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第1話 遭遇
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「大変です、総司令!」
観測警戒班から、緊急の報告があがる。
「ピーチクッパー星の物とみられる飛行物体が、この星に向かってます!」
「なんだって。」
総司令も駆けつけて、レーダーを見る。
まだ太陽系外のため、点にしか見えないその物体。
「まさか、こんな原始文明の星まで探し出せるとは。」
「信じられん。ヤツらは高度な文明社会が創り出す人工物に反応して、侵略先の星を探し当ててるはず。」
「いや、ひょっとしてこの宇宙船に反応したんじゃないのか。」
「故障して不時着した、この宇宙船にですか?」
「そうとしか考えられん。今すぐ主電源を切り、予備電源に切り替えろ!」
「ですがそれだと、修理がさらに遅れますよ。」
「仕方あるまい。この星の住人には迷惑をかけられん。」
「わ、我々を迫害するような原始人たちですよ。とっとと修理を終わらせて、立ち去るべきだと思います。」
「我々が立ち去った後、この星の人たちが蹂躙されてしまうんだ。我々のせいでな。」
「そ、それは、我々のせいではないでしょう。我々は警告はしましたよね。宇宙の侵略者の脅威を。なのにこの星のヤツらは、我々を迫害してきたんですよ。」
「彼らの文明レベルからして、理解出来ないだけかもしれん。」
「ですが総司令。友好的に話しあいに行ったあなたの娘さんは、この星の原始人たちに殺されかけたんですよ。」
「ああ。私だって彼らは許せない。だけどこの星は彼らの物であって、我々は部外者なのだ。この星の文明を我々のせいで滅ぼしてはいかんのだ。」
「総司令。分かりました。あなたがそこまでおっしゃるのなら。」
ぶおん。
宇宙船の主電源が落とされ、予備電源に切り替わる。
レーダーは機能を限定運行され、捉えていた飛行物体の形跡が消える。
「これでヤツらも目標物を失い、宇宙をさまよう事になればいいのだが。」
「もしこちらをすでに捉えてたとしたら、おそらく一年から五年以内には、この星にやってくると思われます。」
「そう言えば先日、超新星爆発を起こした恒星系があったよな。そこの惑星を目指したヤツだったらいいのだが。」
「すでにその星の文明も滅んでますし、可能性は低いですよ。」
「と、ともかく、我々も急いでこの星を離れよう。ヤツらの目をこの星から逸らせるかもしれん。」
「主電源を落としましたからね。我々の整備が終わるのも、二年はかかりますよ。」
「二年か。ヤツらが来なければ、半年もかからないものを。」
そして二年の月日が流れた。
宇宙船の修理はほぼ終わり、後は主砲の微調整のみとなっていた。
予備電源で動いていたレーダーが、二年前の飛行物体を再び捉えた。
「総司令、大変です。二年前のあの飛行物体、この星に接近しています!」
「なにぃ。やはり我々の存在を捉えていたのか。グイズダー緊急浮上。ヤツらを迎え撃つ。この星を戦場にしてはならん!」
「待ってください。まだ主砲の整備が終わってません。」
「それくらい、戦闘中に調整しろ!」
「待ってください。これ、戦艦ではありません。超小型艇です!」
「なに?」
「やはり、小型の救命ポッドです。なぜか救命信号は出してませんが。」
「という事は、あの超新星爆発に巻き込まれたって事か?」
「その可能性は高いですね。思い返してみれば、この飛行物体を捉えたのは、超新星爆発の直後です。」
「いずれにせよ、この星を目指しているのは確か。」
「どうします、総司令。相手が救命ポッドなら、我々も戦う意味がありません。」
「うむ。ここは様子見といこう。救命ポッドの落下予測地点を割り出せ。」
「はい。こ、ここから北北西距離五千五百。」
「近いな。ジャイロボードでもふつかの距離か。誰か、様子を見に行ける者はいないか。それで、落下予測時刻はいつだ。」
「あ、すみません。今落下しました。」
「なにぃ!」
ふつか後。
ひとりの男が落下地点付近に到着する。
「ひ、お、鬼じゃ。」
男を見た老婆が震える。
老婆は大きな桃を抱えている。
川の上流に落ちて川を流れてきたのを、この老婆が拾ったらしい。
鬼と呼ばれた男は、とっさに身を隠して宇宙船に連絡を入れる。
「やばいですぜ。現地人にすでに拾われてます。」
「ならとっとと奪い取れ。」
「いえ、それがあの救命ポッド、托卵型です。」
「托卵型?触れた者の保護欲に訴えかけるという、あれか。」
「ええ、今救命ポッドを奪おうとしたら、あの現地人、えれー抵抗してきますぜ。」
「むう、最近ただでさえ、我々との軋轢が激しくなってるというのに。ここで手を出したら、今度こそ死人が出るほどの争いになるな。」
「とりあえず現地人に監視衛星でもつけて、引き上げますぜ。」
男は老婆の頭上五百メートルに、監視用のドローンを打ち上げ、宇宙船に帰還する。
