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王宮からの知らせ
畑のど真ん中にて
農民のひとりが走ってくる。
「お、お嬢様! 王宮からの使者が……!」
慌てて出迎えると、正装の使者が巻物を広げる。
王宮使者:
「ルナン殿下とアンネット嬢の深き御縁、王宮としても認めるとの勅命である。
よって、両名は速やかに王都へ戻るように」
アンネット:
「……へ?」
ルナン殿下(満面の笑み):
「やっと公式に認められたな。これで遠慮はいらない」
アンネット(心の声):
(ちょ、ちょっと待ってください!
夢じゃなかったの!?
……じゃあ昨日の告白も、今日の畑での密着も、ぜんぶ現実!?
ひえぇぇぇ!)
農民A(ぽそり):
「お嬢様が女神って噂、やっぱり本当だったんだなぁ」
農民B(頷いて):
「王子様もすっかり“畑の婿殿下”だ」
アンネット(赤面しつつ土をいじりながら):
「い、いえいえ、これは夢ですから……夢の延長ですから……」
ルナン殿下(彼女の肩をぽんと叩いて):
「夢でも現でも、君は僕の妻だよ」
出発前の畑にて
使者:
「では、お支度が整い次第、王都へ――」
アンネット:
「あ、ちょっとお待ちくださいませ。
畑に水を撒いてからでないと落ち着きませんの」
そう言って、いつものように腕を振り上げるアンネット。
空から一気に水が降り注ぎ、畑が潤う。
農民たち:
「お嬢様~、ありがとうございます!」
アンネット(にっこり):
「はい、これで数日は大丈夫ですわね」
ルナン殿下(堪えきれず笑いながら):
「……ふっ。やっぱり君は面白いな。
どんな大臣の訓示よりも、どんな神託よりも、ずっと頼もしい」
アンネット:
「……またお愛想を」
殿下(首を振って真剣に):
「お愛想じゃない。本気で惚れてるんだ」
アンネット(心の声):
(ひえええ……!やっぱり現実なの……!? いや夢!夢だと思わなきゃ……!)
使者(小声で):
「……畑に水撒いてから王都に帰る妃殿下、か。前代未聞ですな」
王都への帰路
行列が整い、馬車が出発。
けれど、アンネットは落ち着かない。
アンネット:
「……すみません、ちょっと止めてくださいませ」
御者が慌てて馬を止めると、アンネットは馬車から飛び降りる。
「向こうの畑が、私を呼んでいる気がするのですわ」
農民たち:
「お嬢様ー! 助かります!」
アンネットは、畑の上に立ち、また大きく腕を振り上げた。
すると、水がさらさらと降り注ぎ、土がしっとりと潤っていく。
ルナン殿下(呆れ笑いしながら):
「……君って、本当に面白い。
王都に帰る途中ですら、畑に呼ばれるなんて」
アンネット(真剣に):
「畑は嘘をつきませんの。
放っておくと、育ちが悪くなってしまいますから」
ルナン殿下(見惚れて小声で):
「やっぱり、女神だな……」
側近(こっそりメモを取りながら):
「“豊穣の女神、畑に呼ばれても即応”……政策提案に使えるかもしれませんな」
王都にて
王都に到着する頃には、すでに街の人々の間で新しい噂が駆け巡っていた。
市井の噂話:
「聞いた? ルナン殿下の婚約者は“水撒き令嬢”なんだって!」
「畑を潤す魔法を自在に操って、民の作物を守るんですって」
「雨乞いの神官より役に立つそうよ」
「まさに豊穣の女神だな」
新聞にも見出しが躍る。
『水撒き令嬢、畑を潤し王都へ凱旋!』
『農地に呼ばれる婚約者、殿下も同行』
さらに劇場では――
**新作舞台準備中!『水撒き令嬢と農夫殿下』**と大きなポスターが貼り出される。
⸻
当の本人は
アンネット(馬車の中で新聞を見て):
「……水撒き令嬢? まあ、畑に水を撒いただけですのに……」
ルナン殿下(楽しそうに笑って):
「君の何気ない一振りが、民にとっては奇跡なんだ。
……ますます君から目が離せないな」
アンネット(心の声):
(ま、またお愛想を……。でも、夢にしては賑やかすぎるんじゃなくって……?)
王都・謁見の間
聖女(真っ赤な顔で):
「水撒き令嬢、ですって!? 民が、わたくしではなく、あの女を女神と呼んでいると!?
そんなの、認めませんわ!」
大臣たち(顔を見合わせ):
「……聖女様、どうかご冷静に」
「神託に逆らうのはよくありませんぞ」
聖女(机を叩いて):
「逆らっているのはあの女です!殿下を惑わせ、民を惑わせ……っ!」
――その場に、殿下とアンネットが到着する。
ルナン殿下:
「惑わせているのは誰かな?」
アンネット(そっと眼鏡を外しながら、深呼吸):
「殿下のお側に立つ以上……努力しなくてはと思いまして。
はい、メガネなしでも……大丈夫ですわ」
彼女の瞳が、強い光を宿してまっすぐに前を見つめる。
その瞬間、場にいた人々が息を呑む。
侍女A(小声で):
「お、お嬢様の目力……っ!」
侍女B(うっとり):
「眼鏡を外したら、まるで本当に女神さまみたい……」
聖女(動揺して):
「そ、そんな……っ、私こそ尊い存在なのに……!
目力なんかで負けるはずありませんわ!」
だが、アンネットは毅然として一歩進み出る。
アンネット:
「尊さは、与えられるものではなく……自分で育てるものですわ」
ルナン殿下(誇らしげに微笑んで):
「その通りだ。――だから僕は、彼女を選ぶ」
農民のひとりが走ってくる。
「お、お嬢様! 王宮からの使者が……!」
慌てて出迎えると、正装の使者が巻物を広げる。
王宮使者:
「ルナン殿下とアンネット嬢の深き御縁、王宮としても認めるとの勅命である。
よって、両名は速やかに王都へ戻るように」
アンネット:
「……へ?」
ルナン殿下(満面の笑み):
「やっと公式に認められたな。これで遠慮はいらない」
アンネット(心の声):
(ちょ、ちょっと待ってください!
夢じゃなかったの!?
……じゃあ昨日の告白も、今日の畑での密着も、ぜんぶ現実!?
ひえぇぇぇ!)
農民A(ぽそり):
「お嬢様が女神って噂、やっぱり本当だったんだなぁ」
農民B(頷いて):
「王子様もすっかり“畑の婿殿下”だ」
アンネット(赤面しつつ土をいじりながら):
「い、いえいえ、これは夢ですから……夢の延長ですから……」
ルナン殿下(彼女の肩をぽんと叩いて):
「夢でも現でも、君は僕の妻だよ」
出発前の畑にて
使者:
「では、お支度が整い次第、王都へ――」
アンネット:
「あ、ちょっとお待ちくださいませ。
畑に水を撒いてからでないと落ち着きませんの」
そう言って、いつものように腕を振り上げるアンネット。
空から一気に水が降り注ぎ、畑が潤う。
農民たち:
「お嬢様~、ありがとうございます!」
アンネット(にっこり):
「はい、これで数日は大丈夫ですわね」
ルナン殿下(堪えきれず笑いながら):
「……ふっ。やっぱり君は面白いな。
どんな大臣の訓示よりも、どんな神託よりも、ずっと頼もしい」
アンネット:
「……またお愛想を」
殿下(首を振って真剣に):
「お愛想じゃない。本気で惚れてるんだ」
アンネット(心の声):
(ひえええ……!やっぱり現実なの……!? いや夢!夢だと思わなきゃ……!)
使者(小声で):
「……畑に水撒いてから王都に帰る妃殿下、か。前代未聞ですな」
王都への帰路
行列が整い、馬車が出発。
けれど、アンネットは落ち着かない。
アンネット:
「……すみません、ちょっと止めてくださいませ」
御者が慌てて馬を止めると、アンネットは馬車から飛び降りる。
「向こうの畑が、私を呼んでいる気がするのですわ」
農民たち:
「お嬢様ー! 助かります!」
アンネットは、畑の上に立ち、また大きく腕を振り上げた。
すると、水がさらさらと降り注ぎ、土がしっとりと潤っていく。
ルナン殿下(呆れ笑いしながら):
「……君って、本当に面白い。
王都に帰る途中ですら、畑に呼ばれるなんて」
アンネット(真剣に):
「畑は嘘をつきませんの。
放っておくと、育ちが悪くなってしまいますから」
ルナン殿下(見惚れて小声で):
「やっぱり、女神だな……」
側近(こっそりメモを取りながら):
「“豊穣の女神、畑に呼ばれても即応”……政策提案に使えるかもしれませんな」
王都にて
王都に到着する頃には、すでに街の人々の間で新しい噂が駆け巡っていた。
市井の噂話:
「聞いた? ルナン殿下の婚約者は“水撒き令嬢”なんだって!」
「畑を潤す魔法を自在に操って、民の作物を守るんですって」
「雨乞いの神官より役に立つそうよ」
「まさに豊穣の女神だな」
新聞にも見出しが躍る。
『水撒き令嬢、畑を潤し王都へ凱旋!』
『農地に呼ばれる婚約者、殿下も同行』
さらに劇場では――
**新作舞台準備中!『水撒き令嬢と農夫殿下』**と大きなポスターが貼り出される。
⸻
当の本人は
アンネット(馬車の中で新聞を見て):
「……水撒き令嬢? まあ、畑に水を撒いただけですのに……」
ルナン殿下(楽しそうに笑って):
「君の何気ない一振りが、民にとっては奇跡なんだ。
……ますます君から目が離せないな」
アンネット(心の声):
(ま、またお愛想を……。でも、夢にしては賑やかすぎるんじゃなくって……?)
王都・謁見の間
聖女(真っ赤な顔で):
「水撒き令嬢、ですって!? 民が、わたくしではなく、あの女を女神と呼んでいると!?
そんなの、認めませんわ!」
大臣たち(顔を見合わせ):
「……聖女様、どうかご冷静に」
「神託に逆らうのはよくありませんぞ」
聖女(机を叩いて):
「逆らっているのはあの女です!殿下を惑わせ、民を惑わせ……っ!」
――その場に、殿下とアンネットが到着する。
ルナン殿下:
「惑わせているのは誰かな?」
アンネット(そっと眼鏡を外しながら、深呼吸):
「殿下のお側に立つ以上……努力しなくてはと思いまして。
はい、メガネなしでも……大丈夫ですわ」
彼女の瞳が、強い光を宿してまっすぐに前を見つめる。
その瞬間、場にいた人々が息を呑む。
侍女A(小声で):
「お、お嬢様の目力……っ!」
侍女B(うっとり):
「眼鏡を外したら、まるで本当に女神さまみたい……」
聖女(動揺して):
「そ、そんな……っ、私こそ尊い存在なのに……!
目力なんかで負けるはずありませんわ!」
だが、アンネットは毅然として一歩進み出る。
アンネット:
「尊さは、与えられるものではなく……自分で育てるものですわ」
ルナン殿下(誇らしげに微笑んで):
「その通りだ。――だから僕は、彼女を選ぶ」
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