった祖母を見つけた真白は、キャリーバッグやたくさんの土産を置いたまま走り出した。
「ばあちゃん!久しぶり!」
「真白!ちょっと見ん間にえらい男前になったなぁ」
久しぶりの再会に涙ぐみながら祖母を抱きしめる真白。
自分のキャリーバッグがコロコロと近づいてくる音に気付いてない。
「荷物ほったらかしてどないしてん?」
すぐ後ろから聞こえる低い声。
「え?あ、荷物!?」
慌てて振り返ると、背が高く体格の良い高校生くらいの少年が首を傾げている。
「悠一ありがとな。この子は孫の真白や。悠一と同い年やで」
小柄な祖母の倍はありそうな大きな身体。
発達した筋肉と日に焼けた肌は、細身で名前の通り色白の真白とは対照的である。
「おう!真白君はじめまして。近所に住んどる桐生悠一です」
よく声の通る元気そうな悠一に圧倒された真白は言葉を失った。
呆然と悠一を見上げる真白の胸が高鳴る。
「あ、あの…如月、如月真白です。ありがとうございます」
深々と頭を下げた真白は緊張して、ビーチサンダルを履いた悠一の大きく逞しい足元しか見ることができない。
「真白は悠一より男前やろ?ばあちゃん自慢の孫なんよ」
「男前ゆうか…ばあちゃんにそっくりな美人さんやな」
慣れた口調で祖母と会話する悠一が頭を下げたままの真白の背中を軽く叩く。
も、ええよ、頭上げて?
真白は悠一の心の声が伝わりゆっくりと顔を上げた。
「ホンマか悠一。嬉しいこと言うてくれるなぁ。小遣いやる」
「いらんて!」
ヤバい…どうしよう…ドキドキする…桐生君って優しいし、体型と雰囲気が好みのタイプすぎる…
だけど僕の気持ちを知ったらまた…きっと…
ダメだ。
絶対に好きになっちゃいけない。
もう傷つきたくないから。
だけどいつか夏休みは終わる。
その時また学校に通えるのか…絶対に無理。
またいじめられるに決まってる。
家族は僕が学校でいじめられてることに薄々勘づいているっぽい。
だけど、だからといって父さんや母さんに僕がゲイだなんて言えない。
どうしたらいいのか分からなくて怖いよ…誰か…助けて…
僕は将来に対する不安と恐怖で部屋から出られなくなった。
何も食べたくなくて毎日涙が止まらない。
「真白、夏休みの間、四国のばあちゃん家に泊まりに行かない?」
ストレスからほとんど食事を受け付けなくなった真白に、見かねた母が声をかけた。
「ばあちゃん?」
小学生の低学年の頃までは夏休みになると毎年遊びに行っていた祖母の家。
成長と共に回数は少しずつ減っていき、中学生になると全く行かなくなっていた。
懐かしい自然に囲まれた優しい祖母の家。
少しは気分転換になるかも…父と母の勧めを真白も素直に受け入れた。
空港からタクシーと電車とバスを乗り継いで数時間…海と山に囲まれた祖母の家に着く頃にはすっかり日が暮れていた。
電灯のほとんど無い薄暗い田舎道を、記憶と地図アプリを頼りに進む真白。
「えーと…そろそろだよね…」
自分に言い聞かせる独り言が増え、だんだんと不安に襲われてゆく。
「おーい!真白!こっちやでー」
聞き覚えのある声に強ばっていた頬が思わず緩んだ。
家の前で待つ祖母が懐中電灯を振って真白を呼んでいる。
かなり小さくなった祖母を見つけた真白は、キャリーバッグやたくさんの土産を置いたまま走り出した。
「ばあちゃん!久しぶり!」
「真白!ちょっと見ん間にえらい男前になったなぁ」
久しぶりの再会に涙ぐみながら祖母を抱きしめる真白。
自分のキャリーバッグがコロコロと近づいてくる音に気付いてない。
「荷物ほったらかしてどないしてん?」
すぐ後ろから聞こえる低い声。
「え?あ、荷物!?」
慌てて振り返ると、背が高く体格の良い高校生くらいの少年が首を傾げている。
「悠一ありがとな。この子は孫の真白や。悠一と同い年やで」
小柄な祖母の倍はありそうな大きな身体。
発達した筋肉と日に焼けた肌は、細身で名前の通り色白の真白とは対照的である。
「おう!真白君はじめまして。近所に住んどる桐生悠一です」
よく声の通る元気そうな悠一に圧倒された真白は言葉を失った。
呆然と悠一を見上げる真白の胸が高鳴る。
「あ、あの…如月、如月真白です。ありがとうございます」
深々と頭を下げた真白は緊張して、ビーチサンダルを履いた悠一の大きく逞しい足元しか見ることができない。
「真白は悠一より男前やろ?ばあちゃん自慢の孫なんよ」
「男前ゆうか…ばあちゃんにそっくりな美人さんやな」
慣れた口調で祖母と会話する悠一が頭を下げたままの真白の背中を軽く叩く。
も、ええよ、頭上げて?
