神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります

ぐるぐる

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始まり〜シイ村

なんでもは禁句

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道から少し逸れた所に、森で使っていたお家を出した。
私とエンのおうち。
いくら同郷といえどもソーマも同じ屋根の下一緒には無理だ。
だからもう一軒、ソーマ専用の家を出してあげようと思う。

まだ陽は沈みきっていない。
夕食の時間のようだ。
もはや食事の時間という概念がなくなってしまったのでソーマの様子で察するしかない。
ソーマは自分の食事を、私があげた調味料を駆使して調理し始めた。
うん、なかなかに良い匂い。

食べるか訊かれて丁重にお断りし、またソファを出してエンと座る。
またマグも出してアールグレイを飲む。
良い香りだ。

「それでね、夜は私たちはこのお家で休むね。
 結界魔法が付与されてて鍵閉めちゃえば安心だから。
 もしかしたらソーマのアイテムボックスに収納できないかなって思ったんだけど」

「いや、まさか、家まで貰うわけには。
 というか、家はアイテムかな?
 入るかどうかちょっとわからない」

「そしたらさ、今この私のお家を収納してみてよ。
 それで収納できたらソーマのお家を作ろう!」

小さい1人用鍋でリゾットをぐつぐつさせながら、空いてる手をお家に向けた。

するとお家が消えた。
次にはお家が現れた。

「できた・・・・・・」

よし、ソーマの家だ!

「どんな家がいいかな?」

私は満面の笑みで問うた。

「えーいやー家まで収納できるなんて驚いた。
 どんな家と急に言われてもー、うーん・・・・・・
 
 なんでもいいよ」



なんでもいいよ



ソーマは主婦に対して禁句を言ってしまった。
男はそのセリフが禁句であることを知らない。
軽い気持ちで言ってしまったが、家まで貰うなんて信じられない、申し訳ないといった遠慮の気持ちから出た言葉だった。

「ちょっとソーマ、なんでもいいはやめてくれる?
 トイレがあるとか、風呂があるとか、色々あるよね?
 少しずつで良いからさ、ちゃんと考えてくれる?」

今までのシイとは全然違う冷たいトーンにソーマはちょっと焦った。
怒ってるのかな?
ソーマはわからない。
何せ昨日出会ったばかりだ。

「うん、そうだね、トイレとお風呂はあるといいかな。
 でもほんと、一般的な家でいいですよ。
 あれこれ言える立場じゃないですから」

微妙に丁寧語が出てきたソーマ。
空気がピリピリしてるのを感じていた。
気を遣ったつもりが墓穴を掘っていることに全く気付かない。
またもや遠慮して言っただけなのだが、それがシイの癪に触った。

「あのね、例えばなんだけど、あなた~、今日の夕飯何にします?て奥さんに訊かれて、なんでもいい、なんて答えたことはありますか?」

シイも丁寧語に。
シイが敬語や丁寧語を使うときは大概相手を信用していないか、警戒しているか、馬鹿にしているか、怒っているかのいずれかで、今は怒っている。

「……はい。冷蔵庫にある物で作りやすい物をと思って……」

「それは、奥様に……いえ、主婦にはNGワードなんですよ。
 なんでもいいなんて、絶対に言ってはいけません。
 毎日毎食メニューを考えなくてはいけない主婦が、たまにはメニューを考えない日があってもいいじゃないですか!
 愛する旦那さんの食べたい物をたまには聞いて作りたいって思う日があってもいいじゃないですか!
 あなたは、奥様の気持ちを踏み躙っていたのですよ!
 いいですか?なんでもいいなんて、金輪際口にしてはいけませんよ??」

どぅーゆーあんだすたん?

それと同じことを私に言ったんだよ。
気づいてくれよ。
テメーの家の間取りはテメーで決めろや。

「そうだったんですね……全く知らずに……妻には悪いことをしました……。
 償いはもうできませんが、シイの言う通り、今後は絶対になんでもいいなんて言いません。
 シイ、教えてくれてありがとう」

うんうん、わかってくれたのなら、それでいいんだよ。

それじゃあ間取りを考えようじゃないか、きっと楽しいと思うよ。
いやいや、楽しもうよ。

「将来的には何人家族になる予定ですか?
 人数に応じた部屋数にしましょう。
 もちろん人数に応じた広さも確保しなくちゃ」

「そうですね、私と妻と、妻のご両親、子どもはふたりくらいかな?」

「では6人くらいね!」

夫婦の部屋はちょっと広めで、可動式の収納棚兼間仕切りを作ってやって、模様替えやひとり部屋が簡単にできるようにしよう。

奥さんのご両親の部屋は1階だね。
同じように広めで、可動式の収納棚兼間仕切りを。
1階には他にリビングにキッチン、トイレとお風呂。

ロフトを作って収納したい、階段下のデッドスペースはちゃんと収納に使いたいという意見も出たから望み通りにする。

2階は夫婦の部屋と、子ども部屋。
子ども部屋も将来的にひとり部屋に改造できるように可動式収納兼間仕切りもちゃんと作っておく。

客間もできて、ベランダには広目の屋根をつけといた。

家具も必要だろう。
ベッドに寝具、ダイニングセット、食器なども全部魔法で顕現させた。

「さ、内覧して他に必要なものがあったら言ってね!」

渾身の出来ににまにましながらソーマを急かして家の中へ入っていった。
家の内覧って楽しー!

可動式収納棚兼間仕切りに感動!
ソーマもこんな便利なものがあるなんて知らなかったと感動!

あとは食材置き場、パントリーと靴棚を作って終了した。

その夜、ソーマは夜食として魚沼産コシヒカリのおにぎりを、のりたまで食べるか、ゆかりで食べるか悩んだとか。
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