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始まり〜シイ村
心の中は、大嵐
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ギルマス室を出る時にちょっとだけ声が聞こえた。
「つい先日出かけたばかりでもう帰ってくるとか有り得ない。
ここからどれだけ遠くの場所にある品々か・・・・・・
それだけでシイ様の偉大さがわかるだろう?
常軌を逸している。
情報の取り扱いからシイ様への対応、全てにおいて間違いを犯すなよ。
シイ様は妖精だが、神の如き、妖精だ。
忘れるなよ」
ドアを閉めて部屋から遠ざかっても最後まで聞こえてしまったギルマスの言葉。
あらやだわたし、裏話が聞こえちゃって、いや、聞いちゃって、知らんぷりしたほうが良いかしら???
神の如き妖精だって思っているくせに、こうして遠くから人の声を拾ってしまうだろうって、考えないのかしら?
常軌を逸しているって言ってるくせにねー。
でも悪口じゃないし、別に良いんだ。
「シイ、あの金額の価値をちゃんと理解しているか?」
ギルドから出るとエンが話しかけてきた。
「桁が多すぎてわからなかったよ」
前世にはカンマという記号があってね、という話をしてやったけど、考えれば価値がどれほどかわかったはずだと怒られた。
「あれは、白金貨10枚分だ」
「ふーん。・・・・・・ん?白金貨って1番大きい金貨じゃん。
あれの1/5ってことは、村の口座に白金貨2枚いれちゃったってことじゃん?
それって凄くない?
村人全員一生遊んで暮らせるね」
「そうだ。やりすぎだ」
そう言われましても、遅かりし。
いや、でも、ポジティブに考えよう!
これで村のために急いでお金を用意しなくちゃいけないってことがなくなったんだよ。
のんびり旅を楽しみながら冒険に行けるんだよ。
楽しまなちゃそんなの冒険じゃないよね。
急がなくて良くなった!
やったー!
「ふむ、さすがシイだな」
エンがため息ついた。
外に出て、村に帰る前に屋台の食べ物をたくさん買って、孤児に渡した。
もうだいぶ警戒しなくなって、私を見かけたら近寄るようになってきた孤児達。
彼らは粗末ながらも屋根や壁のある居場所があるみたい。
そこが彼らにとって安らげる場所であるなら、この街で彼らが元気に育ってくれたらいいと思う。
それからいろんな色、いろんな柄の生地や糸針ボタンなど、食材も買って村へ帰った。
エンの背に乗ってひとっ飛びで村の門に着いたんだけど、村で私たちを待っていたものは・・・・・・
高く聳え立つ私とエンの銅像。
いや、木造だから、木像かな。
猫耳と猫の尻尾がついてる私と、肩に乗るエン。
正面下には妖精シイ様って彫ってあった。
え?
なんでこんなもの作っちゃった?
許可してないけど?
結構うまいけど?
あいつか、あいつ。
工作班ですっごいじょうずな人居たよね、あいつだ。
他の荒い部分は他のヤツがやってみんなで作ったんだろうね。
共同作か。
仲良くやってんじゃん。
・・・・・・いやいやいや、そうじゃなくて、なんで?
恥ずかしいからやめてよー!
私の本当の姿は猫耳とか尻尾とかないし!
エンはでっかいドラゴンだし!
木像はこんな青空の下に置いといたら雨風ですぐに劣化するしね?
やめてよー・・・・・・
「シイ様!お帰りなさい!」
ひとりが気づくとわらわらと村人がどこからともなく集まってきた。
なんだか愛されてる気がしてすごく嬉しくなった。
「ただいまー!」
「シイ様、お疲れでしょう。
中でお茶とおやつをどうぞ」
みんな満面の笑顔ですっごく歓迎してくれた。
後ろから遅れて集まってきた子ども達も笑顔だ。
あ、また増えたんだね。
部屋の数は大丈夫かな?
「うん、ありがとー!
みんなにも屋台の食べ物と、お土産もあるから、全員おいでよ!」
お土産という言葉に喜んで歓声があがった。
しかし皆さん、お土産の前に確認しなきゃいけないことがあるんだよ。
「工作はーん!!!!ちょっと来て」
呼ぶとさっと前に現れた工作班4人。
何かを期待しているのか見えない尻尾をブンブン振って、仲良く並んでいる。
「えっとさー・・・・・・あれはどうしたの?」
必死に笑顔を取り繕っている私の顔の筋肉が痛い。
心の中は大嵐だよ。
こんな像は恥ずかしい。
やめて。
そう思っていても、出来は悪くないし、仲良くしてるし、怒る要素は全くないから、怒れない。
褒めて伸ばす。
ふたたび???
「俺たちの癒しでもあるねーさんが居なくて寂しくて、ねーさんが無事に一刻でも早く帰ってきますようにって考えてたらいつの間にか出来てました!」
なんだそれー!
結構な大作!いつの間に出来上がるもんじゃないよ。
どんだけ一心不乱に彫ってたんだよ。
彼らを褒めなきゃいけないと思うんだけど、全然言葉が出てこない。
「姐御、俺たちは、寂しかったんです。
良かったらあの木像に保護魔法をかけてください」
以前マグカップを作ってくれたおじさまに先を越された。
処分できないじゃーん。
「いや、あのね、ちょっと恥ずかしいよ、あれは」
「お許しください。
みんな姐御が大好きで、姐御が出かけてる間みんな拝んでました。
もうなくてはならない物です」
定着してるー
とりあえず彼らの願いを叶えるべく、保護魔法をかけてやった。
処分できないなら、ちょっと設置場所を考えよっかな。
「つい先日出かけたばかりでもう帰ってくるとか有り得ない。
ここからどれだけ遠くの場所にある品々か・・・・・・
それだけでシイ様の偉大さがわかるだろう?
