未来世界に戦争する為に召喚されました

あさぼらけex

文字の大きさ
215 / 215
地球へ

第215話 未来世界に戦争する為に召喚されました

しおりを挟む
 これは西暦9980年のはるか未来のお話し。
 この時代に召喚されたマイは、地球にて、自分のクローンであるアルファと話し合った。


 マイが地球に初めて足を踏み入れてから、既に半年が過ぎた。
 マイとアルファとの話し合いの結果、人類に対しての全面解放とはいかなかった。
 地球は観光地としての、一部解放となった。
 ただし、地球環境を汚染する行為は、厳しく罰せられた。
 その禁止項目は、主に7つだったが、細かく別けると、223項目に及ぶ。
 地球環境保全は、大航海時代が始まる前、14世紀の地球環境を基準とされた。
 これは、それ以降の科学技術の発展を否定するものではない。
 現代の技術を駆使すれば、その時代の環境を再現する事は可能だった。
 それ以降の破壊された地球環境にならなければ、街並みの景観など、どうでもよかった。

 地球の上空二万メートルにターミナルが10箇所設置され、そこが地球への玄関口となった。
 アルファはこれまで通り、クローンを作り続け、太陽系の環境保全に尽力した。
 安全だと思う技術は、惜しみなく外部に提供した。
 その際、技術を渡される人間の資質は、ベータが集団無意識を通して確かめた。
 少しくらい悪用してみようと思う人間でも、それに対する恐怖心を植え付ければ、どうにかなった。
 勿論、どうにかならない人間もいるし、最初から悪用しようとしか思ってない人間もいる。
 そして、直接受諾者が、別の第三者に供与する場合、ベータは関与出来なかった。
 つまりアルファも、悪用される事を前提で、技術を広める事にした。
 その前提があるからこそ、対応策も立てやすかった。

 こうしてアルファが影に日向に、世界に関与することで、世界から争い事は無くなりはしなかったが、格段に減少した。
 しかし、新たな種類の争い事が増えたのも、事実である。

 マイとマインが地球に来てから、既に半年。
 マイとマインは、地球に居を構えた。
 マインが、アルファにぞっこん惚れ込んでしまい、地球に住む事になった。
 そんなマインの身の危険を心配し、マイも地球に住む事にした。
 四代目アルファも、既に6歳になっていて、実に危険が危ない。


 シリウスアルファーワンと、シリウスアルファーツーの機体が、地球の基地から発進する。

「マイン、大変よ。アンモナイト座のデルタ星系の第三惑星にあるパンチウム鉱山が、テロリストに乗っ取られたんですって。」
「そう、大変ね。こっちはあさぼらけ座のオメガ星系で、みらせかのアニメ化放映権をかけての、一大戦争があるのよ。」
「え、なに?」
「どこの制作会社が勝つかで、アニメの出来は大きく左右されるわ。
 だから絶対に負けられないの。
 マイ、そっちが片付いたら、早く加勢に来てね!」
 そう言ってマインはワープイン。
 この宙域から超空間に移動する。

 マイは、自分の方が時間かかりそうと思いつつ、ワープイン。
 目的地を目指す。

「お、来てくれたぞ、漆黒の大天使マイ様だぁ!」
「マイ様ぁー!」
 マイの戦闘機は目的地周辺にたどり着き、熱い声援を受ける。
「たくう、マインの白銀の大天使の対になってるんでしょうけど、漆黒の大天使って、これ、普通に堕天使じゃないの?」
 期待の超新星の異名は、既に新人ではないので、使えなくなった。
 愚痴るマイだが、すぐに目的地のパンチウム鉱山にたどり着く。

「ヒューマノイドシルエット!」
 マイは自分の機体の座標に、人型機体の立体映像を重ねる。
「テロリストのみなさん、おとなしく投降して下さい!」
 マイは鉱山に立て篭もるテロリスト達に呼びかける。

