職人は旅をする

和蔵(わくら)

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第3話 掘出し物

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{次の日、副業で稼いだ、100ベルクを元手に買い物に来ていた。}

{ここは、町の市場だ。食材から生活雑貨まで、何でもそろう。}
ういう場所は、意外な物が多々あるから、止められないよ。}

これは何だろう?見た目は置物にしか見えない。
「お兄さん、それはね魔除けの置物だよ。置いてるだけで効果があるのよ。」

この置物は、幾《いく》らなんですか?
「お安くしとくよ。今なら15ベルクで売るよ。」

ちょっと高いな、もう少し安くしてよ。
「これでも、安いけどね?」

それなら、10ベルクでどうかな?
「そりゃ~安すぎだよ。14ベルクでどう?」

11ベルク?
「13ベルク」

12ベルクで、いいよね?
「12でいいよ...」

お姉さん、ありがとう。
「之位《これくらい》の値切りは、常識だからね。まいどあり。」


{野営する時に、側に置いておけば、魔獣除けになるだろう。}


んっ?この袋って何だろう?
「お兄さん、いらっしゃい。」

「この袋が、気になってるのかい?」
何故か、袋に目が行ってしまってね。

「汚れているけど、作りは確りしてるよ、袋の中は二重構造になってるんだよ。」
長持ちしそうですね。

「だろう?この袋が今なら、17ベルクで買えるよ。」
でも汚れてるから、17ベルクは高いよ。

せめて、12ベルクくらいだよ。
「いやいや、16ベルクで、どうだい?」

13ベルク...「15ベルク」...

14ベルクで良いよね?
「あぁ~14ベルクで、持って行ってくれ。まいどあり。」

{50x50の大きさの袋が、14ベルクで買えたよ。}
{魔獣の襲撃で、食料袋を落としたから、安く買えて良かった。}

へぇ~中の袋は、古くなったら、交換出来るようになってるのか。
木のボタンが付いてる、それを外せば、破れた袋を交換できる仕組みだ。

中々の一品だな。買って良かった。



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ここまでで、26ベルクしか使ってない。
まだまだ、掘出し物を漁れるぞ。


{市場を歩いていると、ふっと目に入ったのは物わ。}

おっちゃん。これは幾らかな?
「この短剣かい?」

うん。
「こりゃ~50ベルクだな。」

これは、おっちゃんが、制作した短剣なの?
「まさか、質草品だよ。」

どこまで、安くしてくれる?
「そうだな...45ベルクでは、どうだろうか?」

うぅ~~ん。もう一声どうにかならない?
「42ベルク。これ以上は無理だね。」

42ベルクで、買うよ。
「まいどあり。」

「使うなら、ちゃんと刃を研いでから、使えよ。」
うん、おっちゃん。ありがとう。

「また来いよ。」
縁があったらね。



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{買った短剣を研ぎに、業物職人ギルドまで来ていた。}

鍛冶をする場所を使いたいのだけど、空きはあるかな?
「はい、まだ空きはありますよ。」

「12番の、鍛冶部屋をお使いください。」
12番は、何処にあるの?

「そこの通路の奥に行けば、12番の部屋があります。」
分かりました。あと料金は、先払いかな?

「日時計の1時間で、10ベルクとなります。」
では、先払いで払いますね。

「確かに、では頑張ってください。」
ありがとう。



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此処だな。
{ガッシャ}

おっ綺麗な、鍛冶場だな。
さてと、最初は短剣の錆を落とすかな。

砥石で短剣を研いだ。
(研ぐのも、技がいるんだよね。)

{シャッコ・シャッコ・シャッコ}
(リズミカルな、音をたてながら研いで行く。)

よし。あとは柄も外してと...
んっ?何か短剣の柄の部分に掘り込んでいる...

{俺には、理解できなかったので、気にせずに柄の部分を綺麗にした。}
{後で、武器鍛冶士の人にでも、聞いてみるかな?}

柄と鞘も汚れていたから、綺麗に仕上げた。

よし、完成だな。

{短剣がピッカピッカになった。これで魔獣に襲われても、抵抗できると思う。}

武器鍛冶士でも、探そうかな...



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受付のお姉さん。はい、部屋の鍵です。
「ありがとうございました。」

お姉さん、武器鍛冶士の人に知り合いは居ませんか?
「武器鍛冶士の人なら、あそこに座ってる人が、私の知り合いですよ。」

「シードルさん、ちょっと良いですか?」
『どうしたかの?何か苦情でも入ったのか?』

「違いますよ、こちらのお兄さんが、武器鍛冶士を探していたんです。」
『ふぅ~驚かせないでくれ、急いで逃げるところじゃったわい。』

『兄さん、儂に何のようじゃ?』
実はですね、市場で買った短剣を研いでいたら、柄の部分に掘り込みが有ったので、武器鍛冶士の方なら、之が何か解るかと思って、聞いてみました。

『どれ、見せて貰おうかの。』
どうぞ。

{ガッシャ}

『どれどれ...研ぎが少し甘いな...』
(そりゃ~本職には敵いませんよ。)

『こりゃ~魔剣じわい。』
『儂に譲るっては、くれんじゃろうか?』

魔剣ですか?魔剣は壊れやすいですからね。旅してる者には、扱いにくいですし、手入れも大変ですから、値段しだいでは、お譲りしますよ。

『800ベルクで、どうじゃろうか?』
『短剣で、800ベルクなら、悪い値段ではないと、思うんじゃがな。』

800ベルクと代わりの短剣で、お譲りしますよ。
『儂が制作した短剣でも、いいじゃろうか?』

はい、かまいません。
『商談成立じゃ。』

『この後に、お店に来て貰えるかの?』
今からでも、良いですよ。

『それは助かる。では行くとしよう。』
はい。お姉さん有難うございました。
「いえいえ、またお越しください。」



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{シードルさんの、お店にやって来た。}

「どれでも、好きな物を持って行って好いぞ。」
目移りしてしまいますね。

んっ...これは?
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