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異次元からの侵略者
第106回 偽りの召喚者
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これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
人類が宇宙へと飛び出したこの時代、人類が争いを止める事はなかった。
いや、争いをやめたいと思っても、争いはその意思とは関係なく、発生するのかもしれない。
過去の時代から、魂を召喚してまで争った人類も、自らの意思とは関係なく、戦闘に巻き込まれてしまう。
それが、北部戦線の激戦である。
この激戦で、召喚者のマインもリムも、再起不能な重傷を負ってしまう。
死なない戦争のための、脱出用システムがあるのにも、関わらず。
戦禍が一時おさまった北部戦線に、調査に来たメドーラとユアも、何者かの襲撃を受ける。
その際、メドーラは昔の、ゴンゴル三姉妹のメドーとしての記憶を覚醒させてしまう。
この危機を救うため、生死の狭間から帰還したマイが、北部戦線の衛星基地ソゴムへと向かい、内部に突入する。
ソゴム内部を急ぐマイ。
そのマイの後ろを、立体映像を投影したマイの分身体が、ふたり続く。
この分身体は、マイの意思とサポートAIのアイの補助で、動いている。
話しの都合上、三体出したかったのだが、設定的に考えると、二体が限界だった。
そんなマイの足が、とある部屋で止まる。
通路の先の大広間となったその部屋に、とある人物が待っていた。
ケイの姿をした、謎の人物である。
マイの知ってるケイは、いつもにこやかにしていた。
だが目の前のケイは、厳しい表情でマイをにらんでいる。
「行って。」
マイは、二体の分身体を先に行かせる。
ケイの姿をした謎の人物も、脇を通り過ぎる分身体には目もくれず、マイをにらみ続ける。
「あなたは、誰なの。」
分身体が部屋を出た後、マイは尋ねる。
「なんで戻ってきた。」
謎の人物も、ほぼ同時に尋ねてくる。
「なんで戻ってきた!マイ!」
謎の人物は、繰り返し尋ねる。
マイの質問よりも、こちらの気持ちの方が強いらしい。
「メドーラとユアを助けるために、決まってるでしょ!」
怒鳴りつけられたマイも、思わず怒鳴りかえす。
「そんな事のためにか。」
謎の人物は、怒りの感情を抑え込むように、つぶやく。
「なんですって。」
謎の人物のその言葉が、マイの怒りの導火線に火をつける。
「ふたりを助ける事を邪魔するの?」
マイは右脚の太ももに装着されたソウルブレイドのクダを手に取ると、謎の人物に向ける。
武器への展開は、していない。
「答えなさい、ブルードラゴン!」
「誰だよ、それ。」
謎の人物は、吹き出し気味に答える。
「だったら、なんて呼ぶべきなの?
ケイではないよね?」
マイはソウルブレイドのクダを握りかえる。
マイは、この人物とメドーラ達との間で、何があったのかを知っている。
メドーラ達が対峙した後、立体映像の偽物が現れて、苦戦した。
ふたりのパートナーである、ユウとアイツウからの意識を共有した情報だ。
この後ふたりがどうなったのかは、マイは知らない。
それを確かめに、マイはここに来た。
「そうだね、マイには本当の名前を告げようか。
マイだけは、死んでほしくないし。」
謎の人物の表情は、怒りの険しい表情から、優しげな表情に変わる。
「私の名前は、ケイネシア。」
「ケイネシア?」
その名前に、マイは聞き覚えがあった。
それはケイが、惑星ドルフレアでお着替えステッキを使った時に名乗った名前だった。
「ケイネシア・ヤーシツ・メドローア。」
「なんで私のフルネームを知ってるのよ!」
マイは、ケイが惑星ドルフレアで名乗ったであろう名前を、つぶやいた。
それに対して、謎の人物は、それが自分の本名だと言う。
これは、どう言う事なのだろう?