「あら、テロリストだなんて、物は言いようね、漆黒の大天使さん。」
 鉱山の向こう側から、聞き覚えのある声がする。
 声の主の乗り込む機体は人型機体で、鉱山をジャンプで飛び越えて、鉱山の前に着地する。
「やっぱりあなたはリム!
 何故テロリストの味方なんてするのよ!」
「テロリスト?何処に居るの?」
「ここに居るでしょ。会社の社長さんから、困ってるって依頼があったのよ!」
「あのね、マイ。
 ここの会社は、無計画に、法令違反して掘りまくってるの。」
「え、そうなの?」
「おかげで、有毒物質垂れ流し。ここの川の魚は死に絶えたわ。
 それにこのまま掘り続ければ、鉱山自体が崩壊、20キロ四方、死の土地になるわ!」

「それ本当、アイ。」
 マイはパートナーのサポートAIのアイに、裏を取らせる。
「リムの言ってる事は、本当ですね。
 地元出身者は危険性を訴え続けたようですが、聞き入れてもらえず、ストライキを起こしたみたいです。」
「ええ、そんなぁ。地元の声援もあったのに?」
「あれは、会社の社員を動員したようです。」
「もう、ちゃんと事前に調べておいてよ!」
「あら、あなたがテロリスト許さんって、すぐに飛び出してしまったんじゃないですか。」

「どうするの、漆黒の大天使さん。
 地球以外の環境は、どうでもいいって事?」
「もう、僕の負けって事でいいから!」
 マイの戦闘機は、その場を飛び去る。

 この時代、対峙者同士で通信するのは、ザラだった。
 くらだない理由で戦争する事がザラだから、どっちが勝った事にするか、決める為である。
 もっともこの話し合いは、決裂することの方が多い。

「はあ、予想以上に早く片付いちゃった。」
 マイは帰り道の途中、ため息をつく。
「どうします、マインの加勢に行きますか。」
 とアイは提案する。
「んー、後で文句言われそうだから、行きますか。」
 マイはしぶしぶ、マインの戦場へ向かう。

 現場に着いたら、予想の5倍くらいの戦場だった。
「な、何この激戦。」
「あ、マイ、良い所に来たわ。
 相手に手強いヤツがいるのよ。」
 早速マインから、加勢要請。
 とりあえず駆けつけるマイ。
 そこで見た相手は、メドーラだった。
「あ、マイお姉さま、早く加勢して下さい!」
 なんと、メドーラからも加勢要請。

「む」
「あ」
 マインもメドーラも、マイが両方から加勢要請を受けた事を知る。
「マイ、勿論私に加勢してくれるわよね。」
「マイお姉さまは、いつだって私の味方です。」
「えと、どうしよっかな。」
 マイは決めかねている。
「マイ。」
「マイお姉さま。」
 ふたりはマイに迫るが、マイは決めかねる。
「えと、アイ、どっちにつくべきかな。」
 マイはアイに判断を委ねてみる。
「さあ、私には分かりません。」
 アイも匙を投げる。
「えー、そんなー。」

「マイ、」
「マイお姉さま、」
「どっちの味方なのよー!」
「どちらに味方するのですかー!」
 ふたりはなんと、戦場そっちのけでマイを攻撃しだす。
「わー、アイ、緊急離脱!」
「無理です。安全圏まで下がって下さい。」
「そ、そんなー。」


 拝啓、西暦2020年頃のみなさん。
 未来世界に戦争するために召喚されました。
 くだらない戦争理由ばかりで、困ってます。
 PS
 宝くじの当選番号を覚えて帰りたいのですが、未来すぎて記録が残ってません。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

Re:コード・ブレイカー ~落ちこぼれと嘲られた少年、世界最強の異能で全てをねじ伏せる~

たまごころ
ファンタジー
高校生・篠宮レンは、異能が当然の時代に“無能”として蔑まれていた。 だがある日、封印された最古の力【再構築(Rewrite)】が覚醒。 世界の理(コード)を上書きする力を手に入れた彼は、かつて自分を見下した者たちに逆襲し、隠された古代組織と激突していく。 「最弱」から「神域」へ――現代異能バトル成り上がり譚が幕を開ける。

