6 / 23
6
「7」x 「7」
しおりを挟む
「そんな訳で、7先生、3週間よろしくお願いします!」
ケイタは両手の平を机の上にバンッと叩きつけ、大げさに頭を下げた。
数秒経ってもシンジが何も言わないので、ケイタが顔を上げると、
相変わらず困り顔のシンジが図書室の壁に掛けられた時計を見ている。
「なに?もう帰らないとダメな感じ?」
ケイタも時計に目をやり、シンジに聞いた。
「か、帰るんじゃなくて、バ、バイトに行かなきゃいけなくて。」
シンジがメガネにかかった前髪をいじくりながら答えた。
「あ、そうなんだ!場所ってどの辺?チャリで行くの?」
ケイタは矢継ぎ早に質問をし、
シンジのバイト先であるコンビニの大体の場所と
シンジはそこまで歩いていくのだということを聞き出した。
「それならさ、チャリで行こうぜ!」
そう言ったケイタの顔をシンジは目を丸くして見つめている。
「俺がお前をチャリの後ろに乗せて、バイト先まで送るよ。
まぁ、勉強教えてくれるお礼だな。
そうすれば、ここに10分は長くいられるだろ?
俺はそれだけ長く勉強を教えてもらえる。
そして、お前は楽にバイト先まで行ける。」
「とにかくお前に教えてもらわないと困るんだよ!
ずっと2.5年生じゃ野球もできなくなる!
だから頼むよ!」
な?と子供のような目をしてケイタが言うと、シンジはこくりと小さく頷いた。
「よし!決まった!7は俺の進級請負人だ!」
「わ、分かったけど、一つ質問、してもいい?」
ガッハハと大口を開けて笑うケイタを遮るように、シンジが上ずった声で言った。
ケイタは口を開けた状態でピタリと固まる。
質問してもいい、ということらしい。
「セ、セブンってなに?さっきから、僕のこと、そう呼んでるけど。」
「・・・え?お前知らないの?」
ケイタは素っ頓狂な声で聞き返した。
それから、いかにも楽しい物語を話して聞かせるような調子で、「7」の由来を説明した。
シンジが本人の知らぬところで同級生から「7」と呼ばれているのは、他でもない、
シンジのバイト先がその相性で呼ばれるコンビニチェーンだからだ。
バイトが許可されている生徒が非常に珍しいため、
皆がシンジに対して持った最初にして最大の印象が、「7」でバイトをしている、ということ。
そういう訳で、誰からともなく、皆がシンジのことを「7」と呼ぶようになった。
「7って呼ばれるの、嫌か?」
ケイタはシンジに聞いた。
シンジは曖昧に首を傾げている。
「俺も7だぜ。」
ケイタがそう言うと、シンジの首はさらに大きく傾いた。
「だ、か、ら!7!ほら!」
そう言って、ケイタは椅子に座ったままくるりと体を回転させ、シンジに背中を向けた。
そして、その大きな背中を両手の親指でグイッと肩越しに指差した。
グイッ、グイッと何度も指し示す。
すると、シンジが小さく息をのむ音が聞こえた。
「背番号。」
シンジがボソリと呟いた。
「ピンポーン!」
ケイタは勢いよく正面に向き直り、ニカッと笑った。
それから、いつになく真剣な表情に変わって言った。
「俺の好きな数字、7。大事な背番号、7。
だから、お前の7ってあだ名、俺は好きだな。」
ケイタが図書室に来て以来、ずっと見開かれていたシンジの目だったが、
ケイタのその言葉を聞くと、さらに大きく見開かれ、
顔は放課後の夕日に溶けてしまいそうなほど、赤く染まってしまった。
ケイタは両手の平を机の上にバンッと叩きつけ、大げさに頭を下げた。
数秒経ってもシンジが何も言わないので、ケイタが顔を上げると、
相変わらず困り顔のシンジが図書室の壁に掛けられた時計を見ている。
「なに?もう帰らないとダメな感じ?」
ケイタも時計に目をやり、シンジに聞いた。
「か、帰るんじゃなくて、バ、バイトに行かなきゃいけなくて。」
シンジがメガネにかかった前髪をいじくりながら答えた。
「あ、そうなんだ!場所ってどの辺?チャリで行くの?」
ケイタは矢継ぎ早に質問をし、
シンジのバイト先であるコンビニの大体の場所と
シンジはそこまで歩いていくのだということを聞き出した。
「それならさ、チャリで行こうぜ!」
そう言ったケイタの顔をシンジは目を丸くして見つめている。
「俺がお前をチャリの後ろに乗せて、バイト先まで送るよ。
まぁ、勉強教えてくれるお礼だな。
そうすれば、ここに10分は長くいられるだろ?
俺はそれだけ長く勉強を教えてもらえる。
そして、お前は楽にバイト先まで行ける。」
「とにかくお前に教えてもらわないと困るんだよ!
ずっと2.5年生じゃ野球もできなくなる!
