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サラ④
「くしゅんっ」
サラは自身のクシャミで現実に戻される。
(私・・・今何を・・・)
彼の口づけを自然のことのように受け入れ、感情に身を任せ深いキスを何度も繰り返していた。彼の熱いキスにしばらく息を潜めていた快感が呼び起こされる。
(私、感じてるの・・・?)
よりにもよって元夫の仇にこんな気持ちになるなんて思わず、サラは天国にいる彼に対し罪悪感でいっぱいになった。
(なんてこと・・・私はなんてことを・・・)
「・・・私はしがない家庭教師です。主人であるあなたが、こんなことをしてはいけません」
「君も、受け入れていたじゃないか」
「・・・一時の気の迷いです。忘れてください」
サラは立ち去ろうと礼をするも、ガイルに腕を引かれる。
「主人が行って良いと言うまで行ってはいけないと以前言ったはずだ」
「っ・・・申し訳ございません。なにかまだ、用事がございますか」
「付いてこい」
サラがガイルに付いていくと、そこはガイルの寝室であった。まさか、とサラは血の気が下る。
「入れ」
「主人の寝室に入るなと、おっしゃったのはあなたです」
「許可があれば良い」
「こんなところに夜中に家庭教師が入ったなんて知れたら、ここにはもう居れません」
「バレなければ良いだろう」
(私を、犯す気・・・?)
「そんな狼に食われる羊のような顔をするな。手を出そうと思っている訳じゃない」
(??)
ガイルはサラを部屋に入れると、暖炉の前にサラを座らせシーガル伯爵の家紋の柄が入ったブランケットを肩に掛けられる。
「冷えていたのだろう。髪も乾かしていけ」
「あ・・・ありがとうございます」
(私・・・勘違いを・・・)
ガイルはサラのクシャミを聞いて、サラを暖めようと部屋に入れただけであった。ガイルはウイスキーを二つのグラスに入れ、片方をサラに渡した。
「飲めば少しは暖まるぞ」
「いえ、結構です・・・」
サラは雇われの身として只でさえ彼の寝室に入るのはいけないことであるのに、これ以上厚かましい行動はできないと断った。
「ここに置いておく。欲しくなったら飲め」
ガイルはサラの横に座り、ウイスキーを飲み始めた。薄いシャツを着たガイルにサラはブランケットを彼に渡そうとする。
「ブランケット、お返しします」
「俺は厚い筋肉があるから、大丈夫だ」
お互い一歩も引かず、結局ガイルとサラは肩を寄せあいブランケットを二人で使うことになった。
「髪、ほどいた方が乾きやすいぞ」
ガイルがサラの髪紐をしゅるりとほどいた。サラの胸元まで伸びる栗色の髪が広がった。
「君の髪の毛は真っ直ぐかと思っていたが、カールがかっているのだな」
「え、ええ。朝髪が広がって結構大変なんです」
ガイルはサラの髪をゆっくりと撫でた。分厚い手で撫でられるだけで、気持ちがよい。それから暫く無言でパチパチと燃える木を見ていた。それだけであるのに、ほっこりとした暖かい時間が流れる。
「髪、乾いたみたいです」
「そうか・・・」
「そろそろ、失礼しても宜しいですか」
「ああ」
彼の許可を貰いサラは立ち上がり、礼をする。ガイルは静かに口を開いた。
「私がいるときは、君が身体を洗った後にここで報告をしろ」
「ここで、ですか?」
確かにレポートを書いて報告をしろと言われているが、夜に彼の寝室でするなど、やって良いことではない。
「髪を乾かしながら報告を済ませれるなら一石二鳥であろう」
「でも・・・」
「これは、命令だ」
彼は意見を曲げる意思はないようである。サラは「畏まりました」と言って部屋を出た。
サラは自身のクシャミで現実に戻される。
(私・・・今何を・・・)
彼の口づけを自然のことのように受け入れ、感情に身を任せ深いキスを何度も繰り返していた。彼の熱いキスにしばらく息を潜めていた快感が呼び起こされる。
(私、感じてるの・・・?)
よりにもよって元夫の仇にこんな気持ちになるなんて思わず、サラは天国にいる彼に対し罪悪感でいっぱいになった。
(なんてこと・・・私はなんてことを・・・)
「・・・私はしがない家庭教師です。主人であるあなたが、こんなことをしてはいけません」
「君も、受け入れていたじゃないか」
「・・・一時の気の迷いです。忘れてください」
サラは立ち去ろうと礼をするも、ガイルに腕を引かれる。
「主人が行って良いと言うまで行ってはいけないと以前言ったはずだ」
「っ・・・申し訳ございません。なにかまだ、用事がございますか」
「付いてこい」
サラがガイルに付いていくと、そこはガイルの寝室であった。まさか、とサラは血の気が下る。
「入れ」
「主人の寝室に入るなと、おっしゃったのはあなたです」
「許可があれば良い」
「こんなところに夜中に家庭教師が入ったなんて知れたら、ここにはもう居れません」
「バレなければ良いだろう」
(私を、犯す気・・・?)
「そんな狼に食われる羊のような顔をするな。手を出そうと思っている訳じゃない」
(??)
ガイルはサラを部屋に入れると、暖炉の前にサラを座らせシーガル伯爵の家紋の柄が入ったブランケットを肩に掛けられる。
「冷えていたのだろう。髪も乾かしていけ」
「あ・・・ありがとうございます」
(私・・・勘違いを・・・)
ガイルはサラのクシャミを聞いて、サラを暖めようと部屋に入れただけであった。ガイルはウイスキーを二つのグラスに入れ、片方をサラに渡した。
「飲めば少しは暖まるぞ」
「いえ、結構です・・・」
サラは雇われの身として只でさえ彼の寝室に入るのはいけないことであるのに、これ以上厚かましい行動はできないと断った。
「ここに置いておく。欲しくなったら飲め」
ガイルはサラの横に座り、ウイスキーを飲み始めた。薄いシャツを着たガイルにサラはブランケットを彼に渡そうとする。
「ブランケット、お返しします」
「俺は厚い筋肉があるから、大丈夫だ」
お互い一歩も引かず、結局ガイルとサラは肩を寄せあいブランケットを二人で使うことになった。
「髪、ほどいた方が乾きやすいぞ」
ガイルがサラの髪紐をしゅるりとほどいた。サラの胸元まで伸びる栗色の髪が広がった。
「君の髪の毛は真っ直ぐかと思っていたが、カールがかっているのだな」
「え、ええ。朝髪が広がって結構大変なんです」
ガイルはサラの髪をゆっくりと撫でた。分厚い手で撫でられるだけで、気持ちがよい。それから暫く無言でパチパチと燃える木を見ていた。それだけであるのに、ほっこりとした暖かい時間が流れる。
「髪、乾いたみたいです」
「そうか・・・」
「そろそろ、失礼しても宜しいですか」
「ああ」
彼の許可を貰いサラは立ち上がり、礼をする。ガイルは静かに口を開いた。
「私がいるときは、君が身体を洗った後にここで報告をしろ」
「ここで、ですか?」
確かにレポートを書いて報告をしろと言われているが、夜に彼の寝室でするなど、やって良いことではない。
「髪を乾かしながら報告を済ませれるなら一石二鳥であろう」
「でも・・・」
「これは、命令だ」
彼は意見を曲げる意思はないようである。サラは「畏まりました」と言って部屋を出た。
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