やってらんないので、聖女も悪役もヒロインも王太子から逃げました。あとは王家で頑張って

夢窓(ゆめまど)

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番外編:森の買い出し会議 ~アッパッパとパンツと唐草模様~

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森の暮らしには、月に一度の大イベントがある。
それが――買い出し。

今回は、代表してマロンとアデルが街へ出向くことに決まり、住人たちから「欲しいものリクエスト」が集まり始めた。

ララがまっさきに手を挙げる。

「マロンさん、この前買ってきてくれた“アップリケ入りのアッパッパ”、すっごくよかったんです! 今回、シリーズでお願いしてもいいですか? できればリンゴ以外で……」

“アッパッパ”とは、森で人気の簡易ワンピースのこと。
締め付けがなくて楽チン、スパッツと合わせると作業着にもぴったり。着心地抜群の庶民派アイテムだ。

「わたしもアッパッパ、ブルーとピンク。アップリケは、うーん……猫と星で!」
ジニーが即座に乗っかる。
「スパッツも五分丈と十分丈、どっちもお願い!」

「私も……アッパッパ、薄いピンクのがあれば……アップリケはバラで」
マルグリットがちょっと照れたように手を挙げた。

気づけば、アッパッパ大人気。
森での仕事は多いが、締め付けのない服で作業できるありがたみを、みんな実感していた。

(外出なんてしないし、楽なのが一番だものね……)

一方、男子代表(?)のアルファルもリクエストする。

「俺は……パンツお願いします。柄はお任せで」

すると、ジニーが即座に食い気味で口を挟む。

「縞模様とペイズリーは禁止!」

「えっ、なんで知ってるの!?」

マルグリットがくすっと笑い、アデルが真面目にカゴを漁りながら提案する。

「じゃあ、こういうのはどうでしょう? ごそごそ……はい、“唐草模様”」

「やめろぉぉぉっ!」
マロンが即制止するも──

「それ、いいじゃない」
ジニーが満面の笑みで賛成する。

「えぇぇぇぇぇっ!?」

アルファルの悲鳴が、森にこだました。



森の平和な一日。
次の買い出しは、“アッパッパと唐草パンツ”で決まりそうだ。

街での買い出し編 ~マロン、爆買い&値切り交渉!~

街の朝市。
色とりどりの品が並ぶ露店に、マロンとアデルの姿があった。

リスト片手に、マロンはすでに爆買いモード。

「アッパッパ10枚、猫・星・バラ・いちご・パンケーキ柄で……サイズはフリーぜんぶ」
「スパッツ五分丈と十分丈、各色取り混ぜて10本ずつ」
「唐草模様の男性用パンツは2枚、冗談ですけど……一応買っとこ」

アデルが横で記録を取りながら、ふと呟く。

「これ、ひと月分の予算超えてません?」

「だいじょーぶだいじょーぶ。交渉はこれからよ!」



「へい、マスター。こんだけ買ったら、なんぼ?」

マロンはどっさり積み上げた布とスパッツの山を前に、商人に笑顔を向けた。

「えーと……ざっと見積もって、金貨8枚と銀貨6枚ですねぇ」

「えっ。高くない? 前回より2枚は上がってない?」

「そ、それはですね! 原材料が高騰してまして……っていうか、そもそもこんなに大量に買う人、普通いないんですよ!」

「でも、まとめ買いだし。安くしてくれてもよくない?」

「うっ……そ、そこまで言うなら……金貨6枚、どうです?」

「金貨5枚で」

「う、うーん……間を取って5枚半!」

「じゃあアッパッパもう2枚追加して5枚半で手を打つ!」

「商売上手~~!!」

商人が天を仰いで叫んだ。



その後も、石けん材料のオイル、香料、染料、リボンや紙袋、さらにはおやつまで次々と買い足し……

アデルが荷物の魔法収納を起動しながらぼやいた。

「……完全に“森の爆買い女王”ですね」

「ちょっと待って、次は本命。お酒屋さん! “とっときの秘蔵”お願いしまーす!」

商人「ま、また来たのかあああ!」



帰り道。
満足げなマロンが袋から一つ、アップリケつきの“バナナ柄アッパッパ”を取り出す。

「これ、ララに似合いそうじゃない?」

「……ララの笑顔が見えました」

2人の森への帰還は、戦利品(?)と共に、華やかに幕を下ろしたのだった。


~アルファルさん、あなたは結構です~



森に戻ったマロンとアデルが、荷物の魔法ポーチから次々と取り出す戦利品たち。

「はいはーい、今回も“ファッションショータイム”始めるわよー!」

マロンの合図で、草の広場に即席ステージが設営される。

ジニーが真っ先に登場。
ふわっと広がるブルーのアッパッパに、ドーナツ柄のアップリケ。

「どう? これ、寝てもいいし働いてもいいし、完璧じゃない?」

ララは、薄ピンクのアッパッパにパンケーキ柄で登場。

「……マロンさん、これ、ちょっとだけリボンもついてて、うれしいです」

マルグリットは、淡いラベンダー色に花の刺繍入りアッパッパ。
くるっと一回転して見せながら言う。

「ええ、これはお茶会にも使えるわね。森の中でも気品は忘れません」

そして、スパッツ姿の3人娘がずらりと並ぶ。
ジニー「こっちは五分丈」
ララ「十分快適です」
マルグリット「私は十分丈派ね」

アデル(解説者席)「機能性と可愛さの両立。森暮らしでも妥協なしですね……!」



すると、アルファルがひょっこりと顔を出す。

「俺も……唐草模様のやつ、着てみたんだけど……」

\\ ステージ上と観客席、全員一斉に //
「アルファルさん、あなたは結構です!」

「……え?」

「……見たいの私だけだし」とジニーがぼそっと呟いたのは、誰にも聞こえなかったことになっている。



最後はマロンが、紅白ストライプのパジャマ風アッパッパで登場。
「これは“ベッドで食べすぎる人”用、ポッケつき!」

満場一致で優勝(?)が決まり、森の宴は笑顔で幕を閉じた。



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