だから頼むよ!」
な?と子供のような目をしてケイタが言うと、シンジはこくりと小さく頷いた。
「よし!決まった!7は俺の進級請負人だ!」
「わ、分かったけど、一つ質問、してもいい?」
ガッハハと大口を開けて笑うケイタを遮るように、シンジが上ずった声で言った。
ケイタは口を開けた状態でピタリと固まる。
質問してもいい、ということらしい。
「セ、セブンってなに?さっきから、僕のこと、そう呼んでるけど。」
「・・・え?お前知らないの?」
ケイタは素っ頓狂な声で聞き返した。
それから、いかにも楽しい物語を話して聞かせるような調子で、「7」の由来を説明した。
シンジが本人の知らぬところで同級生から「7」と呼ばれているのは、他でもない、
シンジのバイト先がその相性で呼ばれるコンビニチェーンだからだ。
バイトが許可されている生徒が非常に珍しいため、
皆がシンジに対して持った最初にして最大の印象が、「7」でバイトをしている、ということ。
そういう訳で、誰からともなく、皆がシンジのことを「7」と呼ぶようになった。
「7って呼ばれるの、嫌か?」
ケイタはシンジに聞いた。
シンジは曖昧に首を傾げている。
「俺も7だぜ。」
ケイタがそう言うと、シンジの首はさらに大きく傾いた。
「だ、か、ら!7!ほら!」
そう言って、ケイタは椅子に座ったままくるりと体を回転させ、シンジに背中を向けた。
そして、その大きな背中を両手の親指でグイッと肩越しに指差した。
グイッ、グイッと何度も指し示す。
すると、シンジが小さく息をのむ音が聞こえた。
「背番号。」
シンジがボソリと呟いた。
「ピンポーン!」
ケイタは勢いよく正面に向き直り、ニカッと笑った。
それから、いつになく真剣な表情に変わって言った。
「俺の好きな数字、7。大事な背番号、7。
だから、お前の7ってあだ名、俺は好きだな。」
ケイタが図書室に来て以来、ずっと見開かれていたシンジの目だったが、
ケイタのその言葉を聞くと、さらに大きく見開かれ、
顔は放課後の夕日に溶けてしまいそうなほど、赤く染まってしまった。
0
あなたにおすすめの小説
告白ごっこ
みなみ ゆうき
BL
ある事情から極力目立たず地味にひっそりと学園生活を送っていた瑠衣(るい)。
ある日偶然に自分をターゲットに告白という名の罰ゲームが行われることを知ってしまう。それを実行することになったのは学園の人気者で同級生の昴流(すばる)。
更に1ヶ月以内に昴流が瑠衣を口説き落とし好きだと言わせることが出来るかということを新しい賭けにしようとしている事に憤りを覚えた瑠衣は一計を案じ、自分の方から先に告白をし、その直後に全てを知っていると種明かしをすることで、早々に馬鹿げたゲームに決着をつけてやろうと考える。しかし、この告白が原因で事態は瑠衣の想定とは違った方向に動きだし……。
テンプレの罰ゲーム告白ものです。
表紙イラストは、かさしま様より描いていただきました!
ムーンライトノベルズでも同時公開。
劣等アルファは最強王子から逃げられない
東
BL
リュシアン・ティレルはアルファだが、オメガのフェロモンに気持ち悪くなる欠陥品のアルファ。そのことを周囲に隠しながら生活しているため、異母弟のオメガであるライモントに手ひどい態度をとってしまい、世間からの評判は悪い。
ある日、気分の悪さに逃げ込んだ先で、ひとりの王子につかまる・・・という話です。
従順な俺を壊して 【颯斗編】
川崎葵
BL
腕っ節の強い不良達が集まる鷹山高校でトップを張る、最強の男と謳われる火神颯斗。
無敗を貫き通す中、刺激のない毎日に嫌気がさしていた。
退屈な日常を捨て去りたい葛藤を抱えていた時、不思議と気になってしまう相手と出会う。
喧嘩が強い訳でもなく、真面目なその相手との接点はまるでない。
それでも存在が気になり、素性を知りたくなる。
初めて抱く感情に戸惑いつつ、喧嘩以外の初めての刺激に次第に心動かされ……
最強の不良×警視総監の息子
初めての恋心に戸惑い、止まらなくなる不良の恋愛譚。
本編【従順な俺を壊して】の颯斗(攻)視点になります。
本編の裏側になるので、本編を知らなくても話は分かるように書いているつもりですが、話が交差する部分は省略したりしてます。
本編を知っていた方が楽しめるとは思いますので、長編に抵抗がない方は是非本編も……
先輩たちの心の声に翻弄されています!
七瀬
BL
人と関わるのが少し苦手な高校1年生・綾瀬遙真(あやせとうま)。
ある日、食堂へ向かう人混みの中で先輩にぶつかった瞬間──彼は「触れた相手の心の声」が聞こえるようになった。
最初に声を拾ってしまったのは、対照的な二人の先輩。
乱暴そうな俺様ヤンキー・不破春樹(ふわはるき)と、爽やかで優しい王子様・橘司(たちばなつかさ)。
見せる顔と心の声の落差に戸惑う遙真。けれど、彼らはなぜか遙真に強い関心を示しはじめる。
****
三作目の投稿になります。三角関係の学園BLですが、なるべくみんなを幸せにして終わりますのでご安心ください。
ご感想・ご指摘など気軽にコメントいただけると嬉しいです‼️
嫌いなあいつが気になって
水ノ瀬 あおい
BL
今しかない青春だから思いっきり楽しみたいだろ!?
なのに、あいつはいつも勉強ばかりして教室でもどこでも常に教科書を開いている。
目に入るだけでムカつくあいつ。
そんなあいつが勉強ばかりをする理由は……。
同じクラスの優等生にイラつきを止められない貞操観念緩々に見えるチャラ男×真面目で人とも群れずいつも一人で勉強ばかりする優等生。
正反対な二人の初めての恋愛。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる