離婚したので、すべて置いて辺境にきました──夫の浮気も介護も、さよならで!

夢窓(ゆめまど)

文字の大きさ
8 / 14

元夫、左遷される。

しおりを挟む
元夫側の“第三段階ざまぁ”

同じころ──王都。

◆ 屋敷売却 → ヘイリー家を失う

使用人長
「旦那様……買い手がつきました。
早急に立ち退きを……」

ヘイリー
「ま、待て!俺は宰相候補だぞ!?
こんな……!」

使用人長
「もう“宰相候補”ではありません。
書類遅延、素行不良、恋人騒動……
すべて噂になっております」

ヘイリーは崩れ落ちる。



◆ 恋人に捨てられる(秒で)

アン
「ねぇ、あなた……もう私たち、無理だと思うの」

ヘイリー
「な、なんでだ……俺にはお前しか……!」

アン
「あなたの家、臭いのよ。
お義母様の……あれが。
ナンシーさんがいないと、あんな生活しんどいわ」

ヘイリー
「戻ってきてくれ……頼む……!」

アン
「無理。
あなた、お金もないんでしょ?
私、貧乏人は嫌いなの」

ぱたり。

ドアが閉まり、
二度と開かなかった。



◆ 下級官吏への左遷

王宮文官長
「アルレイン殿、辞令だ」

ヘイリー
「……左遷?」

文官長
「魔獣被害の統計処理局だ。
勤務地は地下倉庫。
雨漏りに気をつけたまえ」

ヘイリー
「そ、そんな……!」

文官長
「仕事はある。
文句は言わんでもらおう」

周囲の同僚の視線は冷たい。

「あの人、奥様逃げられたそうよ」
「姑の介護ひとりで押し付けてたとか」
「そりゃ離婚されるわ」
「恋人にも逃げられたらしいぞ」

ヘイリーは耐えきれず叫ぶ。

「ナンシー!!どこへ行ったんだ!!
話がしたいんだ……頼む……戻ってきてくれ……!」

しかし返事はどこからもない。



◆ 生活は借金まみれ

古びた下宿屋でひとり、
冷たいパンをかじりながらヘイリーは震えていた。

「なんで……俺が……
どうしてこうなった……」

テーブルの上には、
離婚慰謝料・介護施設費・未払家政労務費などの請求書。

合計は、
ヘイリーの年収の数倍に達していた。

もう贅沢も恋人もいない。

ただ、
ナンシーが消えた家の、
あの静寂だけが頭に蘇る。

「ナンシー……
どこに行ったんだ……」

だが彼女の居場所は、
永遠に知ることはできない。



一方、奉公初日、
日の光が差し込む屋敷の応接間。
ナンシーは深く礼をして言った。

「ランドル様。
私一人では状況が分かりません。
まず、現状と優先事項を教えていただけますか?」

ランドルは目を瞬かせた。

「わかった。
屋敷を案内しよう。
正直、俺も何がどこにあるか……あまり把握していない」

二人はゆっくり屋敷を歩きながら、
困っている点を確認していく。
⚪︎食材庫は物は多いが整理されていない
⚪︎洗濯場の動線が悪く、使用人が疲弊している
⚪︎ランドルの書類は「とりあえず積んである」
⚪︎購買係と調理係の連携ミスが多い

ナンシーは、小さなメモ帳に控えながら言った。

「まずは、使用人のみなさまと
“改善できるところ”を一緒に見つけたいですわ。
私がいきなり勝手に決めるわけにはいきません」

ランドルの表情がわずかに緩む。

「……そうしてくれると助かる。
使用人たちも、外から来た者にいきなり命令されるより、
一緒に相談してくれる人の方がいい」

「はい。
私はあくまで“整える係”ですから」

ナンシーが柔らかく微笑むと、
ランドルは不思議な感覚を覚えた。

(この女性……
なんだか、安心できる……)



使用人たちとの会議(自然なリーダーシップ)

その日の午後。
ナンシーは全員を集め、こう言った。

「今日は、無理に何かを変えるつもりはありません。
ただ──
“皆さんが困っていること”を教えてください」

ざわ……と部屋が揺れる。

誰も怒鳴られず、責められず、
意見を求められるなど初めてだった。

使用人A
「洗濯物が多すぎて……動線が悪くて……」

使用人B
「棚が高すぎて……力仕事が大変で……」

使用人C
「調理場が奥すぎて、運搬が……」

ナンシーは優しく頷きながら全部メモする。

ランドルはこっそり見ていて、
自分では気づけなかった現場の声に驚いていた。

ナンシー
「なるほど……では、
“できることから一つずつ”改善していきましょう」

使用人たちの顔がぱっと明るくなった。



ランドルの気づき

使用人との話が終わったあと、
ランドルはナンシーに言った。

「あなたは……命令せずにまとめてしまうんだな」

ナンシー
「命令されるより、
一緒に進めた方が、きっと皆さま働きやすいでしょう?」

ランドル
「……そうだな。
俺は戦場では指揮できるが、家では勝手が違う。
あなたがいてくれて助かる」

(ストン……)
その言葉が落ちた瞬間、
ナンシーは胸の奥が少し温かくなった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません

鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。 「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」 そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。 ——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。 「最近、おまえが気になるんだ」 「もっと夫婦としての時間を持たないか?」 今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。 愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。 わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。 政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ “白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

お好きになさって下さい、私は一切気にしませんわ

Kouei
恋愛
婚約者のクレマンド様は、いつも私との約束を破ってばかり。 理由は決まって『従妹ライラ様との用事』 誕生日会にすら来なかった彼に、私はついに告げた。 「どうぞ、私以外のご令嬢をエスコートするなり、お出かけするなり、関係を持つなり、お好きになさって下さい。私は一切気にしませんわ」 二人の想いは、重なり合えるのだろうか …… ※他のサイトにも公開しています。

白い結婚を捨てた王妃は、もう二度と振り向かない ――愛さぬと言った王子が全てを失うまで』

鍛高譚
恋愛
「私は王妃を愛さない。彼女とは白い結婚を誓う」 華やかな王宮の大聖堂で交わされたのは、愛の誓いではなく、冷たい拒絶の言葉だった。 王子アルフォンスの婚姻相手として選ばれたレイチェル・ウィンザー。しかし彼女は、王妃としての立場を与えられながらも、夫からも宮廷からも冷遇され、孤独な日々を強いられる。王の寵愛はすべて聖女ミレイユに注がれ、王宮の権力は彼女の手に落ちていった。侮蔑と屈辱に耐える中、レイチェルは誇りを失わず、密かに反撃の機会をうかがう。 そんな折、隣国の公爵アレクサンダーが彼女の前に現れる。「君の目はまだ死んでいないな」――その言葉に、彼女の中で何かが目覚める。彼はレイチェルに自由と新たな未来を提示し、密かに王宮からの脱出を計画する。 レイチェルが去ったことで、王宮は急速に崩壊していく。聖女ミレイユの策略が暴かれ、アルフォンスは自らの過ちに気づくも、時すでに遅し。彼が頼るべき王妃は、もはや遠く、隣国で新たな人生を歩んでいた。 「お願いだ……戻ってきてくれ……」 王国を失い、誇りを失い、全てを失った王子の懇願に、レイチェルはただ冷たく微笑む。 「もう遅いわ」 愛のない結婚を捨て、誇り高き未来へと進む王妃のざまぁ劇。 裏切りと策略が渦巻く宮廷で、彼女は己の運命を切り開く。 これは、偽りの婚姻から真の誓いへと至る、誇り高き王妃の物語。

婚約破棄の代償

nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」 ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。 エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。

白い結婚なので無効にします。持参金は全額回収いたします

鷹 綾
恋愛
「白い結婚」であることを理由に、夫から離縁を突きつけられた公爵夫人エリシア。 だが彼女は泣かなかった。 なぜなら――その結婚は、最初から“成立していなかった”から。 教会法に基づき婚姻無効を申請。持参金を全額回収し、彼女が選んだ新たな居場所は修道院だった。 それは逃避ではない。 男の支配から離れ、国家の外側に立つという戦略的選択。 やがて彼女は修道院長として、教育制度の整備、女性領主の育成、商業と医療の再編に関わり、王と王妃を外から支える存在となる。 王冠を欲さず、しかし王冠に影響を与える――白の領域。 一方、かつての夫は地位を失い、制度の中で静かに贖罪の道を歩む。 これは、愛を巡る物語ではない。 「選ばなかった未来」を守り続けた一人の女性の物語。 白は弱さではない。 白は、均衡を保つ力。 白い結婚から始まる、静かなリーガル・リベンジと国家再編の物語。

【完結】捨てたものに用なんかないでしょう?

風見ゆうみ
恋愛
血の繋がらない姉の代わりに嫁がされたリミアリアは、伯爵の爵位を持つ夫とは一度しか顔を合わせたことがない。 戦地に赴いている彼に代わって仕事をし、使用人や領民から信頼を得た頃、夫のエマオが愛人を連れて帰ってきた。 愛人はリミアリアの姉のフラワ。 フラワは昔から妹のリミアリアに嫌がらせをして楽しんでいた。 「俺にはフラワがいる。お前などいらん」 フラワに騙されたエマオは、リミアリアの話など一切聞かず、彼女を捨てフラワとの生活を始める。 捨てられる形となったリミアリアだが、こうなることは予想しており――。

【完結】愛で結ばれたはずの夫に捨てられました

ユユ
恋愛
「出て行け」 愛を囁き合い、祝福されずとも全てを捨て 結ばれたはずだった。 「金輪際姿を表すな」 義父から嫁だと認めてもらえなくても 義母からの仕打ちにもメイド達の嫌がらせにも 耐えてきた。 「もうおまえを愛していない」 結婚4年、やっと待望の第一子を産んだ。 義務でもあった男児を産んだ。 なのに 「不義の子と去るがいい」 「あなたの子よ!」 「私の子はエリザベスだけだ」 夫は私を裏切っていた。 * 作り話です * 3万文字前後です * 完結保証付きです * 暇つぶしにどうぞ

処理中です...