36 / 39
サラ⑲
「・・・あなたに付きまとわれるのは・・・迷惑です」
(本当は嘘・・・あなたが来てくれて嬉しい)
サラはヴェール伯爵が望む言葉を言わなければ状況が悪くなると思い、嘘をついた。
「サラ・・・もう嘘はつかなくていい。君の義兄さんが、全て教えてくれたよ」
「っ・・・」
(なんで義兄様が・・・)
ガイルの屋敷を出て、指輪を送る際に義兄であるヒューゴに手紙を書いた。サラが作戦を失敗したことや、ガイルを愛してしまったこと、ヴェール伯爵の愛人となること全てを書き綴った。
(義兄様は、どこまで彼に伝えたの・・・)
ガイルがピストルを取り出し、ヴェール伯爵にそれを向けた。ヴェール伯爵はサラを人質にとり睨みあい、サラの分からない話をガイルはヴェール伯爵に話し、彼を動揺させた。
「そうだよ、君たちは捨て駒だった。君の作戦で皆弱った頃に出ていって、美味しいところだけ頂こうと思ってたんだ。まさか出ていく前に敵の軍が敗けを宣告するとは思わなかったがな」
「貴様っ・・・」
ガイルはギリギリと歯ぎしりをしている。ピストルの先は、未だにヴェール伯爵を向いていた。
「国王に表彰され私と同じ伯爵位をもらう君が憎かったよ。だけど君は見事に落ちぶれてしまった。自分のせいだと苦しむ君はとても愉快だったのになぁ」
ヴェール伯爵はサラのこめかみにピストルを強く押し付ける。
「ほら、次は君の愛する女性が死ぬのを間近で見るんだ。君の精神はそれでも耐えれるかな?」
サラは涙を溢した。ガイルを騙したサラに天罰が下ったのかもしれない。元はガイルを殺そうとしていたのに、サラがガイルの前で死ぬなんて、なんと皮肉であろうか。
(ガイル、ごめんなさい・・・愛してる)
──パーン!!──
拳銃の玉の音が、部屋に木霊する。サラは目を強く瞑ったが、痛みは襲ってこない。
(な・・・んで?)
目を開くと、ガイルが驚きの表情を浮かべている。サラに強く押し付けられていた圧力から解放される。
──ドサッ──
『キャァ─────!!』
女性たちの悲鳴が部屋に響き渡り、彼女たちは部屋から逃げ出していく。サラが目を下に向けると頭から血を流したヴェール伯爵が倒れていた。彼の顔からは生気が抜け、即死であったことが伺える。
「ランクス大佐・・・」
ランクスが拳銃を手にし、そこ銃口から煙が出ていて誰が彼を射ったか一目瞭然だ。
「・・・は、ははは」
「ランクス大佐・・・なぜあなたが」
ランクスはヘナヘナとソファーに座り込んだ。彼の手は震え、その拳銃を床に落とした。
「・・・彼に、何もかも奪われたからですよ」
彼はポツポツと話し出す。ガイルが拳銃を下ろしたのが、見えた。
(本当は嘘・・・あなたが来てくれて嬉しい)
サラはヴェール伯爵が望む言葉を言わなければ状況が悪くなると思い、嘘をついた。
「サラ・・・もう嘘はつかなくていい。君の義兄さんが、全て教えてくれたよ」
「っ・・・」
(なんで義兄様が・・・)
ガイルの屋敷を出て、指輪を送る際に義兄であるヒューゴに手紙を書いた。サラが作戦を失敗したことや、ガイルを愛してしまったこと、ヴェール伯爵の愛人となること全てを書き綴った。
(義兄様は、どこまで彼に伝えたの・・・)
ガイルがピストルを取り出し、ヴェール伯爵にそれを向けた。ヴェール伯爵はサラを人質にとり睨みあい、サラの分からない話をガイルはヴェール伯爵に話し、彼を動揺させた。
「そうだよ、君たちは捨て駒だった。君の作戦で皆弱った頃に出ていって、美味しいところだけ頂こうと思ってたんだ。まさか出ていく前に敵の軍が敗けを宣告するとは思わなかったがな」
「貴様っ・・・」
ガイルはギリギリと歯ぎしりをしている。ピストルの先は、未だにヴェール伯爵を向いていた。
「国王に表彰され私と同じ伯爵位をもらう君が憎かったよ。だけど君は見事に落ちぶれてしまった。自分のせいだと苦しむ君はとても愉快だったのになぁ」
ヴェール伯爵はサラのこめかみにピストルを強く押し付ける。
「ほら、次は君の愛する女性が死ぬのを間近で見るんだ。君の精神はそれでも耐えれるかな?」
サラは涙を溢した。ガイルを騙したサラに天罰が下ったのかもしれない。元はガイルを殺そうとしていたのに、サラがガイルの前で死ぬなんて、なんと皮肉であろうか。
(ガイル、ごめんなさい・・・愛してる)
──パーン!!──
拳銃の玉の音が、部屋に木霊する。サラは目を強く瞑ったが、痛みは襲ってこない。
(な・・・んで?)
目を開くと、ガイルが驚きの表情を浮かべている。サラに強く押し付けられていた圧力から解放される。
──ドサッ──
『キャァ─────!!』
女性たちの悲鳴が部屋に響き渡り、彼女たちは部屋から逃げ出していく。サラが目を下に向けると頭から血を流したヴェール伯爵が倒れていた。彼の顔からは生気が抜け、即死であったことが伺える。
「ランクス大佐・・・」
ランクスが拳銃を手にし、そこ銃口から煙が出ていて誰が彼を射ったか一目瞭然だ。
「・・・は、ははは」
「ランクス大佐・・・なぜあなたが」
ランクスはヘナヘナとソファーに座り込んだ。彼の手は震え、その拳銃を床に落とした。
「・・・彼に、何もかも奪われたからですよ」
彼はポツポツと話し出す。ガイルが拳銃を下ろしたのが、見えた。
あなたにおすすめの小説
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
セレナの居場所 ~下賜された側妃~
緑谷めい
恋愛
後宮が廃され、国王エドガルドの側妃だったセレナは、ルーベン・アルファーロ侯爵に下賜された。自らの新たな居場所を作ろうと努力するセレナだったが、夫ルーベンの幼馴染だという伯爵家令嬢クラーラが頻繁に屋敷を訪れることに違和感を覚える。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした
ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。
しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義!
そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。
「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。