一六銀行の鵜飼くん

芝桜 のの

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昔話ですか?3

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「アレ、博物館に寄贈することにしたんや」
アレって、あのコ達のことですか?
開かれてカピカピになったオオカミさんとタバコのヤニで真っ黒な剥製さんと、落として足が欠けた亀さんの事ですね。
こないだ自宅から会長室に持って来てから掃除が大変なんですから…
剥製さんは真っ黒で絶対触りたくないですし、亀さんは軽いけど、触るとすぐに欠けるのでムッチャ気を使うし。オオカミさんはすぐに毛が抜けるので、床をまるで死体発見現場の様に掃除機をかけなければならないしで…
博物館なら扱いも上手いし何とか持ってってもらってください。
持ってってもらえなければ、土に返してあげたい…
「んで、博物館の人が、今度見に来て持ってってもらうんだわ」
ここに?会社に?
じゃあちょっとでも良く見えるようにオメカシしなきゃいかん。1体でも置いてかれたらかなワン!
亀さんは乾拭きで甲羅を磨き光らせときましょう。剥製さんはヤニを落としてピカピカにしたいけれど…触るのがイヤなので軽く乾拭きで撫でときます。オオカミさんは剥がれた毛皮を集めて剥がれた所にボンドで貼って証拠隠滅。
「コレも貼っとかな」
と渡されたのは、しっぽの毛。いや、流石に脇にしっぽの毛を貼ったらバレますがな!まあ、馴染ませとけば…何とか…
ふう、コレで皆持ってってもらえるだろう。
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