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気まずい二人

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「サイラス様・・・そろそろ終わりにしませんか」
「何をですか?」
「毎回サイラス様の休憩時間を煩わすにはいけないと思うんです・・」


ジュリアはあれからサイラスに会うたびに胸が苦しくなるような痛みに襲われた。サイラスを知れば知るほどに痛みは大きくなっていく。ここまでくるといくら鈍感なジュリアも自覚しないわけにはいかなかった。


(私、サイラス様のことが好きなんだ)



ジュリアはぎゅっと拳を握りしめる。



(サイラス様は恋人がいるのにもうこれ以上好きになるのは辛いもの)



サイラスはじっと眼鏡の奥からジュリアを見つめ、ジュリアの方へとじりじりと詰め寄った。


「分かりました。今からテストをしましょう」
「テスト、ですか?」
「今からもし私の声に十分耐えることができたらあなたを解放してあげましょう」


ジュリアはごくりと唾を飲み込んだ。十分であれば耐えることができるのではないかとジュリアは考える。


「分かりました・・・」


ジュリアはその条件を飲んだ。



+++


「ほら、お顔が真っ赤ですよジュリアさん。目を瞑ってはいけません」


プルプルと震えて耐えるジュリアの様子はまるで小鹿のようだ。目も潤い顔はリンゴのようだ。


「ふ、プルプルと震えて可愛らしいですね」



サイラスはジュリアの目尻に浮かぶ水滴を拭い耳元に口を近づける。

「なんで急に辞めるなんて言い出したんですか」
「それはっ・・・苦しくて」
「はっきり言ってくれないと分からないですよ、ジュリア殿」
「ひゃうぅ・・・」


思わず声が出てしまったジュリアは口を塞ぐ。特にサイラスに名前を呼ばれると、どうも耳の裏にもモゾモゾとした感覚が這い上がるのだ。ジュリアの精神はもう限界にまできている。


「耳が本当に敏感なようですね」
「んんんん」

サイラスがジュリアの耳にそっと触れるとジュリアから苦しそうな声が漏れた。


「そんなに私といることが嫌ですか?」
「そ、そんなことっ」
「では、フィン副団長のような男と一緒にいるのがお好みですか?」
「ちがっ・・・ひゃぁぁん」



意識が朦朧とするジュリアにサイラスは容赦がない。


「正直におっしゃってください」
「だってっ、サイラス様のことが、好きだからっ、迷惑になるっ・・・」


サイラスの手が一瞬止まり、驚いた表情となる。そしていつもの厳しい顔が緩んだような気がする。サイラスはジュリアの耳にふーっと息を吹き掛けた。


「ふぁぁん!!」


ジュリアはとうとう腰が抜けサイラスに抱きつく格好となってしまう。はぁはぁとジュリアは酸素を求めるように息をする。


「可愛いですよ、ジュリア殿。ああ、もっと鳴かせたい」


サイラスはジュリア耳の裏から耳の中まで丹念に舐めあげた。ジュリアはその大きな刺激に耐えられず意識を失ってしまった。



「少々やり過ぎてしまいましたか」



サイラスはジュリアをソファーに寝かせ、しばらくジュリアの頭を撫でていた。



+++



「うぅ・・・ん。サイラス様??」


ジュリアはむくりと起き上がるとサイラスは書斎机で何やら仕事をしている。ジュリアはどれくらい意識をなくしていたのだろうか。ジュリアは耐えるのに必死だったので最後のあたりは朦朧としてあまり覚えていない。


「ああ、ジュリア殿。起きましたか」
「す、すみません。こんなところで寝てしまって!!」
「いえ、私も大人気ないことをしてしまいました」


サイラスはジュリアに水を手渡した。先ほどの行為を思いだしジュリアはカーっと顔が赤くなる。

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