ゲームコインをザクザク現金化。還暦オジ、田舎で世界を攻略中

あ、まん。@田中子樹
ファンタジー
仕事一筋40年。 結婚もせずに会社に尽くしてきた二瓶豆丸。 定年を迎え、静かな余生を求めて山奥へ移住する。 だが、突如世界が“数値化”され、現実がゲームのように変貌。 唯一の趣味だった15年続けた積みゲー「モリモリ」が、 なぜか現実世界とリンクし始める。 化け物が徘徊する世界で出会ったひとりの少女、滝川歩茶。 彼女を守るため、豆丸は“積みゲー”スキルを駆使して立ち上がる。 現金化されるコイン、召喚されるゲームキャラたち、 そして迫りくる謎の敵――。 これは、還暦オジが挑む、〝人生最後の積みゲー〟であり〝世界最後の攻略戦〟である。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

【完結】発明家アレンの異世界工房 ~元・商品開発部員の知識で村おこし始めました~

シマセイ
ファンタジー
過労死した元商品開発部員の田中浩介は、女神の計らいで異世界の少年アレンに転生。 前世の知識と物作りの才能を活かし、村の道具を次々と改良。 その発明は村の生活を豊かにし、アレンは周囲の信頼と期待を集め始める。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

異世界帰りの俺、現代日本にダンジョンが出現したので異世界経験を売ったり配信してみます

内田ヨシキ
ファンタジー
「あの魔物の倒し方なら、30万円で売るよ!」  ――これは、現代日本にダンジョンが出現して間もない頃の物語。  カクヨムにて先行連載中です! (https://kakuyomu.jp/works/16818023211703153243)  異世界で名を馳せた英雄「一条 拓斗(いちじょう たくと)」は、現代日本に帰還したはいいが、異世界で鍛えた魔力も身体能力も失われていた。  残ったのは魔物退治の経験や、魔法に関する知識、異世界言語能力など現代日本で役に立たないものばかり。  一般人として生活するようになった拓斗だったが、持てる能力を一切活かせない日々は苦痛だった。  そんな折、現代日本に迷宮と魔物が出現。それらは拓斗が異世界で散々見てきたものだった。  そして3年後、ついに迷宮で活動する国家資格を手にした拓斗は、安定も平穏も捨てて、自分のすべてを活かせるはずの迷宮へ赴く。  異世界人「フィリア」との出会いをきっかけに、拓斗は自分の異世界経験が、他の初心者同然の冒険者にとって非常に有益なものであると気づく。  やがて拓斗はフィリアと共に、魔物の倒し方や、迷宮探索のコツ、魔法の使い方などを、時に直接売り、時に動画配信してお金に変えていく。  さらには迷宮探索に有用なアイテムや、冒険者の能力を可視化する「ステータスカード」を発明する。  そんな彼らの活動は、ダンジョン黎明期の日本において重要なものとなっていき、公的機関に発展していく――。

はずれスキル念動力(ただしレベルMAX)で無双する~手をかざすだけです。詠唱とか必殺技とかいりません。念じるだけで倒せます~

さとう
ファンタジー
10歳になると、誰もがもらえるスキル。 キネーシス公爵家の長男、エルクがもらったスキルは『念動力』……ちょっとした物を引き寄せるだけの、はずれスキルだった。 弟のロシュオは『剣聖』、妹のサリッサは『魔聖』とレアなスキルをもらい、エルクの居場所は失われてしまう。そんなある日、後継者を決めるため、ロシュオと決闘をすることになったエルク。だが……その決闘は、エルクを除いた公爵家が仕組んだ『処刑』だった。 偶然の『事故』により、エルクは生死の境をさまよう。死にかけたエルクの魂が向かったのは『生と死の狭間』という不思議な空間で、そこにいた『神様』の気まぐれにより、エルクは自分を鍛えなおすことに。 二千年という長い時間、エルクは『念動力』を鍛えまくる。 現世に戻ったエルクは、十六歳になって目を覚ました。 はずれスキル『念動力』……ただしレベルMAXの力で無双する!!

処理中です...