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惑星ファンタジー迷走編
第77話 湖のほこら
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これは西暦9980年のはるか未来のお話。
この時代に召喚されたマイは、行方不明になった仲間のケイを探しに、惑星ドルフレアの地に降り立った。
密輸調査に来ていたケイは、罠にはめられ、千年前にタイムスリップしていた。
ケイは千年前の時代に、かげろうおケイと呼ばれる伝説の存在になっていた。
そんなケイは、この星の鉱物資源を封印した三つのほこらを、後世のマイ達に託した。
千年の時を経て、マイとメドーラ、そしてかげろうおケイと行動をともにした勇者ローランの子孫、ローラスの三人は、ほこらの封印をふたつ解いた。
残る封印のほこらは、あとひとつ。
最後のほこらは、湖のほこらである!
マイ達は、戦闘機で湖のほこらを目指す。
以前山のほこらを目指した時は、とばし過ぎて、星を一周してしまった。
だから今度は、速度を落として、三十分くらいかけて行く事にした。
マイの戦闘機にナツキが乗り、メドーラの戦闘機にローラスが乗る。
「すまぬの、マイ。」
湖のほこらに向かう途中、ナツキはマイに謝った。
「どうしたの、いきなり。」
マイは、ナツキが今謝る理由が分からなかった。
「我と約束したブルードラゴンに、頼まれておったのじゃ。
今まで忘れとったわい。」
「そうなんだ。」
そう言えば、初めて会った時も、約束を忘れてたような気がする。
でも、なぜ謝るのだろう。
そして、約束の相手はなぜ、ブルードラゴンなのだろう。
ケイがブルードラゴンに頼んだのだろうか。
マイには分からなかった。
そして、それを確認するのが、怖かった。
マイ達は、大きな湖のほとりで、戦闘機を降りる。
戦闘機は多次元空間の格納庫へと飛び去る。
この湖の水は、ブルーウオーターと呼ばれる、常温では液体で存在する鉱物資源だった。
「さて、ブルードラゴンとの約束は、ここまでじゃの。」
ミイの身体から、ナツキの身体が浮かび出る。
「ちょっと待って。もうお別れなの?」
突然の別れに、マイは困惑する。
「左様じゃ。ブルードラゴンとの約束は、おまえさん達を封印のほこらの三箇所に案内する事、じゃったからの。」
「そんな、せめて、この湖のほこらの封印を解くまで一緒にいてよ。」
マイは、ナツキとの別れを少しでも先延ばしにしたかった。
「そうはいかんのじゃ。我はこれでも神武七龍神のひとり。
本当は忙しい身の上なのじゃ。」
「そんな、もっとナツキと一緒にいたいよ。」
マイの瞳から、涙がこぼれる。
メドーラもローラスも、涙こそないが、哀しげな表情を浮かべる。
ナツキの身体は、完全にミイの身体から浮かび出る。
「マイ、おまえさんとの旅は、楽しかったぞ。また一緒に旅をしたいものじゃの。」
ナツキは優しい笑みを浮かべる。
「またっていつよ。僕は今、一緒にいたいよ。」
涙に声が震えるマイは、なんとかその言葉を絞り出す。
「マイお姉さま、ナツキはグリーンドラゴンなのです。
無理を言ってはいけませんですわ。」
メドーラは泣き面のマイに、優しく声をかける。
マイはうなずく。
「ナツキ、僕も楽しかったよ。また会おうね。」
マイは涙をこらえると、ぎこちない笑顔をナツキに向ける。
ナツキはうなずくと、グリーンドラゴンに姿を変える。
ナツキの姿を維持出来なくなっていた。
「メドーラ、ローラス、そしてミイ。そなたらにも礼を言う。
ありがとう。」
グリーンドラゴンは上空高く昇っていき、そのまま宇宙空間へと姿を消した。
ふと、残されたマイ達は思った。
「ほこらって、どこにあるの?」
マイは辺りを見渡す。ほこらなどどこにも無かった。
「湖のほこらは、あそこですよ。湖の底です。」
ミイは、湖の底を指さす。
この湖の水は、常温では液体存在する、ブルーウオーターと言う鉱物だった。
その名の通り、青一色で、透明度など無かった。
水の底と言われても、その深度が分からない。
「アイに座標を送ります。アイからダウンロードして下さい。」
サポートAIであるミイとアイとアイツウは、サポートAI同士のネットワークでつながっている。
お互いに情報をやりとりするのも、お手のもんだ。
「んー、やっぱ距離あると難しいか。」
アイの居る宇宙ステーションと、ミイの居る惑星ドルフレアとは、数千万光年離れている。
「ならば、マイのチップをお借りします。」
「え、どうやるの?」
ミイの提案に、戸惑うマイ。
そんなマイを無視して、ミイは行動に出る。
山のほこらで入手したケイのチップを、自分の額にあてる。
そしてそのまま、マイの額に自分の額をくっつける。
マイとアイとのネットワークに、便乗する形になり、座標情報はアイに伝わった。
そしてほぼ同時に、アイツウにも伝わり、アイとアイツウは、お互いのパートナーに伝える。
「そこそこ距離があるわね。」
座標情報を知ったマイの感想だ。
「ローラスさんにも、伝えなくてはいけませんですわね。」
メドーラはソウルブレイドのクダを、上空に向けて構える。
そして剣を展開させる。
剣は四十メートルの長さがある。
「距離は、これくらいです。覚えてください。」
メドーラの言葉に、ローラスはうなずく。
「そして位置は。」
メドーラは上空に展開したソウルブレイドの剣を、湖の中へと振り下ろす。
「今、剣先がほこらに触れています。どうですか、位置はつかめますか?」
ローラスは剣先のイメージを膨らます。そしてうなずく。
「そう、よかったですわ。」
メドーラは安堵する。
巨大なソウルブレイドの維持は、そこそこきつい。
「ねえ、メドーラ。まだその剣、維持できる?」
疲労の色が見えるメドーラに、マイが声をかける。
「出来ますけれど、あまり時間はありませんよ?」
「一分保たせて。ほこらの位置把握に使わせてもらうから。」
マイは左手をメドーラのソウルブレイドにそえる。
右手で自分のソウルブレイドのクダを構える。
マイは呼吸を整える。
この地に漂うこの星の集合意思であるイデに、話しかける。
イデから、この地のマナを借りる許しを得る。
マイは特殊な呼吸法で大気中のイデを身体に取り込む。
取り込んだイデと、体内のマナを錬成させる。
そして、風の剣を展開させる!
この場所で出来る風の剣は、水分を多く含んだ水気のある剣になると思いきや、そんな事なかった。
普通に風の剣である。
今回の風の剣は、四十メートル先のほこらに届かせる必要がある。
つまり、メドーラの長剣と同じ長さが必要。
「私は楽ね。ここには水系のマナが満ちてるから。」
苦労するマイの横で、ローラスも水の剣を展開させる。
マイはメドーラのソウルブレイドに触れていた左手を、自分のソウルブレイドのクダに移す。
両手でしっかり握った風の剣を高く掲げて叫ぶ。
「ケイ、お願い!僕に力を貸して!ケェーイ!」
マイの叫びに呼応して、湖の水面がざわめき、かすかに光る。
マイの剣先も、上空高く渦巻く。
「もっとよ、ケェーイ!」
湖の水面が、眩しいほどに光る。
「ありがとう、ケイ!」
マイは風の剣を振り下ろす!
水面がふたつに割れ、湖底にあるほこらがあらわになる。
「今よ、ローラス!」
「言われなくても!」
ローラスは水の剣として創られた水の珠を、ほこら目がけて飛ばす。
水の珠が命中したほこらは、光り輝く。
同時に、ふたつに割れた湖が、元に戻る。
この時代に召喚されたマイは、行方不明になった仲間のケイを探しに、惑星ドルフレアの地に降り立った。
密輸調査に来ていたケイは、罠にはめられ、千年前にタイムスリップしていた。
ケイは千年前の時代に、かげろうおケイと呼ばれる伝説の存在になっていた。
そんなケイは、この星の鉱物資源を封印した三つのほこらを、後世のマイ達に託した。
千年の時を経て、マイとメドーラ、そしてかげろうおケイと行動をともにした勇者ローランの子孫、ローラスの三人は、ほこらの封印をふたつ解いた。
残る封印のほこらは、あとひとつ。
最後のほこらは、湖のほこらである!
マイ達は、戦闘機で湖のほこらを目指す。
以前山のほこらを目指した時は、とばし過ぎて、星を一周してしまった。
だから今度は、速度を落として、三十分くらいかけて行く事にした。
マイの戦闘機にナツキが乗り、メドーラの戦闘機にローラスが乗る。
「すまぬの、マイ。」
湖のほこらに向かう途中、ナツキはマイに謝った。
「どうしたの、いきなり。」
マイは、ナツキが今謝る理由が分からなかった。
「我と約束したブルードラゴンに、頼まれておったのじゃ。
今まで忘れとったわい。」
「そうなんだ。」
そう言えば、初めて会った時も、約束を忘れてたような気がする。
でも、なぜ謝るのだろう。
そして、約束の相手はなぜ、ブルードラゴンなのだろう。
ケイがブルードラゴンに頼んだのだろうか。
マイには分からなかった。
そして、それを確認するのが、怖かった。
マイ達は、大きな湖のほとりで、戦闘機を降りる。
戦闘機は多次元空間の格納庫へと飛び去る。
この湖の水は、ブルーウオーターと呼ばれる、常温では液体で存在する鉱物資源だった。
「さて、ブルードラゴンとの約束は、ここまでじゃの。」
ミイの身体から、ナツキの身体が浮かび出る。
「ちょっと待って。もうお別れなの?」
突然の別れに、マイは困惑する。
「左様じゃ。ブルードラゴンとの約束は、おまえさん達を封印のほこらの三箇所に案内する事、じゃったからの。」
「そんな、せめて、この湖のほこらの封印を解くまで一緒にいてよ。」
マイは、ナツキとの別れを少しでも先延ばしにしたかった。
「そうはいかんのじゃ。我はこれでも神武七龍神のひとり。
本当は忙しい身の上なのじゃ。」
「そんな、もっとナツキと一緒にいたいよ。」
マイの瞳から、涙がこぼれる。
メドーラもローラスも、涙こそないが、哀しげな表情を浮かべる。
ナツキの身体は、完全にミイの身体から浮かび出る。
「マイ、おまえさんとの旅は、楽しかったぞ。また一緒に旅をしたいものじゃの。」
ナツキは優しい笑みを浮かべる。
「またっていつよ。僕は今、一緒にいたいよ。」
涙に声が震えるマイは、なんとかその言葉を絞り出す。
「マイお姉さま、ナツキはグリーンドラゴンなのです。
無理を言ってはいけませんですわ。」
メドーラは泣き面のマイに、優しく声をかける。
マイはうなずく。
「ナツキ、僕も楽しかったよ。また会おうね。」
マイは涙をこらえると、ぎこちない笑顔をナツキに向ける。
ナツキはうなずくと、グリーンドラゴンに姿を変える。
ナツキの姿を維持出来なくなっていた。
「メドーラ、ローラス、そしてミイ。そなたらにも礼を言う。
ありがとう。」
グリーンドラゴンは上空高く昇っていき、そのまま宇宙空間へと姿を消した。
ふと、残されたマイ達は思った。
「ほこらって、どこにあるの?」
マイは辺りを見渡す。ほこらなどどこにも無かった。
「湖のほこらは、あそこですよ。湖の底です。」
ミイは、湖の底を指さす。
この湖の水は、常温では液体存在する、ブルーウオーターと言う鉱物だった。
その名の通り、青一色で、透明度など無かった。
水の底と言われても、その深度が分からない。
「アイに座標を送ります。アイからダウンロードして下さい。」
サポートAIであるミイとアイとアイツウは、サポートAI同士のネットワークでつながっている。
お互いに情報をやりとりするのも、お手のもんだ。
「んー、やっぱ距離あると難しいか。」
アイの居る宇宙ステーションと、ミイの居る惑星ドルフレアとは、数千万光年離れている。
「ならば、マイのチップをお借りします。」
「え、どうやるの?」
ミイの提案に、戸惑うマイ。
そんなマイを無視して、ミイは行動に出る。
山のほこらで入手したケイのチップを、自分の額にあてる。
そしてそのまま、マイの額に自分の額をくっつける。
マイとアイとのネットワークに、便乗する形になり、座標情報はアイに伝わった。
そしてほぼ同時に、アイツウにも伝わり、アイとアイツウは、お互いのパートナーに伝える。
「そこそこ距離があるわね。」
座標情報を知ったマイの感想だ。
「ローラスさんにも、伝えなくてはいけませんですわね。」
メドーラはソウルブレイドのクダを、上空に向けて構える。
そして剣を展開させる。
剣は四十メートルの長さがある。
「距離は、これくらいです。覚えてください。」
メドーラの言葉に、ローラスはうなずく。
「そして位置は。」
メドーラは上空に展開したソウルブレイドの剣を、湖の中へと振り下ろす。
「今、剣先がほこらに触れています。どうですか、位置はつかめますか?」
ローラスは剣先のイメージを膨らます。そしてうなずく。
「そう、よかったですわ。」
メドーラは安堵する。
巨大なソウルブレイドの維持は、そこそこきつい。
「ねえ、メドーラ。まだその剣、維持できる?」
疲労の色が見えるメドーラに、マイが声をかける。
「出来ますけれど、あまり時間はありませんよ?」
「一分保たせて。ほこらの位置把握に使わせてもらうから。」
マイは左手をメドーラのソウルブレイドにそえる。
右手で自分のソウルブレイドのクダを構える。
マイは呼吸を整える。
この地に漂うこの星の集合意思であるイデに、話しかける。
イデから、この地のマナを借りる許しを得る。
マイは特殊な呼吸法で大気中のイデを身体に取り込む。
取り込んだイデと、体内のマナを錬成させる。
そして、風の剣を展開させる!
この場所で出来る風の剣は、水分を多く含んだ水気のある剣になると思いきや、そんな事なかった。
普通に風の剣である。
今回の風の剣は、四十メートル先のほこらに届かせる必要がある。
つまり、メドーラの長剣と同じ長さが必要。
「私は楽ね。ここには水系のマナが満ちてるから。」
苦労するマイの横で、ローラスも水の剣を展開させる。
マイはメドーラのソウルブレイドに触れていた左手を、自分のソウルブレイドのクダに移す。
両手でしっかり握った風の剣を高く掲げて叫ぶ。
「ケイ、お願い!僕に力を貸して!ケェーイ!」
マイの叫びに呼応して、湖の水面がざわめき、かすかに光る。
マイの剣先も、上空高く渦巻く。
「もっとよ、ケェーイ!」
湖の水面が、眩しいほどに光る。
「ありがとう、ケイ!」
マイは風の剣を振り下ろす!
水面がふたつに割れ、湖底にあるほこらがあらわになる。
「今よ、ローラス!」
「言われなくても!」
ローラスは水の剣として創られた水の珠を、ほこら目がけて飛ばす。
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