魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる

あさぼらけex

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勇者の証回収へ

第131話 勇者お化粧中のローザに話しかける

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 精霊ルギア像の前で、ひとりのシスターから、ルギア様のご神託をたまわった。
 しかしそのシスターは、いつの間にか姿を消した。


「なあ、あのシスターはどこ行った?」
 俺は本殿の入り口にいる巫女さんに、聞いてみる。
 巫女さんは、なぜかキョトンとしている。

「シスターだよ。どこ行ったかって、聞いてるんだよ。」
「あ、あの、おっしゃる意味が、分かりませんが。シスターって誰の事です?」
 巫女さんは、俺の剣幕にたじろぎながらも、答えてくれた。

「さっきまで、俺と話してたシスターだよ!」
「そ、その様な者は、おりませんでしたが、」

 何?見えてなかった?
 この作品のメインヒロインだぞ?
 これからチチブ内乱編に突入して、俺との愛情を深めあい、タイムリミットをむかえたユミコから、何かをもらって、一緒に旅をして、一緒に魔王を倒して、その後ふたりで平和に暮らす。
 そのシスターを、見てないだと?
 し、信じないぞ、そんな事!

「ユウタ、行きましょう。」
 狼狽する俺に、ユミコが声をかける。
「で、でも、」
「行きましょう。」

 俺はシスターをあきらめられない。
 だけど、いつまでもここに留まる訳にもいかない。
「ああ、行こう。」
 俺はその場を後にした。

「なあ、東経3歩南緯40歩って、どこだか分かるか?」
 そのままルギア神殿を後にした俺は、現行実質ヒロインのユミコに聞いてみる。
「分からないわよ、そんなの。」
「そうだよな、GPSもないしな。」
 ユミコからの当然の答えに、俺はうなだれる。
「GPS?」
 でもその単語には、心当たりがあった。

「そうだよ、GPS。」
 俺はローザの盗聴器を握りしめる。
 こいつは俺の居場所も特定出来る、高度なストーカーアイテム。
「おいローザ、聞こえるか。」
 俺は早速、ローザに呼びかける。

「ざーざー。」
 が、雑音しか返ってこない。
「おいローザ?」
「ざーざー。」

 ローザから応答がない。
 まさかローザに身に、何かおきたのか?
 くそ、俺がローザを連れ戻したばっかりに!
「待ってろローザ、すぐ行く!」
「こ、来なくていいわよ。」
 俺が帰還呪文を唱えようとしたら、やっと応答があった。

「ローザ?何してたんだよ!」
「何って、おしっ、」
「オシ?」
「おし、お、お、お化粧中よ!」
「はあ?」

 ローザからの返答に、俺はあきれる。
「お化粧って、何色気づいてんだよ、ガキのくせに!」
「が、ガキって何よ!素敵なレディに向かって!」
「す、素敵なレディって、誰だよ!」

 俺が盗聴器ごしにローザと言いあってると、ユミコがくすくす笑ってる。
 うん、素敵なレディって、こういう人の事を言うんだよな。
 断じて、ガキなローザの事ではない!
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