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どこもかしこも口づけたい
翌朝、ふっと意識が覚めたルー。
何かを感じて、少し体を動かして後ろを見た。
「おはよう、ルー」
後ろを振り返った瞬間に唇に口づけをされる。
するのは当然のごとくシャリオン様だった。
「ふぇ・・・んっぅ・・・」
暫しルーとの口づけを胆のうしたシャリオンは名残惜しげに唇を離す。
「ふふ、まだ眠たそうだね」
口づけで崩れた体制のルー。
そっと髪の毛を梳く。
「・・・おはよう、ございます、シャリオン様」
優しく撫でられて眠たくなりそうになりながらも、ルーは必死に意識を繋ぎ止める。
確か今日は早めに出発しなければならないのだ。
「もう少し共に過ごしていたいが・・・支度をせねばならない。この埋め合わせは必ずしよう」
もう一度ルーに口づけをしてシャリオンはベッドから降りる。
ルーもそれに習いベッドから降りる。
お互いさっと身を整えると、シャリオンは部屋の扉を開ける。
扉の外には待っていたのかミドルとミレイが待機していた。
「待たせたね、支度を頼む」
「心得ましてございます」
二人は一礼すると、シャリオンとルーをそれぞれの荷物が置かれた部屋へと案内し支度をする。
支度が終わり、シャリオンと連れ立って宿泊したフロアを降りる。
1階の受付フロアへと降りると早朝の早い時間にも関わらず、従業員総出で迎えられる。
「マーニア氏、長居できずすまないね」
「とんでも御座いません侯爵様。いつでもご滞在できるように準備しておりますので、また是非にお泊りになって下さい。ルー様もぜひぜひご一緒にお越し下さい」
「ありがとうございます」
荷物の積み込みが終わり、シャリオン様にエスコートされて馬車へと乗り込む。
合図と共に馬車が出発する。
出発した馬車から少し遠くフェリクシアの大聖堂が見える。
あそこでルーはシャリオン様の伴侶となったのだと思い返す。
昨日の今日なので、まだ実感が沸かないルーだったけれど、シャリオン様の態度は明らかに変わった。
とてもルーに引っ付いて来るようになったし、何やら良く頭や腰を撫でられる。
頭は嬉しいが腰は止めて欲しいのだ、くすぐったくてびくっとなってしまう。
唇への口づけも増えた。
頬も増えたが断然唇が多い。
振り向いてシャリオン様を見れば唇に
ちゅ
窓の外を見ていれば後頭部に
ちゅ
なんだか首筋も狙われているような気がして、詰め襟をしっかり締める。
残念そうな視線は気の所為だと思おうとルーは考えた。
今そんな所を狙われたら、昨日感じた変な感覚を思い出してしまいそうだとルーは防御を固める。
フェリクシア聖教都市の中心街を抜ける。
まだ朝も早かったことから、人通りも少なく露天も少なく、やっているのはパン屋か早朝まで営業している飲み屋だけだった。
そういう日常であろう街の朝の光景もルーにはまだ珍しく映る。
知らない事が多くあるなと感じながら、シャリオン様の隣に相応しくあれるか不安もあった。
「しゃ、」
ちゅ
「どうしたんだいルー」
「・・・・・いえ」
不安の事は、きっと笑って「大丈夫」と言われそうだとルーは思った。
シャリオン様が生涯を共にして欲しいと願ったのだ、ならその責任は全部シャリオン様に被せてしまおう。
ルーは開き直ることにした。
ルーは自身の左薬指にはまる指輪を見る。
シャリオン様も同様に指輪をしている。
誓とともに光を灯した指ははお互いの指でその光をたたえている。
「街を抜けたね、そろそろ朝食にしよう。宿の料理人が朝食用のサンドイッチを作ってくれたそうだよ。飲み物もポットに用意してあるから飲もう」
「はい」
組み立て式のテーブルを出して、シャリオンが手際よく朝食を並べていく。
暖かな湯気が立ち上る紅茶のカップを渡される。
のんびりとした雰囲気の中、一路ガイランド子爵量へと向かう。
景色は進み、次第に木々も草花も多く見られるようになった。
畑も豊かで、ところ所果樹園らしき物がある。
「さすがはガイランド子爵領だな。植生が豊かだ」
「そうですね・・・こんなに豊かだったんですね」
コーポルーディア侯爵領とは差のある植生に、ルーは疑問に思う。
なぜ、子爵程度の領が侯爵領よりも豊かなのか、と。
じっと外を見るルーに、シャリオンは笑う。
「この子爵領は成り金なのだよ」
「え?」
「成り金というのは、今まで財を重ねて来ていなかった家が急に財を得たという意味だ。それ以外にもお金の使い方を指すときもあるけれど・・・」
そう言いシャリオンはルーを見る。
「十数年前から、先代のガイランド子爵くらいからかな・・・特に羽振りが良くなったとガイランド子爵領が社交界で話題になるようになった。作物の実りが良くなり、災害にも遭わず、天候に恵まれ始めている、と。最初はたまたまだと思われていた」
「?」
「十数年もそれが続けば流石に可笑しいと思う者もいたが・・・理由は不明。怪しい呪術師を雇ったとの話や、高名な治水師を雇い入れたという噂も出た、がどれも証拠が無くただ単に運とガイランド子爵の治領が良かったため、という話にまとまっていた。ガイランド子爵家は続く繁栄を謳歌していた」
ルーはじっとシャリオンを見つめる。
シャリオン様はルーに何が仰っしゃりたいのだろうか?
