25 / 44
第二十五話:ケチ
しおりを挟む
「アレン、終わりましたよ。褒めてください」
戦いを終えたディーネはまるで頼まれたお使いを終えてきた子供のようにニコニコと笑いながらアレンの元へ駆け寄ってきた。
「よくやったな、ディーネ」
「もぉ、そこはさすが俺のディーネだ。って言いながら頭をナデナデするところですよ」
「はいはい、一人でやってろ」
「アレンのいじわる!」
二人のじゃれ合う姿をエリーは茫然と見つめていた。本当にあの魔人を退けてしまった。しかも見る限りでは無傷で、余裕すら感じられる。これほどの手練れがこんな田舎町に眠っていたなんて……それもただの雑貨屋の店員として。
アレンという男。あれほどの力を持つディーネが仕えているということは、ディーネ以上の力を持っているのか、もしくは何か弱みを握られているのか……しかしこの二日間二人のやり取りを見ている限り後者である可能性は低い。アレンは分からないが、ディーネは好意を抱いていることをあからさまに見せている。
それにあのマジックシールド……魔人を一撃で消し去った威力がある魔法を完全に防ぎ切った。それだけで高い魔力を保持していることは明らかだ。
エリーが様々なことを考察していると、アレンが話しかけてきた。
「ところで団長さん、これからどうするんだ。マグニー火山に行くって言っていたけど流石に引き返すか?」
エリーは顎に手を当てて暫し悩み、
「いや、私はこのまま向かうわ。今回の任務はグレイグや魔人を倒すことではないわ。それにこのまま手ぶらで王都へ帰ったら死んでしまった仲間達が報われない。でも今回は本当に助かったわ、ありがとう」
二人に向かって深々と礼をして、振り返り、休むこともなく森の奥へ進もうとする。
「ちょっと待てよ。俺達もマグニー火山に火口石を取りにいくんだ。でも久しく火山には行ってないから道が不安なんだよ。よかったらついて行ってもいいかな」
エリーは再度振り返り、ジッとアレンの目を見る。アレンもしまったと目を逸らすが、
「あなた、ほんとに嘘が下手ね。分かった、こちらからも是非お願いするわ。それとエリーでいいわよ。別にあなたの団長ではないわけだし」
と、エリーは髪をかき分けながら少しばかり顔を赤らめ言う。
「あ、あぁ、わかったよ、エリー。俺のこともアレンでいいよ」
答えるアレンも同じように顔を赤らめていた。
その二人の姿をディーネは母親のように微笑ましく眺めていた。
「さぁ、二人ともいちゃついてないで早く行きましょう。日が暮れてしまいますよ」
「だ、だれがいちゃついているのよ。道が不安なんでしょ! 早くついてきなさい」
ますます真っ赤になりながら、すたすたと森を進んでいった。
戦いを終えたディーネはまるで頼まれたお使いを終えてきた子供のようにニコニコと笑いながらアレンの元へ駆け寄ってきた。
「よくやったな、ディーネ」
「もぉ、そこはさすが俺のディーネだ。って言いながら頭をナデナデするところですよ」
「はいはい、一人でやってろ」
「アレンのいじわる!」
二人のじゃれ合う姿をエリーは茫然と見つめていた。本当にあの魔人を退けてしまった。しかも見る限りでは無傷で、余裕すら感じられる。これほどの手練れがこんな田舎町に眠っていたなんて……それもただの雑貨屋の店員として。
アレンという男。あれほどの力を持つディーネが仕えているということは、ディーネ以上の力を持っているのか、もしくは何か弱みを握られているのか……しかしこの二日間二人のやり取りを見ている限り後者である可能性は低い。アレンは分からないが、ディーネは好意を抱いていることをあからさまに見せている。
それにあのマジックシールド……魔人を一撃で消し去った威力がある魔法を完全に防ぎ切った。それだけで高い魔力を保持していることは明らかだ。
エリーが様々なことを考察していると、アレンが話しかけてきた。
「ところで団長さん、これからどうするんだ。マグニー火山に行くって言っていたけど流石に引き返すか?」
エリーは顎に手を当てて暫し悩み、
「いや、私はこのまま向かうわ。今回の任務はグレイグや魔人を倒すことではないわ。それにこのまま手ぶらで王都へ帰ったら死んでしまった仲間達が報われない。でも今回は本当に助かったわ、ありがとう」
二人に向かって深々と礼をして、振り返り、休むこともなく森の奥へ進もうとする。
「ちょっと待てよ。俺達もマグニー火山に火口石を取りにいくんだ。でも久しく火山には行ってないから道が不安なんだよ。よかったらついて行ってもいいかな」
エリーは再度振り返り、ジッとアレンの目を見る。アレンもしまったと目を逸らすが、
「あなた、ほんとに嘘が下手ね。分かった、こちらからも是非お願いするわ。それとエリーでいいわよ。別にあなたの団長ではないわけだし」
と、エリーは髪をかき分けながら少しばかり顔を赤らめ言う。
「あ、あぁ、わかったよ、エリー。俺のこともアレンでいいよ」
答えるアレンも同じように顔を赤らめていた。
その二人の姿をディーネは母親のように微笑ましく眺めていた。
「さぁ、二人ともいちゃついてないで早く行きましょう。日が暮れてしまいますよ」
「だ、だれがいちゃついているのよ。道が不安なんでしょ! 早くついてきなさい」
ますます真っ赤になりながら、すたすたと森を進んでいった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる