【R18】義弟は私を溺愛している

ほのじー

文字の大きさ
16 / 30

プロポーズ

しおりを挟む
「おはようございます姉上」
「お、おはようフィル・・・」


フィルがベッド上でエリザベスを幸せそうに見つめている。エリザベスは昨夜のことを思いだし顔が真っ赤になり布団で顔を隠した。その布団をフィルはめくる。


「ふっ、かわいい、姉上」
「も、もうからかわないで!」



枕をフィルに投げつけてささやかな抗議をする。もちろん簡単に避けられてしまったのだが。



「せっかく姉上を諦めようと思って努力していたのに・・・もう無理です」
「でもそんな素振り全然なかったじゃない」
「嫌な言葉を言って、姉上を突き放そうとしていたんです。あの使用人を連れ込んだのも、姉上に見せつけて幻滅してもらおうと思ってたんです」
「そ、そんなこと・・・」
「本当に後悔しています。自棄になってバカなのことをした過去の自分を殴ってやりたいです・・・」



フィルは立ち上がり、エリザベスが体を起こしたベッドの前に膝まずいた。



「僕は姉上を傷つけたりしません。これからもあなたの好きな父上や使用人たちと一緒に暮らせます。仕事も・・・無理のない程度にしていただいてかまいません。そして誰よりも・・・姉上を愛しています」
「フィル・・・」


フィルは着替えのポケットから小さなケースを取り出した。そのケースを開けると、キラキラと輝くダイヤの指輪が入っていた。エリザベスの瞳からポタポタと涙が滴る。



「結婚してください、姉上」




フィルはエリザベスを不安そうに見つめている。エリザベスは涙を拭いながらフィルに応えた。



「私を・・・ずっと愛してくれる?」
「もちろんです」



(もう・・・断る理由は見つからない)



「わかったわ・・・でもお父様の許可はとってね」
「姉上!!」


フィルは満面の笑みでエリザベスを抱きしめた。そしてエリザベスの顔や首筋にキスを浴びせた。










「お、お嬢様!!お帰りなさい」
「お帰りなさいませお嬢様!!」


マニーや使用人たちが喜びの声をあげた。ハンカチで涙を流している父にセバスチャンはハンカチを渡していた。


「おかえり、エリザベス」
「ただいま戻りました・・・皆さん心配かけてごめんなさい」



エリザベスは、自分のことしか考えていなかったのだと今さら気づかされた。これだけ心配してくれる人たちがいると分かり、エリザベスは後悔の念にかられた。



「お嬢様・・・少しお痩せになったんじゃありませんか?今シェフたちがお嬢様の好物をいっぱい作るんだって意気込んで準備しておりますからね」
「ありがとう・・・」




食事を待つ間に執事のセバスチャンはエリザベスにスクラップブックのような本を持って食事部屋に入ってきた。



「エリザベス様、これをご覧になってください」
「何?セバスチャン」


セバスチャンがその本を広げると、エリザベスが書いたコラム全てが綺麗に切り取られて並べられていた。



「これ・・・」
「フィル様がエリザベス様を発見なさった後に旦那様が過去の新聞全て持ってこいと命令されて、使用人たちが必死に過去のものを集めたんです。それを旦那様が一つ一つ大事に読んで切り取って集めていたんですよ」
「まぁ、お父様・・・」



ーガチャッ



父とフィルが食事部屋に入ってくる。父はそのスクラップブックをセバスチャンが見せているのに気づき、恥ずかしそうに席へと座った。



「エリザベス、おまえのコラムあれからいつも楽しみに読んでいるぞ。使用人たちも毎朝新聞の取り合いになっているくらいだ」
「まぁ!嬉しい」


エリザベスは新聞社でどのような仕事をしていたか細かく説明した。フィルも父も興味深く話を聞いていた。



「デザートもとっても美味しかったわ!!料理長ありがとう」
「・・・ありがたいお言葉です、お嬢様」


料理長はエリザベスの離乳食から全て作ってきたのだ。料理長はエリザベスが戻ってきた嬉しさでコック帽を脱ぎ、その帽子で涙を脱ぐっていた。



「父上・・・、少し二人きりでお時間宜しいでしょうか」
「・・・わかった」



フィルは今日父にエリザベスと結婚したい旨を報告すると言っていた。食事が終わり、二人は父の事務室で長い間話し合っていた。エリザベスは胸をドキドキさせながら、食事部屋で待っていた。



ーガチャン



「エリザベス、少し来なさい」
「は、はいお父様」



フィルが部屋から出てきて、エリザベスは父と二人になった。


「エリザベス・・・お前はフィルと・・・結婚したいのか」
「はい・・・彼と結婚したいと思っています」
「実はお前がいなくなった時あいつにエリザベスを好きだと告げられてな・・・お前が出ていった原因を聞いて俺は一発殴ってやったよ」


父はため息をつきながら葉巻に火をつけた。


「あいつは女癖が悪かったから・・・今までの女との関係を全部クリーンにしてエリザベスが心から結婚を望んだら許すと伝えていたんだ」
「そんなことが・・・」
「あいつは関係のあった女たちに謝りに行ってな、数日間はビンタで顔を赤く腫らして帰ってきたなぁ。自業自得だ」


(フィルが女性たちに・・・?)



「エリザベス、お前の気持ちが一番だ。あいつを・・・フィルを愛してるのか?」
「・・・はい、愛しています」
「わかった。お前たちの結婚を許可しよう」


ードタン!
ーーバタン!
『きゃー!!』
『わーーーー!!』



「おい!盗み聞きするなんてけしからん!」


父が照れ隠しで怒りながら扉を開けると使用人たちが聞き耳をたてていた。マニーは涙が止まらず顔をくしゃくしゃにしている。エリザベスはフィルに向かい頷いた。許可がもらえたと察し、フィルはエリザベスを抱き抱えて、くるくると回った。



「きゃぁ!!フィル!目が回るわ」
「ごめん姉上・・・嬉しくてつい・・・」



その光景を使用人たちが生暖かい目で見ていた。




しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

結婚式に結婚相手の不貞が発覚した花嫁は、義父になるはずだった公爵当主と結ばれる

狭山雪菜
恋愛
アリス・マーフィーは、社交界デビューの時にベネット公爵家から結婚の打診を受けた。 しかし、結婚相手は女にだらしないと有名な次期当主で……… こちらの作品は、「小説家になろう」にも掲載してます。

婚約解消されたら隣にいた男に攫われて、強請るまで抱かれたんですけど?〜暴君の暴君が暴君過ぎた話〜

紬あおい
恋愛
婚約解消された瞬間「俺が貰う」と連れ去られ、もっとしてと強請るまで抱き潰されたお話。 連れ去った強引な男は、実は一途で高貴な人だった。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

男として王宮に仕えていた私、正体がバレた瞬間、冷酷宰相が豹変して溺愛してきました

春夜夢
恋愛
貧乏伯爵家の令嬢である私は、家を救うために男装して王宮に潜り込んだ。 名を「レオン」と偽り、文官見習いとして働く毎日。 誰よりも厳しく私を鍛えたのは、氷の宰相と呼ばれる男――ジークフリード。 ある日、ひょんなことから女であることがバレてしまった瞬間、 あの冷酷な宰相が……私を押し倒して言った。 「ずっと我慢していた。君が女じゃないと、自分に言い聞かせてきた」 「……もう限界だ」 私は知らなかった。 宰相は、私の正体を“最初から”見抜いていて―― ずっと、ずっと、私を手に入れる機会を待っていたことを。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

義兄に甘えまくっていたらいつの間にか執着されまくっていた話

よしゆき
恋愛
乙女ゲームのヒロインに意地悪をする攻略対象者のユリウスの義妹、マリナに転生した。大好きな推しであるユリウスと自分が結ばれることはない。ならば義妹として目一杯甘えまくって楽しもうと考えたのだが、気づけばユリウスにめちゃくちゃ執着されていた話。 「義兄に嫌われようとした行動が裏目に出て逆に執着されることになった話」のifストーリーですが繋がりはなにもありません。

処理中です...