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1、門は開かれる
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坂元竜馬(サカモト タツマ)は視界不良の雨の中、捨て子猫を拾い近くの動物病院に駆け込み子猫の命を救うも、帰宅途中の交差点で暴走トラックに轢かれ死亡。帰らぬ人となった。
葬儀を見つめるタツマは泣き崩れる両親と兄弟、友人たちを見つめる。
体が焼かれ煙と共にタツマも天へと昇る。
昇った先には閻魔大王様がいて、生前の行いを裁いて行く。タツマの番になり、閻魔大王様に転生を言い渡されたタツマに試練の門が開かれる。
試練の門を越え、タツマは幾つかのスキルを身に着け転生を果たす。
剣と魔法と可能性の世界へとチート転生したタツマの物語が始まる。
寂れた村の貧しい家に生まれる。
母親は貧しさに耐えかね出て行く。
父親は体が弱く、頭も悪い畑は満足に耕せない、気弱。
タツマが毎日工夫をし、生活をする日々。
5歳まで母親はいた。出て行ってから半年で父親は倒れ、タツマが食い扶持を探しに川や森、近所の人を頼る。
近所の人は温かい。出来うる限り手を貸してくれる。
8歳になり、タツマの体が強くなった頃。森で仕掛けを用いてビッグボアを仕留める事に成功。縄で縛り引きずって村へ帰る。驚く村人。タツマは日頃のお礼に村人に自分たちの分以外を渡す。それから村人はタツマと協力してビッグボアを罠に掛けて仕留めるようになる。また森の果実の種を植えてみる。
10歳になり、肉体労働に耐えられるようなると田畑を耕すように。森の果実の種が実り始め、果樹園を持つようになり、得た果実で菓子作りをする。作った菓子も村人に分けた。
12歳のある日、村に一つの教会に神父様がやって派遣されてきた。挨拶にとタツマは初めて教会に入る。
すると一瞬であたりは何もない真っ白な空間へ。慌てるタツマ。そこに気が付けば1人の白髪の長い髪の老人が立っていた。
ようやく来たかとため息をつく老人。話を聞くとこの世界の神であり閻魔大王様とは旧知の仲で、試練を乗り越えスキルやチート能力を得た転生者に説明をするため待っていたらしい。
普通なら5歳になると教会で祈りを捧げに来るのが一般的だったけれど、タツマは連れて行く親がいなかったため、今になったらしい。
本来なら開花する能力が僅かしか開花しておらずチート無双出来なかった。
今この時より能力を解放する。宣言され、詳しくはステータで確認しながら考えて能力を使い、新しい人生を謳歌するがよい、と言われると、タツマは教会の入り口に戻され、教会に立ち入る所だった。
改めて教会に踏み入れ、神の像に祈りを捧げる。神託が下された。半月後に商人がやってくる。その者に菓子を振る舞うのじゃ!タツマは顔を上げキョロキョロとするも、老人は見当たらない。首を傾げながらタツマは家に帰りステータスと念じる。思い浮かぶ様々な事にびっくりする。
貧しくてその日暮らしがやっとだった今世。
ステータスをみて転生チートという前世で読んだラノベの言葉を思い出す。
ステータスの神託スキルに従い、タツマは作れるだけの菓子を作った。
そして半月後、ある商隊が村にやってきた。どうやら目当てはビッグボアの素材らしい。事前に村長宅へお菓子を大量に差し入れしている。きっと茶菓子として出されてる、はず。商隊は二、三日逗留後出立するらしい。タツマはドキドキと何かが起きるのを期待した。商隊が着いた次の日、村長がタツマの元へやってきた。商隊の人がお菓子を売って欲しいと付いてきていた。タツマは喜んで売り渡した。それは結構な値となった。商隊の人はタツマ喜ぶタツマを見つめ、また三月後に来るからまたお菓子を用意しておいて欲しいと言って帰っていった。案外若い人だったから商隊の若衆だろうかと思っていた。
神託のお陰で思わぬ収入を得たタツマは、前回払えなかったお布施を教会に払いに訪れた。タツマの謙信な心掛けに神父はいたく感動し、ひとつの教えを説いた。それは古い昔栄えた王朝にいた人々が富を蓄えた秘術だとか。教会にお布施として払うのも感心すべき事だが、収入の1割を貯蓄として貯め続けること、これが秘術のひとつなのだとか。簡単そうですね、タツマは言った。神父はふふふと笑い、やってみると色々と分かりますよ。
そう言い、奥の部屋へと引っ込んだ。
