魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる

あさぼらけex

文字の大きさ
137 / 221
ローザ姫との密会編

第137話 勇者カスカベに戻る

しおりを挟む
 虹の橋をゲットするのに必要なアイテム、聖なる霧吹きはローザが持っているらしい。
 なんでローザがそんなもん持ってるのか知らないが、俺とユミコに話しがあるから、二時間後、オオミヤ城の裏で待ち合わせになった。


「おいローザ。」
 俺は通信の切れたローザの盗聴器に呼びかける。
 が、ローザの返答はない。

「たくぅ、ここからオオミヤ城まで、どんくらいかかると思ってんだよ。」
 普通に半日以上はかかる距離だ。勇者としてレベルを上げた俺でも、どんなに急いでも、四時間はかかる。
 これを二時間なんて、無理難題もいいとこだ。

「あ、帰還呪文使えば、すぐか。」
 これを二時間後に使えって事か。

「駄目よ、ユウタ。帰還呪文は使えないわよ。」
 ユミコが俺のナイスアイデアを否定する。
「おいおい、それじゃあ間に合わないじゃん。」
「大丈夫よ、転移呪文を使うから。」
「ん?」

 俺の頭がこんがらがる。
 帰還呪文は駄目で、転移呪文を使う?
 俺は帰還呪文しか使えんぞ。

「はあ。」
 頭がパニックしてる俺を見て、ユミコが思っくそため息をつく。
「帰還呪文なんて使ったら、ユウタがオオミヤ城に来た事が、みんなにバレちゃうでしょ。」
「えと、」
 ユミコの発言に、俺は言葉がつまる。
 帰還呪文ってそう言うものだし、それは転移呪文でも同じだろ?

「ローザはね、ユウタと会うところを、誰にも見られたくないのよ。」
「なるほど。帰還呪文を使ったら、バレバレって事か。
 でも、なんで誰にも見られたくないのかな?」
 俺にはどうしても、そこんとこが分からない。

「女の子には、女の子の事情があるのよ。」
「女の子ぉ?」

 俺は思わず吹き出しそうになる。
 まあガキんちょのローザも、女の子には違いない。
 化粧なんかして色気づいてきた事だし、そんなお年頃なんだろう。
 アラサーなユミコにも、そんな経験があるのだろう。

「でも、転移呪文でも、バレるのは同じじゃない?」
 帰還呪文を使わない事を了承した俺だが、帰還呪文を転移呪文に置き換える意味は、分からんかった。

「帰還呪文は、オオミヤ城にしか行けない。
 転移呪文なら、行った事のある所に行ける。」
「あ、そっか。」
 ユミコが帰還呪文と転移呪文の違いを教えてくれた。

 つまり、転移呪文でカスカベの街に行って、そこからオオミヤ城に行けばいいんだな。

「やっと分かってくれたようね。じゃ、行くわよ。トラベル!」
 ユミコは転移呪文を唱えた。
 俺とユミコは、カスカベの街に転移した。

「ふう、ここからオオミ」
 ユミコが俺の口元を鷲掴みして、俺のセリフを遮る。

「し。お城の密偵に気づかれるでしょ。」

 そっか。
 これから行うローザとの密会。
 それは、誰にも見られては、いけないんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!

ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。 ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!? 「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」 理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。 これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!

酒好きおじさんの異世界酒造スローライフ

天野 恵
ファンタジー
酒井健一(51歳)は大の酒好きで、酒類マスターの称号を持ち世界各国を飛び回っていたほどの実力だった。 ある日、深酒して帰宅途中に事故に遭い、気がついたら異世界に転生していた。転移した際に一つの“スキル”を授かった。 そのスキルというのは【酒聖(しゅせい)】という名のスキル。 よくわからないスキルのせいで見捨てられてしまう。 そんな時、修道院シスターのアリアと出会う。 こうして、2人は異世界で仲間と出会い、お酒作りや飲み歩きスローライフが始まる。

チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活

仙道
ファンタジー
 ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。  彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。

『ミッドナイトマート 〜異世界コンビニ、ただいま営業中〜』

KAORUwithAI
ファンタジー
深夜0時——街角の小さなコンビニ「ミッドナイトマート」は、異世界と繋がる扉を開く。 日中は普通の客でにぎわう店も、深夜を回ると鎧を着た騎士、魔族の姫、ドラゴンの化身、空飛ぶ商人など、“この世界の住人ではない者たち”が静かにレジへと並び始める。 アルバイト店員・斉藤レンは、バイト先が異世界と繋がっていることに戸惑いながらも、今日もレジに立つ。 「袋いりますか?」「ポイントカードお持ちですか?」——そう、それは異世界相手でも変わらない日常業務。 貯まるのは「ミッドナイトポイントカード(通称ナイポ)」。 集まるのは、どこか訳ありで、ちょっと不器用な異世界の住人たち。 そして、商品一つひとつに込められる、ささやかで温かな物語。 これは、世界の境界を越えて心を繋ぐ、コンビニ接客ファンタジー。 今夜は、どんなお客様が来店されるのでしょう? ※異世界食堂や異世界居酒屋「のぶ」とは 似て非なる物として見て下さい

ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる

街風
ファンタジー
「お前を追放する!」 ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。 しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。

処理中です...