神々の娯楽に巻き込まれて強制異世界転生ー1番長生きした人にご褒美有ります

ぐるぐる

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始まり〜シイ村

さ、早く帰ろう

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エンが飛び続け、夜も飛び続けた。

夜の飛行はとても幻想的だった。
相変わらずキレイな星空。
強く光る星、弱い星、赤っぽい星、青っぽい星、黄色っぽい星があったりして、全然飽きなかった。
強く光る星を線で繋げて何かの形にしたりして、想像を膨らませた。
ずっと見上げていたから、いくつか流れ星も見たよ。

少しずつ空が明るんでくる色合いも素敵だよね。
しばらく私たちは沈黙して、夜から未明の飛行を楽しんだ後、広大な森の先に聳え立つ岩肌の多い山に降り立った。
本当に広い広い森で、遠くに見える山になかなか近づかなかったよ。
その山頂で、エンは猫の獣人になって私と並んで腰掛け、いつものように2本の尻尾をゆるく絡ませた。
朝日がのぼり、眼下の大地が色づく様をふたり寄り添って鑑賞した。

「エン、ありがとう」

キレイなものを見せてくれてありがとう。
私はこういうものをたくさん見たいんだ。
キレイな自然は、心をキレイにしてくれるから。

疲れない
眠くない
寒くない
暑くない
お腹空かない

この特殊な体のお陰で、いつでもどこでも自由気ままに自然鑑賞できるんだ。
そこはあの神様に感謝だね。

「もう少し見ていくか?」

エンはお礼を言われて満足した笑顔を見せて言った。
首肯して、魔法でふたり分のアールグレイを出して片方を渡した。

この一杯を味わったら出発しよう。
言わなくても、言葉が少なくても、もう通じ合っている。

ふたりきりって、久しぶりだね。
静かで良いわ。

「少し離れる。ここで待っててくれ」

徐ろにエンがカップを置いて立ち上がった。
獣人の姿だというのに猫姿と変わらぬものすごい速さで何処かへ行き、あっという間に戻ってきた。

また猫の獣人になって、尻尾を絡ませて座った。

「この花をシイに。それから高い山にしかならない実だ。
 甘酸っぱいぞ」

一輪の小さな花は、少しだけ慎み深そうに首を垂れ、5弁の花びらは澄んだ空色でとてもキレイだった。
その葉は少し肉厚で長楕円形。
丈に比べ小さな花を咲かせ、全体に柔らかい毛が生えていた。

鑑定
 花
 名 ポーゲプーシス
 強い幻覚作用の毒性あり
 濃度を薄くして痛み止めの薬の材料に使える
 王侯貴族などで高額取引されている

なんとなく鑑定してみて、毒性という文字に少し驚いた。
でも私の体は毒も大丈夫なんだったと、すぐに思い出して落ち着いた。

気づいたら私の収納魔法で入っていた。
ずっと自動採取の魔法をかけっぱなしだったね。
自動採取したものは売って、エンから貰った花は大事にしまっておこう。

果物の方は、鮮やかな黄色でひとくちサイズ。
観察してるとエンが先にパクッとそのまま口に入れた。

鑑定
 果実
 名 ダイ
 食用可
 皮は酸っぱく果肉は甘い
 咳止め、抗炎症、粘膜を強くする
 内臓にも効く抗炎症薬として使える
 王侯貴族などで高額取引されている

パクッと食べると程よい酸味のある甘くて柔らかい果物だった。
みかんに似た味がする。
酸味のあるみかん、大好きだよ。
ひとくちサイズで皮を剥かなくて良いなんて、手も汚れない良い果物だね。

これも収納魔法でたくさん入っていた。
食べるのも良いけど、売るのも楽しみだな。
あ、お土産にもなるね。

会話の少ないふたりの静かな時間を楽しんで、また目的地へ向かった。

海を越え、谷へ着き、そこでもまた様々な物を自動採取。
ここは僻地で、Sランクの冒険者が迷い込んだ時くらいにしかこないような場所で、珍しいものしかなかった。
もちろんクエストのお品もしっかり採取しましたよ。

これは生きたままの捕獲なので自動採取は不可。
エンが捕まえてきてくれた。

鑑定
 虫
 名 キーベル
 体長1~1.5cmで、濃い青の羽に金色の縁取りがあり、他の部位も金色
 カーズルの葉を食べる

小さいけどブローチにしたいくらい可愛い虫だった。

「ごめんね」

思わず呟いた。

依頼主があなたをどんなふうにしたいのか私は知らないんだ。
でもカーズルの葉とセットで採取依頼が出てるから、きっとすぐには死なないと思う。

でもごめんね。

エンが捕獲した瓶にもカーズルの葉を入れて、空気も少し入るように、薄い紙で封をしたら、爪楊枝で小さな穴を3個あけた。
穴3個に意味はない。

さて、ここまで丸3日。
村から連絡がない。
良いことだ。

帰りは私の魔法で転移して一瞬で帰りますよー!

街の少し離れた場所へ、転移!
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