タツマは気を取り直し、感謝を込め祈りを捧げた。三月後、新たな商品を加えて出せ!また老人の声がした。神父はおらず、聖堂には自分以外いない。やはり神託なのだろう。もう一度感謝して祈ると、タツマは自宅へと戻った。
手に入れたお金の1割を瓶に貯めるように選り分け、残りのお金で何が出来るか考える。
三月は長いようで短い。新しい菓子となるとお取り寄せスキルを使えないだろうか、と念じてみる。懐かしい検索バーが出てきた。お菓子と入力するように思い描く。お薦め順にアソートすると美味しそうなお菓子が!これはいい!と購入しようとするが、所持金が足りません、となる。慌て所持金はいくらあるかを考えるととても売るほど買えない事が判明した。いやチロ●チョコなら買える。そこで神託を思い出す。工夫しろと言ったのであって買って出せとは言ってない。なら、どうしたら良いのか、タツマは来る日も来る日も考えた。畑仕事を、果実の収穫を、ビッグボアの罠を仕掛けながら。
ある日、きっかけがありタツマは工夫のヒントを得る。急ぎ検索バーで購入すると出来てしまった。検索バーにはダ●ソー、ザルを買う。集めた果物の皮を干して、水だしにする。するとほんのり甘い果実水が出来た。
三月後、再び商隊がやってきた。今度はタツマは村長宅に呼ばれ、タツマは商品と果実水を持ち向かう。商隊の隊長と紹介を受けたのはなんとあの時の若衆だった。にこりと笑わうイケメン、に緊張するタツマ。商品を渡し、さり気なく果実水を出す。一口飲み、気に入って貰え、再び収入を得るタツマ。
商隊長の話は魅力的で、タツマの作った菓子は珍しい果物から出来ており、この近辺にしかない味だとか。
商隊が帰った後、タツマは村を歩き、教会へ向かう。再び教会にお布施を払う。前回よりも多めに払うと神父はまた説法を説いた。
得たお金は消耗品にばかり回さず、何度も使い回せるものに使うと良い。仕事道具、それを手入れするものなどだ。お金を財産変えるように心掛けると良い、と説いた。
そしてまた奥の部屋へと引っ込んだので、タツマは感謝を込め祈った。すると、得たものは惜しみなく広げよ!と老人の声がした。
広げよ?得たもの?お金??お金を広げるってどうするんだ??タツマは首を傾げながら帰宅した。得たお金の1割を再び瓶に貯めた。
その夜、タツマは悩んだ、お金を配るのか?いやそれは、と。翌日、村長と村人がタツマを訪ねて来た。話は果樹園についてで、村興しの一環で果樹園をするため力を貸してほしいと。タツマは喜んで協力した。
15歳になったタツマ。村は沢山の果樹園で賑わい特産品となり村は栄え始めた。日課になった教会への祈りと、収入が得られた時はお布施も欠かさなかった。あれから神託は授かってはいない。生活は安定の兆しを見せていた。しかし、夏に冷害が発生し、タツマは知識Wikiで何とか凌ぐも特産品のみならず田畑の作物もやられ被害は甚大だった。
これでは冬が越せないものが現れる。ビッグボアもあまり現れず干し肉も心許なかった。タツマは1割以外で貯蓄していた中で自分たちが冬を越す分を除いた全てを村人の冬支度にと村長に託した。
村長は保存食と薪を買いに行った。
ある日、教会に祈りを捧げていたら神父が話しかけてきた。前に1割を貯めなさいと言いましたが順調ですか?はい神父様。では、そのお金をさらなる発展に使ってみてはどうか?神父様の話にタツマは乗り、貯めていた1割を全て神父に託した。
神父は領都へと向かった。領都へは馬で5日かかる。10日後、神父は帰って来た。1枚の羊皮紙を持って。神父はお預かりしたお金は教会へ寄付させて頂きました。私が出世した暁には十分にお返しします。タツマは羊皮紙を見て愕然とした。タツマは字が読めないので、神父が寄付の証明書ですので無くさず保管しておいてくださいと言われ、羊皮紙にはその内容が記されていると思った。
教会から立ち去るタツマ。ふらふらとした足取りで家と戻る。タツマはその晩やるせなさに泣いた。貯めたお金は返って来ない。地道に貯めたお金だからこそ辛かった。村の窮地に使われるならまだしも、教会の寄付。腹の足しにもならない。
元気の無い様子に父親に心配されながら食事を取る。タツマは堪らず父親に神父のしたこと、そして羊皮紙を見せた。
父親は羊皮紙を見て泣くタツマの頭を撫で手を握る。辛かったな、でも神父様を恨んではいけないよ。これを教訓にしてお金は簡単には渡さない、それを気を付けなさい。お金は残念だがまた1から頑張って貯めなさい。
