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仮面
しおりを挟むふたつの顔がある。
一つはハッキリとしていて、良く見える。
人と言う人に、良い顔をして気に入られ、いい人であろうとして、自分の感情なんてのも、口から出る時には、自分の物では無くなっている。
良い顔、と言うのは人に合わせる事で相手の機嫌を取り、自らを認めさせる顔なのか、、
それはハッキリしないけれど、とにかく、自分の認識で言う所の良い顔だった。
一つの顔は良い、ハッキリと分かる。
しかし、もう一つの顔。
これが、気付いた時には、分からなくなっていた。
鏡に映したって、他人に聞いたって、身内に聞いたって、帰ってくる自分と言う顔は、前者の物だ。
ならば、その顔一つが自分なのでは無いだろうか。
否、確実にあると、確信する。
自分の中にはもう一つの顔があると。
そいつが顔を出そうとしたり、意見を言おうとした時には、何かが栓をする。
いつしか、そいつを表にだしたくなり、何かを探し出して本来の顔を見たくなる日が必ず来ると。
「自分は誰なんだろう」
ある夏の日、雲ひとつなく青空から日差しが痛い程に降り注ぎ、
皮膚を通り越して、内側をくすぐった。
時に人は、自分と真逆の存在を認知した時に、自分に問いただす事がある。
「どちらが正しいのか」
答えなんて出るはずもなく、考えにふけって、時が経ち、忘れる。
私は、青空と日差しを見た時にそれを感じた。
だとしたら、自分と真逆の青空と日差し。
この真逆の自分とはいったい、何だろう。
その答えの先には確かに、もう一つの自分が存在していて、本来の思考があるはずと。
しかし、こんな言葉もある。
【答えと正解とは別物】
もし、人生に、自分に、答えがあるのなら、それを見つけるのはあまりに険しく無謀な挑戦に過ぎない。
きっと、大体の人間は答えなど分からぬまま、悩み、悔み、後悔し、命を終える。
だとしたら、その時その瞬間の、正解、を導き出す方が答えなのでは無いのか。
答えも、又、一つでは無く、変わっていく。
「雲は掴めないや」
そう口にして、青空とは目をそらした。
空に雲は無かった。
自分に答えも無かった。
今の正解を表に出して行ければ、いつかきっと、
もう1人の、本当の自分に出逢えるのでは無いかと信じて。
もう少しだけ、仮面をかぶり、正解の道を歩もう。
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