いつもならここで、パートナーのアイの解析が入る。
だが今のアイは、戦闘機の自動操縦中で、マイをサポートする余裕はない。
「あなた、やっぱりケイなの?」
ケイの姿をして、ケイが名乗ってた名を名乗る。
マイにはこの人物が、ケイに思えてきた。
マイの知るケイはいつも、何か下心のある笑みを浮かべていた。
目の前の人物は、そのイメージとは程遠い。
だが、マイの見てない所では、こんな感じだったのかもしれない。
「だから、違うって。」
目の前のケイネシアを名乗る人物は、マイの考えを否定する。
「そりゃあ、あのふたりを騙すのに、ケイの名前を語ったけど、マイに対しては、嘘はつかないよ。」
ケイネシアと名乗るこの人物の言葉に、嘘はなさそうだ。
ならばここで、マイは疑問に思う。
「僕の事、なんで知ってるの?」
「ぎく。」
マイの質問に、ケイネシアはびくつく。
何か、隠してる。
マイはそう思った。
「ねえ、ケイネシアさん、本当の事、教えてくれないかな?」
マイはとびっきりの笑顔で、ケイネシアに問いかける。
「わ、私は何も、隠し事などしてないぞ。」
ケイネシアの声は、どこか震えている。
これがどこから来る震えなのか、マイには分からない。
「なら、ローランって知ってる?」
マイが尋ねたのは、千年前に、ケイと共に旅した人物の名前だった。
「え、ローラン?何、なんかの名前?」
ケイネシアのその態度は、本当に知らなさそうだ。
ならば、このケイネシアを名乗る人物の目的を、聞かなくてはならない。
「む、ちょっと待って。」
マイが尋ねようとすると、ケイネシアはそれをさえぎって、左手を左耳にあてる。
「こっちは今、取り込み中なんだよ。」
ケイネシアはいきなり独り言を言いだす。
「え、なんだって。まじかよ。たくう、しょうがないな。」
独り言というよりも、誰かと通信してるようだった。
ケイネシアは、左耳に当てた左手を、下に降ろす。
「マイ、18時間後の総攻撃が決まった。」
「え、早くない?」
この北部戦線での戦闘は、四日間休み無く続いたあと、三日間の休戦状態を挟んだ。
それは、きっちり三日間である。
その三日間が終わるのは、後25時間あった。
「マイ、君には生きていてほしいんだ。
だから、早く、出来るだけ遠くへ、逃げのびてくれ。」
そう言うと、ケイネシアの姿が消えた。
人類が宇宙へと飛び出したこの時代、人類が争いを止める事はなかった。
いや、争いをやめたいと思っても、争いはその意思とは関係なく、発生するのかもしれない。
過去の時代から、魂を召喚してまで争った人類も、自らの意思とは関係なく、戦闘に巻き込まれてしまう。
それが、北部戦線の激戦である。
この激戦で、召喚者のマインもリムも、再起不能な重傷を負ってしまう。
死なない戦争のための、脱出用システムがあるのにも、関わらず。
戦禍が一時おさまった北部戦線に、調査に来たメドーラとユアも、何者かの襲撃を受ける。
その際、メドーラは昔の、ゴンゴル三姉妹のメドーとしての記憶を覚醒させてしまう。
この危機を救うため、生死の狭間から帰還したマイが、北部戦線の衛星基地ソゴムへと向かい、内部に突入する。
ソゴム内部を急ぐマイ。
そのマイの後ろを、立体映像を投影したマイの分身体が、ふたり続く。
この分身体は、マイの意思とサポートAIのアイの補助で、動いている。
話しの都合上、三体出したかったのだが、設定的に考えると、二体が限界だった。
そんなマイの足が、とある部屋で止まる。
通路の先の大広間となったその部屋に、とある人物が待っていた。
ケイの姿をした、謎の人物である。
マイの知ってるケイは、いつもにこやかにしていた。
だが目の前のケイは、厳しい表情でマイをにらんでいる。
「行って。」
マイは、二体の分身体を先に行かせる。
ケイの姿をした謎の人物も、脇を通り過ぎる分身体には目もくれず、マイをにらみ続ける。
「あなたは、誰なの。」
分身体が部屋を出た後、マイは尋ねる。
「なんで戻ってきた。」
謎の人物も、ほぼ同時に尋ねてくる。
「なんで戻ってきた!マイ!」
謎の人物は、繰り返し尋ねる。
マイの質問よりも、こちらの気持ちの方が強いらしい。
「メドーラとユアを助けるために、決まってるでしょ!」
怒鳴りつけられたマイも、思わず怒鳴りかえす。
「そんな事のためにか。」
謎の人物は、怒りの感情を抑え込むように、つぶやく。
「なんですって。」
謎の人物のその言葉が、マイの怒りの導火線に火をつける。
「ふたりを助ける事を邪魔するの?」
マイは右脚の太ももに装着されたソウルブレイドのクダを手に取ると、謎の人物に向ける。
武器への展開は、していない。
「答えなさい、ブルードラゴン!」
「誰だよ、それ。」
謎の人物は、吹き出し気味に答える。
「だったら、なんて呼ぶべきなの?
ケイではないよね?」
マイはソウルブレイドのクダを握りかえる。
マイは、この人物とメドーラ達との間で、何があったのかを知っている。
メドーラ達が対峙した後、立体映像の偽物が現れて、苦戦した。
ふたりのパートナーである、ユウとアイツウからの意識を共有した情報だ。
この後ふたりがどうなったのかは、マイは知らない。
それを確かめに、マイはここに来た。
「そうだね、マイには本当の名前を告げようか。
マイだけは、死んでほしくないし。」
謎の人物の表情は、怒りの険しい表情から、優しげな表情に変わる。
「私の名前は、ケイネシア。」
「ケイネシア?」
その名前に、マイは聞き覚えがあった。
それはケイが、惑星ドルフレアでお着替えステッキを使った時に名乗った名前だった。
「ケイネシア・ヤーシツ・メドローア。」
「なんで私のフルネームを知ってるのよ!」
マイは、ケイが惑星ドルフレアで名乗ったであろう名前を、つぶやいた。
それに対して、謎の人物は、それが自分の本名だと言う。
これは、どう言う事なのだろう?
いつもならここで、パートナーのアイの解析が入る。
だが今のアイは、戦闘機の自動操縦中で、マイをサポートする余裕はない。
「あなた、やっぱりケイなの?」
ケイの姿をして、ケイが名乗ってた名を名乗る。
マイにはこの人物が、ケイに思えてきた。
マイの知るケイはいつも、何か下心のある笑みを浮かべていた。
目の前の人物は、そのイメージとは程遠い。
だが、マイの見てない所では、こんな感じだったのかもしれない。
「だから、違うって。」
目の前のケイネシアを名乗る人物は、マイの考えを否定する。
「そりゃあ、あのふたりを騙すのに、ケイの名前を語ったけど、マイに対しては、嘘はつかないよ。」
ケイネシアと名乗るこの人物の言葉に、嘘はなさそうだ。
ならばここで、マイは疑問に思う。
「僕の事、なんで知ってるの?」
「ぎく。」
マイの質問に、ケイネシアはびくつく。
何か、隠してる。
マイはそう思った。
「ねえ、ケイネシアさん、本当の事、教えてくれないかな?」
マイはとびっきりの笑顔で、ケイネシアに問いかける。
「わ、私は何も、隠し事などしてないぞ。」
ケイネシアの声は、どこか震えている。
これがどこから来る震えなのか、マイには分からない。
「なら、ローランって知ってる?」
マイが尋ねたのは、千年前に、ケイと共に旅した人物の名前だった。
「え、ローラン?何、なんかの名前?」
ケイネシアのその態度は、本当に知らなさそうだ。
ならば、このケイネシアを名乗る人物の目的を、聞かなくてはならない。
「む、ちょっと待って。」
マイが尋ねようとすると、ケイネシアはそれをさえぎって、左手を左耳にあてる。
「こっちは今、取り込み中なんだよ。」
ケイネシアはいきなり独り言を言いだす。
「え、なんだって。まじかよ。たくう、しょうがないな。」
独り言というよりも、誰かと通信してるようだった。
ケイネシアは、左耳に当てた左手を、下に降ろす。
「マイ、18時間後の総攻撃が決まった。」
「え、早くない?」
この北部戦線での戦闘は、四日間休み無く続いたあと、三日間の休戦状態を挟んだ。
それは、きっちり三日間である。
その三日間が終わるのは、後25時間あった。
「マイ、君には生きていてほしいんだ。
だから、早く、出来るだけ遠くへ、逃げのびてくれ。」
そう言うと、ケイネシアの姿が消えた。
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