きっと次は成功するから。そして祈りとお布施を続けるようにと言う。
タツマとしては祈りもお布施も嫌だったが、父親が真剣に言うので頷いた。
葬儀を見つめるタツマは泣き崩れる両親と兄弟、友人たちを見つめる。
体が焼かれ煙と共にタツマも天へと昇る。
昇った先には閻魔大王様がいて、生前の行いを裁いて行く。タツマの番になり、閻魔大王様に転生を言い渡されたタツマに試練の門が開かれる。
試練の門を越え、タツマは幾つかのスキルを身に着け転生を果たす。
剣と魔法と可能性の世界へとチート転生したタツマの物語が始まる。
寂れた村の貧しい家に生まれる。
母親は貧しさに耐えかね出て行く。
父親は体が弱く、頭も悪い畑は満足に耕せない、気弱。
タツマが毎日工夫をし、生活をする日々。
5歳まで母親はいた。出て行ってから半年で父親は倒れ、タツマが食い扶持を探しに川や森、近所の人を頼る。
近所の人は温かい。出来うる限り手を貸してくれる。
8歳になり、タツマの体が強くなった頃。森で仕掛けを用いてビッグボアを仕留める事に成功。縄で縛り引きずって村へ帰る。驚く村人。タツマは日頃のお礼に村人に自分たちの分以外を渡す。それから村人はタツマと協力してビッグボアを罠に掛けて仕留めるようになる。また森の果実の種を植えてみる。
10歳になり、肉体労働に耐えられるようなると田畑を耕すように。森の果実の種が実り始め、果樹園を持つようになり、得た果実で菓子作りをする。作った菓子も村人に分けた。
12歳のある日、村に一つの教会に神父様がやって派遣されてきた。挨拶にとタツマは初めて教会に入る。
すると一瞬であたりは何もない真っ白な空間へ。慌てるタツマ。そこに気が付けば1人の白髪の長い髪の老人が立っていた。
ようやく来たかとため息をつく老人。話を聞くとこの世界の神であり閻魔大王様とは旧知の仲で、試練を乗り越えスキルやチート能力を得た転生者に説明をするため待っていたらしい。
普通なら5歳になると教会で祈りを捧げに来るのが一般的だったけれど、タツマは連れて行く親がいなかったため、今になったらしい。
本来なら開花する能力が僅かしか開花しておらずチート無双出来なかった。
今この時より能力を解放する。宣言され、詳しくはステータで確認しながら考えて能力を使い、新しい人生を謳歌するがよい、と言われると、タツマは教会の入り口に戻され、教会に立ち入る所だった。
改めて教会に踏み入れ、神の像に祈りを捧げる。神託が下された。半月後に商人がやってくる。その者に菓子を振る舞うのじゃ!タツマは顔を上げキョロキョロとするも、老人は見当たらない。首を傾げながらタツマは家に帰りステータスと念じる。思い浮かぶ様々な事にびっくりする。
貧しくてその日暮らしがやっとだった今世。
ステータスをみて転生チートという前世で読んだラノベの言葉を思い出す。
ステータスの神託スキルに従い、タツマは作れるだけの菓子を作った。
そして半月後、ある商隊が村にやってきた。どうやら目当てはビッグボアの素材らしい。事前に村長宅へお菓子を大量に差し入れしている。きっと茶菓子として出されてる、はず。商隊は二、三日逗留後出立するらしい。タツマはドキドキと何かが起きるのを期待した。商隊が着いた次の日、村長がタツマの元へやってきた。商隊の人がお菓子を売って欲しいと付いてきていた。タツマは喜んで売り渡した。それは結構な値となった。商隊の人はタツマ喜ぶタツマを見つめ、また三月後に来るからまたお菓子を用意しておいて欲しいと言って帰っていった。案外若い人だったから商隊の若衆だろうかと思っていた。
神託のお陰で思わぬ収入を得たタツマは、前回払えなかったお布施を教会に払いに訪れた。タツマの謙信な心掛けに神父はいたく感動し、ひとつの教えを説いた。それは古い昔栄えた王朝にいた人々が富を蓄えた秘術だとか。教会にお布施として払うのも感心すべき事だが、収入の1割を貯蓄として貯め続けること、これが秘術のひとつなのだとか。簡単そうですね、タツマは言った。神父はふふふと笑い、やってみると色々と分かりますよ。
そう言い、奥の部屋へと引っ込んだ。
タツマは気を取り直し、感謝を込め祈りを捧げた。三月後、新たな商品を加えて出せ!また老人の声がした。神父はおらず、聖堂には自分以外いない。やはり神託なのだろう。もう一度感謝して祈ると、タツマは自宅へと戻った。
