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第二十一話:元団長
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ただいつまでもその地位に甘んじられるわけではない。年に一度、団長は自分の団の中で最強の団員の挑戦を受ける。そこで下克上を果たせば、晴れて新しい団長となることができる。
エリーはちょうど一年前、グレイグに挑戦し見事に打ち負かしたのだ。その後、エリーはグレイグに副団長として残るように慰留したのだが……
「誰が貴様のような小娘の下につくものか! 覚えておけ! いつかこの恨み晴らしてやるぞ! 精々今を楽しんでおくことだな」
と、言い残し騎士団を去っていった。
「グレイグ! 狙うなら私だけを狙いなさいよ。死んでいった団員達の中にはあなたの元部下もいたはずよ。それなのに……」
この惨劇を元団長が起こしたものと分かりエリーは怒りがこみ上げる。剣を握る手にも力が入る。
「ぶかぁ~。だりぇのことだぁ~。それぇより、はやく死んでくりぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
グレイグの醜い叫びとともにグレイグの背後から白いグリズリーが再び現れる。しかし、エリーはそれをまるで問題とせずに一太刀で切り捨てる。
「おい、団長殿。あいつ本体を止めないと魔力が無くなるまで魔物を呼び続けるぞ」
エリーは、そんなことぐらい分かっているわと言いながらも戸惑っていた。一年前グレイグと戦ったときはこれほど大量の魔物を一度にテイムすることはできなかった。グレイグがテイムしていた5体のB級程度の魔物を次々と切り伏せ決着がついた。
しかし今はその時の数倍、いや数十倍の魔物がテイムされていたはずだ。どこにそんな魔力があるのかと不思議でならなかった。
だが、アレンの言うように本人を止めれば問題ない。テイマーという者は、テイムしたものに戦わせるので本人自体はさほど強くはないというのが一般的だ。それはグレイグも例外ではない。
エリーはその戸惑いを振り払い、地面を蹴る足に力を込める。この距離なら次のグリズリーを呼ばれる前に、グレイグの懐に入り込める自信があった。
地面を蹴り上げ、エリーの予測通り剣の届く距離まで近づくことができた。そして渾身の一撃を横凪に振るった。
しかし全てを終わらせるはずだったその一撃はグレイグに届くことはなかった。いつの間にかグレイグの前に現れた、真っ黒なコートを着た男の剣に止められていた。
「なっ……」
エリーは自分の剣が止められると、凍りつかせるほどの冷気が全身を覆うような錯覚を起こした。
それと同時にアレンが叫ぶ、
「はやく離れろ!」
エリーはちょうど一年前、グレイグに挑戦し見事に打ち負かしたのだ。その後、エリーはグレイグに副団長として残るように慰留したのだが……
「誰が貴様のような小娘の下につくものか! 覚えておけ! いつかこの恨み晴らしてやるぞ! 精々今を楽しんでおくことだな」
と、言い残し騎士団を去っていった。
「グレイグ! 狙うなら私だけを狙いなさいよ。死んでいった団員達の中にはあなたの元部下もいたはずよ。それなのに……」
この惨劇を元団長が起こしたものと分かりエリーは怒りがこみ上げる。剣を握る手にも力が入る。
「ぶかぁ~。だりぇのことだぁ~。それぇより、はやく死んでくりぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
グレイグの醜い叫びとともにグレイグの背後から白いグリズリーが再び現れる。しかし、エリーはそれをまるで問題とせずに一太刀で切り捨てる。
「おい、団長殿。あいつ本体を止めないと魔力が無くなるまで魔物を呼び続けるぞ」
エリーは、そんなことぐらい分かっているわと言いながらも戸惑っていた。一年前グレイグと戦ったときはこれほど大量の魔物を一度にテイムすることはできなかった。グレイグがテイムしていた5体のB級程度の魔物を次々と切り伏せ決着がついた。
しかし今はその時の数倍、いや数十倍の魔物がテイムされていたはずだ。どこにそんな魔力があるのかと不思議でならなかった。
だが、アレンの言うように本人を止めれば問題ない。テイマーという者は、テイムしたものに戦わせるので本人自体はさほど強くはないというのが一般的だ。それはグレイグも例外ではない。
エリーはその戸惑いを振り払い、地面を蹴る足に力を込める。この距離なら次のグリズリーを呼ばれる前に、グレイグの懐に入り込める自信があった。
地面を蹴り上げ、エリーの予測通り剣の届く距離まで近づくことができた。そして渾身の一撃を横凪に振るった。
しかし全てを終わらせるはずだったその一撃はグレイグに届くことはなかった。いつの間にかグレイグの前に現れた、真っ黒なコートを着た男の剣に止められていた。
「なっ……」
エリーは自分の剣が止められると、凍りつかせるほどの冷気が全身を覆うような錯覚を起こした。
それと同時にアレンが叫ぶ、
「はやく離れろ!」
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