常軌を逸している。
情報の取り扱いからシイ様への対応、全てにおいて間違いを犯すなよ。
シイ様は妖精だが、神の如き、妖精だ。
忘れるなよ」
ドアを閉めて部屋から遠ざかっても最後まで聞こえてしまったギルマスの言葉。
あらやだわたし、裏話が聞こえちゃって、いや、聞いちゃって、知らんぷりしたほうが良いかしら???
神の如き妖精だって思っているくせに、こうして遠くから人の声を拾ってしまうだろうって、考えないのかしら?
常軌を逸しているって言ってるくせにねー。
でも悪口じゃないし、別に良いんだ。
「シイ、あの金額の価値をちゃんと理解しているか?」
ギルドから出るとエンが話しかけてきた。
「桁が多すぎてわからなかったよ」
前世にはカンマという記号があってね、という話をしてやったけど、考えれば価値がどれほどかわかったはずだと怒られた。
「あれは、白金貨10枚分だ」
「ふーん。・・・・・・ん?白金貨って1番大きい金貨じゃん。
あれの1/5ってことは、村の口座に白金貨2枚いれちゃったってことじゃん?
それって凄くない?
村人全員一生遊んで暮らせるね」
「そうだ。やりすぎだ」
そう言われましても、遅かりし。
いや、でも、ポジティブに考えよう!
これで村のために急いでお金を用意しなくちゃいけないってことがなくなったんだよ。
のんびり旅を楽しみながら冒険に行けるんだよ。
楽しまなちゃそんなの冒険じゃないよね。
急がなくて良くなった!
やったー!
「ふむ、さすがシイだな」
エンがため息ついた。
外に出て、村に帰る前に屋台の食べ物をたくさん買って、孤児に渡した。
もうだいぶ警戒しなくなって、私を見かけたら近寄るようになってきた孤児達。
彼らは粗末ながらも屋根や壁のある居場所があるみたい。
そこが彼らにとって安らげる場所であるなら、この街で彼らが元気に育ってくれたらいいと思う。
それからいろんな色、いろんな柄の生地や糸針ボタンなど、食材も買って村へ帰った。
エンの背に乗ってひとっ飛びで村の門に着いたんだけど、村で私たちを待っていたものは・・・・・・
高く聳え立つ私とエンの銅像。
いや、木造だから、木像かな。
猫耳と猫の尻尾がついてる私と、肩に乗るエン。
正面下には妖精シイ様って彫ってあった。
え?
なんでこんなもの作っちゃった?
許可してないけど?
結構うまいけど?
あいつか、あいつ。
工作班ですっごいじょうずな人居たよね、あいつだ。
他の荒い部分は他のヤツがやってみんなで作ったんだろうね。
共同作か。
仲良くやってんじゃん。
・・・・・・いやいやいや、そうじゃなくて、なんで?
恥ずかしいからやめてよー!
私の本当の姿は猫耳とか尻尾とかないし!
エンはでっかいドラゴンだし!
木像はこんな青空の下に置いといたら雨風ですぐに劣化するしね?
やめてよー・・・・・・
「シイ様!お帰りなさい!」
ひとりが気づくとわらわらと村人がどこからともなく集まってきた。
なんだか愛されてる気がしてすごく嬉しくなった。
「ただいまー!」
「シイ様、お疲れでしょう。
中でお茶とおやつをどうぞ」
みんな満面の笑顔ですっごく歓迎してくれた。
後ろから遅れて集まってきた子ども達も笑顔だ。
あ、また増えたんだね。
部屋の数は大丈夫かな?
「うん、ありがとー!
みんなにも屋台の食べ物と、お土産もあるから、全員おいでよ!」
お土産という言葉に喜んで歓声があがった。
しかし皆さん、お土産の前に確認しなきゃいけないことがあるんだよ。
「工作はーん!!!!ちょっと来て」
呼ぶとさっと前に現れた工作班4人。
何かを期待しているのか見えない尻尾をブンブン振って、仲良く並んでいる。
「えっとさー・・・・・・あれはどうしたの?」
必死に笑顔を取り繕っている私の顔の筋肉が痛い。
心の中は大嵐だよ。
こんな像は恥ずかしい。
やめて。
そう思っていても、出来は悪くないし、仲良くしてるし、怒る要素は全くないから、怒れない。
褒めて伸ばす。
ふたたび???
「俺たちの癒しでもあるねーさんが居なくて寂しくて、ねーさんが無事に一刻でも早く帰ってきますようにって考えてたらいつの間にか出来てました!」
なんだそれー!
結構な大作!いつの間に出来上がるもんじゃないよ。
どんだけ一心不乱に彫ってたんだよ。
彼らを褒めなきゃいけないと思うんだけど、全然言葉が出てこない。
「姐御、俺たちは、寂しかったんです。
良かったらあの木像に保護魔法をかけてください」
以前マグカップを作ってくれたおじさまに先を越された。
処分できないじゃーん。
「いや、あのね、ちょっと恥ずかしいよ、あれは」
「お許しください。
みんな姐御が大好きで、姐御が出かけてる間みんな拝んでました。
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