「つい最近まで、はね」
何かを感じて、少し体を動かして後ろを見た。
「おはよう、ルー」
後ろを振り返った瞬間に唇に口づけをされる。
するのは当然のごとくシャリオン様だった。
「ふぇ・・・んっぅ・・・」
暫しルーとの口づけを胆のうしたシャリオンは名残惜しげに唇を離す。
「ふふ、まだ眠たそうだね」
口づけで崩れた体制のルー。
そっと髪の毛を梳く。
「・・・おはよう、ございます、シャリオン様」
優しく撫でられて眠たくなりそうになりながらも、ルーは必死に意識を繋ぎ止める。
確か今日は早めに出発しなければならないのだ。
「もう少し共に過ごしていたいが・・・支度をせねばならない。この埋め合わせは必ずしよう」
もう一度ルーに口づけをしてシャリオンはベッドから降りる。
ルーもそれに習いベッドから降りる。
お互いさっと身を整えると、シャリオンは部屋の扉を開ける。
扉の外には待っていたのかミドルとミレイが待機していた。
「待たせたね、支度を頼む」
「心得ましてございます」
二人は一礼すると、シャリオンとルーをそれぞれの荷物が置かれた部屋へと案内し支度をする。
支度が終わり、シャリオンと連れ立って宿泊したフロアを降りる。
1階の受付フロアへと降りると早朝の早い時間にも関わらず、従業員総出で迎えられる。
「マーニア氏、長居できずすまないね」
「とんでも御座いません侯爵様。いつでもご滞在できるように準備しておりますので、また是非にお泊りになって下さい。ルー様もぜひぜひご一緒にお越し下さい」
「ありがとうございます」
荷物の積み込みが終わり、シャリオン様にエスコートされて馬車へと乗り込む。
合図と共に馬車が出発する。
出発した馬車から少し遠くフェリクシアの大聖堂が見える。
あそこでルーはシャリオン様の伴侶となったのだと思い返す。
昨日の今日なので、まだ実感が沸かないルーだったけれど、シャリオン様の態度は明らかに変わった。
とてもルーに引っ付いて来るようになったし、何やら良く頭や腰を撫でられる。
頭は嬉しいが腰は止めて欲しいのだ、くすぐったくてびくっとなってしまう。
唇への口づけも増えた。
頬も増えたが断然唇が多い。
振り向いてシャリオン様を見れば唇に
ちゅ
窓の外を見ていれば後頭部に
ちゅ
なんだか首筋も狙われているような気がして、詰め襟をしっかり締める。
残念そうな視線は気の所為だと思おうとルーは考えた。
今そんな所を狙われたら、昨日感じた変な感覚を思い出してしまいそうだとルーは防御を固める。
フェリクシア聖教都市の中心街を抜ける。
まだ朝も早かったことから、人通りも少なく露天も少なく、やっているのはパン屋か早朝まで営業している飲み屋だけだった。
そういう日常であろう街の朝の光景もルーにはまだ珍しく映る。
知らない事が多くあるなと感じながら、シャリオン様の隣に相応しくあれるか不安もあった。
「しゃ、」
ちゅ
「どうしたんだいルー」
「・・・・・いえ」
不安の事は、きっと笑って「大丈夫」と言われそうだとルーは思った。
シャリオン様が生涯を共にして欲しいと願ったのだ、ならその責任は全部シャリオン様に被せてしまおう。
ルーは開き直ることにした。
ルーは自身の左薬指にはまる指輪を見る。
シャリオン様も同様に指輪をしている。
誓とともに光を灯した指ははお互いの指でその光をたたえている。
「街を抜けたね、そろそろ朝食にしよう。宿の料理人が朝食用のサンドイッチを作ってくれたそうだよ。飲み物もポットに用意してあるから飲もう」
「はい」
組み立て式のテーブルを出して、シャリオンが手際よく朝食を並べていく。
暖かな湯気が立ち上る紅茶のカップを渡される。
のんびりとした雰囲気の中、一路ガイランド子爵量へと向かう。
景色は進み、次第に木々も草花も多く見られるようになった。
畑も豊かで、ところ所果樹園らしき物がある。
「さすがはガイランド子爵領だな。植生が豊かだ」
「そうですね・・・こんなに豊かだったんですね」
コーポルーディア侯爵領とは差のある植生に、ルーは疑問に思う。
なぜ、子爵程度の領が侯爵領よりも豊かなのか、と。
じっと外を見るルーに、シャリオンは笑う。
「この子爵領は成り金なのだよ」
「え?」
「成り金というのは、今まで財を重ねて来ていなかった家が急に財を得たという意味だ。それ以外にもお金の使い方を指すときもあるけれど・・・」
そう言いシャリオンはルーを見る。
「十数年前から、先代のガイランド子爵くらいからかな・・・特に羽振りが良くなったとガイランド子爵領が社交界で話題になるようになった。作物の実りが良くなり、災害にも遭わず、天候に恵まれ始めている、と。最初はたまたまだと思われていた」
「?」
「十数年もそれが続けば流石に可笑しいと思う者もいたが・・・理由は不明。怪しい呪術師を雇ったとの話や、高名な治水師を雇い入れたという噂も出た、がどれも証拠が無くただ単に運とガイランド子爵の治領が良かったため、という話にまとまっていた。ガイランド子爵家は続く繁栄を謳歌していた」
ルーはじっとシャリオンを見つめる。
シャリオン様はルーに何が仰っしゃりたいのだろうか?
「つい最近まで、はね」
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