手に入れたお金の1割を瓶に貯めるように選り分け、残りのお金で何が出来るか考える。
三月は長いようで短い。新しい菓子となるとお取り寄せスキルを使えないだろうか、と念じてみる。懐かしい検索バーが出てきた。お菓子と入力するように思い描く。お薦め順にアソートすると美味しそうなお菓子が!これはいい!と購入しようとするが、所持金が足りません、となる。慌て所持金はいくらあるかを考えるととても売るほど買えない事が判明した。いやチロ●チョコなら買える。そこで神託を思い出す。工夫しろと言ったのであって買って出せとは言ってない。なら、どうしたら良いのか、タツマは来る日も来る日も考えた。畑仕事を、果実の収穫を、ビッグボアの罠を仕掛けながら。
ある日、きっかけがありタツマは工夫のヒントを得る。急ぎ検索バーで購入すると出来てしまった。検索バーにはダ●ソー、ザルを買う。集めた果物の皮を干して、水だしにする。するとほんのり甘い果実水が出来た。
三月後、再び商隊がやってきた。今度はタツマは村長宅に呼ばれ、タツマは商品と果実水を持ち向かう。商隊の隊長と紹介を受けたのはなんとあの時の若衆だった。にこりと笑わうイケメン、に緊張するタツマ。商品を渡し、さり気なく果実水を出す。一口飲み、気に入って貰え、再び収入を得るタツマ。
商隊長の話は魅力的で、タツマの作った菓子は珍しい果物から出来ており、この近辺にしかない味だとか。
商隊が帰った後、タツマは村を歩き、教会へ向かう。再び教会にお布施を払う。前回よりも多めに払うと神父はまた説法を説いた。
得たお金は消耗品にばかり回さず、何度も使い回せるものに使うと良い。仕事道具、それを手入れするものなどだ。お金を財産変えるように心掛けると良い、と説いた。
そしてまた奥の部屋へと引っ込んだので、タツマは感謝を込め祈った。すると、得たものは惜しみなく広げよ!と老人の声がした。
広げよ?得たもの?お金??お金を広げるってどうするんだ??タツマは首を傾げながら帰宅した。得たお金の1割を再び瓶に貯めた。
その夜、タツマは悩んだ、お金を配るのか?いやそれは、と。翌日、村長と村人がタツマを訪ねて来た。話は果樹園についてで、村興しの一環で果樹園をするため力を貸してほしいと。タツマは喜んで協力した。
15歳になったタツマ。村は沢山の果樹園で賑わい特産品となり村は栄え始めた。日課になった教会への祈りと、収入が得られた時はお布施も欠かさなかった。あれから神託は授かってはいない。生活は安定の兆しを見せていた。しかし、夏に冷害が発生し、タツマは知識Wikiで何とか凌ぐも特産品のみならず田畑の作物もやられ被害は甚大だった。
これでは冬が越せないものが現れる。ビッグボアもあまり現れず干し肉も心許なかった。タツマは1割以外で貯蓄していた中で自分たちが冬を越す分を除いた全てを村人の冬支度にと村長に託した。
村長は保存食と薪を買いに行った。
ある日、教会に祈りを捧げていたら神父が話しかけてきた。前に1割を貯めなさいと言いましたが順調ですか?はい神父様。では、そのお金をさらなる発展に使ってみてはどうか?神父様の話にタツマは乗り、貯めていた1割を全て神父に託した。
神父は領都へと向かった。領都へは馬で5日かかる。10日後、神父は帰って来た。1枚の羊皮紙を持って。神父はお預かりしたお金は教会へ寄付させて頂きました。私が出世した暁には十分にお返しします。タツマは羊皮紙を見て愕然とした。タツマは字が読めないので、神父が寄付の証明書ですので無くさず保管しておいてくださいと言われ、羊皮紙にはその内容が記されていると思った。
教会から立ち去るタツマ。ふらふらとした足取りで家と戻る。タツマはその晩やるせなさに泣いた。貯めたお金は返って来ない。地道に貯めたお金だからこそ辛かった。村の窮地に使われるならまだしも、教会の寄付。腹の足しにもならない。
元気の無い様子に父親に心配されながら食事を取る。タツマは堪らず父親に神父のしたこと、そして羊皮紙を見せた。
父親は羊皮紙を見て泣くタツマの頭を撫で手を握る。辛かったな、でも神父様を恨んではいけないよ。これを教訓にしてお金は簡単には渡さない、それを気を付けなさい。お金は残念だがまた1から頑張って貯めなさい。
きっと次は成功するから。そして祈りとお布施を続けるようにと言う。
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