老婆は大きな桃の形に変形した救命ポッドを大切に抱えて、家路を急ぐ。
観測警戒班から、緊急の報告があがる。
「ピーチクッパー星の物とみられる飛行物体が、この星に向かってます!」
「なんだって。」
総司令も駆けつけて、レーダーを見る。
まだ太陽系外のため、点にしか見えないその物体。
「まさか、こんな原始文明の星まで探し出せるとは。」
「信じられん。ヤツらは高度な文明社会が創り出す人工物に反応して、侵略先の星を探し当ててるはず。」
「いや、ひょっとしてこの宇宙船に反応したんじゃないのか。」
「故障して不時着した、この宇宙船にですか?」
「そうとしか考えられん。今すぐ主電源を切り、予備電源に切り替えろ!」
「ですがそれだと、修理がさらに遅れますよ。」
「仕方あるまい。この星の住人には迷惑をかけられん。」
「わ、我々を迫害するような原始人たちですよ。とっとと修理を終わらせて、立ち去るべきだと思います。」
「我々が立ち去った後、この星の人たちが蹂躙されてしまうんだ。我々のせいでな。」
「そ、それは、我々のせいではないでしょう。我々は警告はしましたよね。宇宙の侵略者の脅威を。なのにこの星のヤツらは、我々を迫害してきたんですよ。」
「彼らの文明レベルからして、理解出来ないだけかもしれん。」
「ですが総司令。友好的に話しあいに行ったあなたの娘さんは、この星の原始人たちに殺されかけたんですよ。」
「ああ。私だって彼らは許せない。だけどこの星は彼らの物であって、我々は部外者なのだ。この星の文明を我々のせいで滅ぼしてはいかんのだ。」
「総司令。分かりました。あなたがそこまでおっしゃるのなら。」
ぶおん。
宇宙船の主電源が落とされ、予備電源に切り替わる。
レーダーは機能を限定運行され、捉えていた飛行物体の形跡が消える。
「これでヤツらも目標物を失い、宇宙をさまよう事になればいいのだが。」
「もしこちらをすでに捉えてたとしたら、おそらく一年から五年以内には、この星にやってくると思われます。」
「そう言えば先日、超新星爆発を起こした恒星系があったよな。そこの惑星を目指したヤツだったらいいのだが。」
「すでにその星の文明も滅んでますし、可能性は低いですよ。」
「と、ともかく、我々も急いでこの星を離れよう。ヤツらの目をこの星から逸らせるかもしれん。」
「主電源を落としましたからね。我々の整備が終わるのも、二年はかかりますよ。」
「二年か。ヤツらが来なければ、半年もかからないものを。」
そして二年の月日が流れた。
宇宙船の修理はほぼ終わり、後は主砲の微調整のみとなっていた。
予備電源で動いていたレーダーが、二年前の飛行物体を再び捉えた。
「総司令、大変です。二年前のあの飛行物体、この星に接近しています!」
「なにぃ。やはり我々の存在を捉えていたのか。グイズダー緊急浮上。ヤツらを迎え撃つ。この星を戦場にしてはならん!」
「待ってください。まだ主砲の整備が終わってません。」
「それくらい、戦闘中に調整しろ!」
「待ってください。これ、戦艦ではありません。超小型艇です!」
「なに?」
「やはり、小型の救命ポッドです。なぜか救命信号は出してませんが。」
「という事は、あの超新星爆発に巻き込まれたって事か?」
「その可能性は高いですね。思い返してみれば、この飛行物体を捉えたのは、超新星爆発の直後です。」
「いずれにせよ、この星を目指しているのは確か。」
「どうします、総司令。相手が救命ポッドなら、我々も戦う意味がありません。」
「うむ。ここは様子見といこう。救命ポッドの落下予測地点を割り出せ。」
「はい。こ、ここから北北西距離五千五百。」
「近いな。ジャイロボードでもふつかの距離か。誰か、様子を見に行ける者はいないか。それで、落下予測時刻はいつだ。」
「あ、すみません。今落下しました。」
「なにぃ!」
ふつか後。
ひとりの男が落下地点付近に到着する。
「ひ、お、鬼じゃ。」
男を見た老婆が震える。
老婆は大きな桃を抱えている。
川の上流に落ちて川を流れてきたのを、この老婆が拾ったらしい。
鬼と呼ばれた男は、とっさに身を隠して宇宙船に連絡を入れる。
「やばいですぜ。現地人にすでに拾われてます。」
「ならとっとと奪い取れ。」
「いえ、それがあの救命ポッド、托卵型です。」
「托卵型?触れた者の保護欲に訴えかけるという、あれか。」
「ええ、今救命ポッドを奪おうとしたら、あの現地人、えれー抵抗してきますぜ。」
「むう、最近ただでさえ、我々との軋轢が激しくなってるというのに。ここで手を出したら、今度こそ死人が出るほどの争いになるな。」
「とりあえず現地人に監視衛星でもつけて、引き上げますぜ。」
男は老婆の頭上五百メートルに、監視用のドローンを打ち上げ、宇宙船に帰還する。
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