真白は悠一の心の声が伝わりゆっくりと顔を上げた。
「ホンマか悠一。嬉しいこと言うてくれるなぁ。小遣いやる」
「いらんて!」
ヤバい…どうしよう…ドキドキする…桐生君って優しいし、体型と雰囲気が好みのタイプすぎる…
だけど僕の気持ちを知ったらまた…きっと…
ダメだ。
絶対に好きになっちゃいけない。
もう傷つきたくないから。
0
あなたにおすすめの小説
素直になれなくて、ごめんね
舞々
BL
――こんなのただの罰ゲームだ。だから、好きになったほうが負け。
友人との、くだらない賭けに負けた俺が受けた罰ゲームは……大嫌いな転校生、武内章人に告白すること。
上手くいくはずなんてないと思っていたのに、「付き合うからには大切にする」とOKをもらってしまった。
罰ゲームと知らない章人は、俺をとても大切にしてくれる。
……でも、本当のことなんて言えない。
俺は優しい章人にどんどん惹かれていった。
初恋ミントラヴァーズ
卯藤ローレン
BL
私立の中高一貫校に通う八坂シオンは、乗り物酔いの激しい体質だ。
飛行機もバスも船も人力車もダメ、時々通学で使う電車でも酔う。
ある朝、学校の最寄り駅でしゃがみこんでいた彼は金髪の男子生徒に助けられる。
眼鏡をぶん投げていたため気がつかなかったし何なら存在自体も知らなかったのだが、それは学校一モテる男子、上森藍央だった(らしい)。
知り合いになれば不思議なもので、それまで面識がなかったことが嘘のように急速に距離を縮めるふたり。
藍央の優しいところに惹かれるシオンだけれど、優しいからこそその本心が掴みきれなくて。
でも想いは勝手に加速して……。
彩り豊かな学校生活と夏休みのイベントを通して、恋心は芽生え、弾んで、時にじれる。
果たしてふたりは、恋人になれるのか――?
/金髪顔整い×黒髪元気時々病弱/
じれたり悩んだりもするけれど、王道満載のウキウキハッピハッピハッピーBLです。
集まると『動物園』と称されるハイテンションな友人たちも登場して、基本騒がしい。
◆毎日2回更新。11時と20時◆
三ヶ月だけの恋人
perari
BL
仁野(にの)は人違いで殴ってしまった。
殴った相手は――学年の先輩で、学内で知らぬ者はいない医学部の天才。
しかも、ずっと密かに想いを寄せていた松田(まつだ)先輩だった。
罪悪感にかられた仁野は、謝罪の気持ちとして松田の提案を受け入れた。
それは「三ヶ月だけ恋人として付き合う」という、まさかの提案だった――。
孤毒の解毒薬
紫月ゆえ
BL
友人なし、家族仲悪、自分の居場所に疑問を感じてる大学生が、同大学に在籍する真逆の陽キャ学生に出会い、彼の止まっていた時が動き始める―。
中学時代の出来事から人に心を閉ざしてしまい、常に一線をひくようになってしまった西条雪。そんな彼に話しかけてきたのは、いつも周りに人がいる人気者のような、いわゆる陽キャだ。雪とは一生交わることのない人だと思っていたが、彼はどこか違うような…。
不思議にももっと話してみたいと、あわよくば友達になってみたいと思うようになるのだが―。
【登場人物】
西条雪:ぼっち学生。人と関わることに抵抗を抱いている。無自覚だが、容姿はかなり整っている。
白銀奏斗:勉学、容姿、人望を兼ね備えた人気者。柔らかく穏やかな雰囲気をまとう。
俺の人生を捧ぐ人
宮部ネコ
BL
誰かを好きになるなんて、気持ち悪いと思ってた幼少期の自分。
高校一年の途中、あいつと再会したことでその気持ちが揺らぐ。
気付いたら止められない気持ちを一体どうすればいいのか。
俺はずっと持て余し、十年ほどの片思いを続けた後、決めた。気持ちを伝えようと。
※一応完結しましたが、現在修正しています。
そのため一度連載中に戻していますのであしからず。
視線の先
茉莉花 香乃
BL
放課後、僕はあいつに声をかけられた。
「セーラー服着た写真撮らせて?」
……からかわれてるんだ…そう思ったけど…あいつは本気だった
ハッピーエンド
他サイトにも公開しています
幸せごはんの作り方
コッシー
BL
他界した姉の娘、雫ちゃんを引き取ることになった天野宗二朗。
しかし三十七年間独り身だった天野は、子供との接し方が分からず、料理も作れず、仕事ばかりの日々で、ずさんな育て方になっていた。
そんな天野を見かねた部下の水島彰がとった行動はーー。
仕事もプライベートも完璧優秀部下×仕事中心寡黙上司が、我が儘を知らない五歳の女の子と一緒に過ごすお話し。
はじまりの朝
さくら乃
BL
子どもの頃は仲が良かった幼なじみ。
ある出来事をきっかけに離れてしまう。
中学は別の学校へ、そして、高校で再会するが、あの頃の彼とはいろいろ違いすぎて……。
これから始まる恋物語の、それは、“はじまりの朝”。
✳『番外編〜はじまりの裏側で』
『はじまりの朝』はナナ目線。しかし、その裏側では他キャラもいろいろ思っているはず。そんな彼ら目線のエピソード。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる