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サラ⑬
(なんで、ヴェール伯爵が・・・)
サラが驚きで固まっていると、先ほどの女性に背中を押され、ヴェール伯爵の隣に座らされる。
「ははは、何でって顔をしているな。まあ君も飲め」
「お酒は・・・結構です」
「飲まないと交渉してやれんぞ。やはり交渉は酒を酌み交わしてじゃないとなぁ」
ヴェール伯爵は目の前にある酒を注いだ。断れない雰囲気に飲まれ、言われるがままにサラはその酒に口をつけた。
(っ・・・喉が焼けるみたい)
かなりアルコール度数の高いお酒なのか、その強さにサラは眉をひそめ、咳き込んだ。
「ふふふ、ご主人様、彼女お酒に慣れてないみたいですわよ。そんな度数の高いお酒飲ませたら可哀想ですわ」
「すまんすまん、ここの娼婦たちは酒に強いんが多くてなぁ。君には甘いカクテルを用意させよう」
女性がサラにカクテルを用意し、机の上に置いた。彼に促されサラは再び口を付けたが、苦味もなくこれならばサラも多少は飲めるだろう。それを見てヴェール伯爵は満足したようで、サラに説明を始めた。
「君のことを助けてやってくれと、君の義兄さんから連絡があってねぇ」
「義兄さんが・・・?」
「ああ、君が彼と君の元ご主人の復讐のためにシーガル伯爵の元へ向かったとね」
義兄が足の手術をする際に、かなりの金額がかかったはずだが、「身分の高いお方が支援してくださった」と言っていた。もしかするとその支援した男は彼なのかもしれない。
「君からシーガル伯爵に目的がバレそうになったから暫く連絡はとれないと手紙をもらってから、全く連絡がないと心配していたよ」
「っ・・・」
(義兄さん、本当に何もかも・・・)
このことに関しては二人だけの間の秘密であった。知る人は少ない程良かったであろうに、義兄はヴェール伯爵を信じきり全て彼に伝えてしまったようだ。
「まだサラという家庭教師はシーガル伯爵家に滞在していると聞いて、君は無事だと分かってはいたんだがね」
ヴェール伯爵のギラギラした瞳をサラに向けた。
「シーガル伯爵が、まともになっていた事には驚いたよ。彼には落ちぶれたままでいて欲しかったんだがねぇ。それで、パーティーで彼が来た時にその原因が分かったよ」
「・・・」
ガイルが禁酒をしてまともに生活できるようになったのは、ガイルの力である。サラはその禁酒に少し手助けしただけだ。
(ただ、ほんの少し、彼はその痛みを私に渡しただけ)
「全ては君だ。君が彼を変えたんだ。そして君の元夫と義兄の敵を君は愛してしまった」
「っ・・・」
(なんで、そこまで分かって・・・)
彼は人の心を読めるのだろうか。それともサラの顔にそう書いてあったのだろうか。
「これは義兄さんへの裏切りだねぇ。君はとっても悪い子だ」
「違っ・・・」
サラはヴェール伯爵の目を逸らせた。これ以上彼にサラの気持ちを悟られたくない。しかし逃がさないといったように、ヴェール伯爵はサラの顎を掴んだ。
「君の義兄さんも、余計なことしてくれたなぁ。シーガル伯爵はあのままだったら殺さなくたって人生終わっていたのに」
(ヴェール伯爵にとって・・・ガイルは邪魔な存在だってこと?)
事情は分からないが二人には深い確執があるようだ。
「君のことは処分しようと思ったが、こんなに美しい君を殺すなんて勿体ないだろう?だから君は私の愛人になるんだ」
「どういう・・・こと?」
「言ったままだ。もし私の愛人にならなかったら、君はシーガル伯爵に全てを知られて義兄と共に死刑になるか、私の手下の手で死ぬか、どちらかなんだよ」
ヴェール伯爵は愉快そうに微笑んでいる。
「君の命は、私の手のなかだ。それにもし私の愛人になれば、君の愛するシーガル伯爵の命も見逃してやってもよい」
(この人・・・人の命を何だと思ってるの・・・?!)
サラの耳元に彼の口を近づけ、ささやいた。
「君は愛人の素質がある。私の庭では娼婦のようにヨガっていたじゃないか」
「っ・・・!!」
(見られてたっ)
サラは血の気が引いていくのが分かった。庭には人の気配はなかったはずだ。まさか見られていたなんて思っていなかった。
「発情期の子猫ちゃんみたいに木の側でアイツに突かれていたなぁ」
ヴェール伯爵は舌なめずりしながらサラの胸を鷲掴みにし、サラの耳をベロリと舐めて首筋にキスをした。サラは抵抗するも、彼は軍人であるので力では敵わない。
「きゃっ・・・」
「ああ、程よい大きさで柔らかいなぁ。あのシーガル伯爵をも虜にした体を手に入れるのは、楽しみだ」
サラは絶望に目の前が真っ暗になる。サラには逃げ場はもうなさそうだ。
「愛人になってくれるね?」
「・・・はい」
サラは人形のように頷く。しかしヴェール伯爵はサラにもう一つ過酷な任務を与えた。
「今日は屋敷に帰れ。彼に愛していないし遊びだったと伝えて絶望させてこい。奴が絶望して酒に再び溺れるのが目に見えるわい。実に愉快だ」
サラがそんなことを言ってガイルが絶望するか分からない。しかし彼にはこれ以上嘘をつきたくないのだ。
(だって彼を・・・こんなに愛してる)
サラが驚きで固まっていると、先ほどの女性に背中を押され、ヴェール伯爵の隣に座らされる。
「ははは、何でって顔をしているな。まあ君も飲め」
「お酒は・・・結構です」
「飲まないと交渉してやれんぞ。やはり交渉は酒を酌み交わしてじゃないとなぁ」
ヴェール伯爵は目の前にある酒を注いだ。断れない雰囲気に飲まれ、言われるがままにサラはその酒に口をつけた。
(っ・・・喉が焼けるみたい)
かなりアルコール度数の高いお酒なのか、その強さにサラは眉をひそめ、咳き込んだ。
「ふふふ、ご主人様、彼女お酒に慣れてないみたいですわよ。そんな度数の高いお酒飲ませたら可哀想ですわ」
「すまんすまん、ここの娼婦たちは酒に強いんが多くてなぁ。君には甘いカクテルを用意させよう」
女性がサラにカクテルを用意し、机の上に置いた。彼に促されサラは再び口を付けたが、苦味もなくこれならばサラも多少は飲めるだろう。それを見てヴェール伯爵は満足したようで、サラに説明を始めた。
「君のことを助けてやってくれと、君の義兄さんから連絡があってねぇ」
「義兄さんが・・・?」
「ああ、君が彼と君の元ご主人の復讐のためにシーガル伯爵の元へ向かったとね」
義兄が足の手術をする際に、かなりの金額がかかったはずだが、「身分の高いお方が支援してくださった」と言っていた。もしかするとその支援した男は彼なのかもしれない。
「君からシーガル伯爵に目的がバレそうになったから暫く連絡はとれないと手紙をもらってから、全く連絡がないと心配していたよ」
「っ・・・」
(義兄さん、本当に何もかも・・・)
このことに関しては二人だけの間の秘密であった。知る人は少ない程良かったであろうに、義兄はヴェール伯爵を信じきり全て彼に伝えてしまったようだ。
「まだサラという家庭教師はシーガル伯爵家に滞在していると聞いて、君は無事だと分かってはいたんだがね」
ヴェール伯爵のギラギラした瞳をサラに向けた。
「シーガル伯爵が、まともになっていた事には驚いたよ。彼には落ちぶれたままでいて欲しかったんだがねぇ。それで、パーティーで彼が来た時にその原因が分かったよ」
「・・・」
ガイルが禁酒をしてまともに生活できるようになったのは、ガイルの力である。サラはその禁酒に少し手助けしただけだ。
(ただ、ほんの少し、彼はその痛みを私に渡しただけ)
「全ては君だ。君が彼を変えたんだ。そして君の元夫と義兄の敵を君は愛してしまった」
「っ・・・」
(なんで、そこまで分かって・・・)
彼は人の心を読めるのだろうか。それともサラの顔にそう書いてあったのだろうか。
「これは義兄さんへの裏切りだねぇ。君はとっても悪い子だ」
「違っ・・・」
サラはヴェール伯爵の目を逸らせた。これ以上彼にサラの気持ちを悟られたくない。しかし逃がさないといったように、ヴェール伯爵はサラの顎を掴んだ。
「君の義兄さんも、余計なことしてくれたなぁ。シーガル伯爵はあのままだったら殺さなくたって人生終わっていたのに」
(ヴェール伯爵にとって・・・ガイルは邪魔な存在だってこと?)
事情は分からないが二人には深い確執があるようだ。
「君のことは処分しようと思ったが、こんなに美しい君を殺すなんて勿体ないだろう?だから君は私の愛人になるんだ」
「どういう・・・こと?」
「言ったままだ。もし私の愛人にならなかったら、君はシーガル伯爵に全てを知られて義兄と共に死刑になるか、私の手下の手で死ぬか、どちらかなんだよ」
ヴェール伯爵は愉快そうに微笑んでいる。
「君の命は、私の手のなかだ。それにもし私の愛人になれば、君の愛するシーガル伯爵の命も見逃してやってもよい」
(この人・・・人の命を何だと思ってるの・・・?!)
サラの耳元に彼の口を近づけ、ささやいた。
「君は愛人の素質がある。私の庭では娼婦のようにヨガっていたじゃないか」
「っ・・・!!」
(見られてたっ)
サラは血の気が引いていくのが分かった。庭には人の気配はなかったはずだ。まさか見られていたなんて思っていなかった。
「発情期の子猫ちゃんみたいに木の側でアイツに突かれていたなぁ」
ヴェール伯爵は舌なめずりしながらサラの胸を鷲掴みにし、サラの耳をベロリと舐めて首筋にキスをした。サラは抵抗するも、彼は軍人であるので力では敵わない。
「きゃっ・・・」
「ああ、程よい大きさで柔らかいなぁ。あのシーガル伯爵をも虜にした体を手に入れるのは、楽しみだ」
サラは絶望に目の前が真っ暗になる。サラには逃げ場はもうなさそうだ。
「愛人になってくれるね?」
「・・・はい」
サラは人形のように頷く。しかしヴェール伯爵はサラにもう一つ過酷な任務を与えた。
「今日は屋敷に帰れ。彼に愛していないし遊びだったと伝えて絶望させてこい。奴が絶望して酒に再び溺れるのが目に見えるわい。実に愉快だ」
サラがそんなことを言ってガイルが絶望するか分からない。しかし彼にはこれ以上嘘をつきたくないのだ。
(だって彼を・・・こんなに愛してる)
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