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079『M資金・16 カオス』
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魔法少女マヂカ
079『M資金・16 カオス』語り手:マヂカ
振り向くと、後部座席には誰も居ない。
「どうかした?」
「ブリンダ、ちょっとバックミラーを見て」
「バックミラー?」
ブリンダは、運転席側のバックミラーを覗くが、見えるのは遠ざかる東京の街並みだけだ。
「ちが、こっちのバックミラー」
首を伸ばして助手席側のバックミラーを見るが、やはり遠ざかる東京の街並みだ。
「あ、そっちに行った!」
「え、こっち?」
移動しているのが見えるわけでは無いのだけど、アリスの目線が動くので、反対側のミラーに行ったと感じた。
『そうよ、ブリンダに見えるように移動してるのに、アマノジャクに動き回るから』
「これ、アリスの声?」
『そうだ! ルームミラーに移動すれば、どちらからでも見えるかも!』
アリスの言葉で、ルームミラーを見る。
「「見えた!」」
『えと、アリスだよ。よろしくね』
「穴に墜落して死んだんじゃないのか?」
『死んだわよ。間抜けな方のアリス』
「じゃ、あんたは?」
『賢い方のアリスだよ』
わたしのイメージの中のアリスと違って、なんだか人を喰った感じに見える。
「ルームミラー見ながらじゃ運転しずらくってさ、ちゃんと出てきてくれよ」
たしかに、ブリンダと身を寄せ合わないと、ミラーの真ん中にアリスを捉えることができなくて煩わしい。
『わりいね、あたし『鏡の国のアリス』だから、鏡の外には出れなくってさ』
ああ、そう言えば『不思議の国のアリス』には続編があって、たしかに『鏡の国のアリス』って云うんだった。
『うん、マヂカが思った通り、リアルの肉体では、そっちには行けないのよ。ま、話聞いてよ』
「手短にね」
『敵の名前は『カオス』って言うの。てか、あたしが付けた名前なんだけどね』
「カオス……」
「混沌って意味ね」
『そう、何が出てくるか分からないからね。今は、向こうの世界で大人しくしてるけど、主だった魔法少女をやっつけたら、こっちの世界にも姿を現すわ。あんたたちの任務は『カオス』が向こうに居る間にやっつけること』
「そうか……だったら、オレたち魔法少女が健在な限り、こっちには影響がない」
「だったら、そっとしておくのも手じゃないの?」
艦隊司令がむちゃくちゃなので、つい嫌味な言い方をしてしまう。分かるわよね、姿がコロコロ変わって、こんなポンコツ機動車しかあてがってくれないんじゃ、モチベーションの上がりようがない。
『放っておいたら、いずれカオスの方からやってくる。その時は、世界中の魔法少女が束になっても勝てなくなるわよ』
「そうなのか?」
『うん、間抜けのアリスも、そこんとこは分かってたわよ』
「……それで、どうしたらいいって言うの? とりあえず出撃はしたけど、どこへ行くんだか見当もついてないんだから」
「そうだ。目標が見つからなきゃ、腕の振るいようもないだろ」
『カオスが現れないのは、あんたらが、戦う気になってないから。その気になったら、カオスは目の前に現れる』
「「ウーーーーーーーーン!!」」
『便秘じゃないんだから、力んだって出てこないわよ』
「じゃ、どうすれば?」
『じゃ、この情報でどう……』
アリスが指を動かすと、ミラーの前に文字が浮かんだ。
――カオスを倒さなければM資金は回収できない――
ウ…………仕方がない。
そう思ったとたん、前方に巨大なニヤケた口が現れた。
やがて、ゆっくりと目とヒゲと縞模様も現れて、巨大なチェシャネコの姿になっていった。
079『M資金・16 カオス』語り手:マヂカ
振り向くと、後部座席には誰も居ない。
「どうかした?」
「ブリンダ、ちょっとバックミラーを見て」
「バックミラー?」
ブリンダは、運転席側のバックミラーを覗くが、見えるのは遠ざかる東京の街並みだけだ。
「ちが、こっちのバックミラー」
首を伸ばして助手席側のバックミラーを見るが、やはり遠ざかる東京の街並みだ。
「あ、そっちに行った!」
「え、こっち?」
移動しているのが見えるわけでは無いのだけど、アリスの目線が動くので、反対側のミラーに行ったと感じた。
『そうよ、ブリンダに見えるように移動してるのに、アマノジャクに動き回るから』
「これ、アリスの声?」
『そうだ! ルームミラーに移動すれば、どちらからでも見えるかも!』
アリスの言葉で、ルームミラーを見る。
「「見えた!」」
『えと、アリスだよ。よろしくね』
「穴に墜落して死んだんじゃないのか?」
『死んだわよ。間抜けな方のアリス』
「じゃ、あんたは?」
『賢い方のアリスだよ』
わたしのイメージの中のアリスと違って、なんだか人を喰った感じに見える。
「ルームミラー見ながらじゃ運転しずらくってさ、ちゃんと出てきてくれよ」
たしかに、ブリンダと身を寄せ合わないと、ミラーの真ん中にアリスを捉えることができなくて煩わしい。
『わりいね、あたし『鏡の国のアリス』だから、鏡の外には出れなくってさ』
ああ、そう言えば『不思議の国のアリス』には続編があって、たしかに『鏡の国のアリス』って云うんだった。
『うん、マヂカが思った通り、リアルの肉体では、そっちには行けないのよ。ま、話聞いてよ』
「手短にね」
『敵の名前は『カオス』って言うの。てか、あたしが付けた名前なんだけどね』
「カオス……」
「混沌って意味ね」
『そう、何が出てくるか分からないからね。今は、向こうの世界で大人しくしてるけど、主だった魔法少女をやっつけたら、こっちの世界にも姿を現すわ。あんたたちの任務は『カオス』が向こうに居る間にやっつけること』
「そうか……だったら、オレたち魔法少女が健在な限り、こっちには影響がない」
「だったら、そっとしておくのも手じゃないの?」
艦隊司令がむちゃくちゃなので、つい嫌味な言い方をしてしまう。分かるわよね、姿がコロコロ変わって、こんなポンコツ機動車しかあてがってくれないんじゃ、モチベーションの上がりようがない。
『放っておいたら、いずれカオスの方からやってくる。その時は、世界中の魔法少女が束になっても勝てなくなるわよ』
「そうなのか?」
『うん、間抜けのアリスも、そこんとこは分かってたわよ』
「……それで、どうしたらいいって言うの? とりあえず出撃はしたけど、どこへ行くんだか見当もついてないんだから」
「そうだ。目標が見つからなきゃ、腕の振るいようもないだろ」
『カオスが現れないのは、あんたらが、戦う気になってないから。その気になったら、カオスは目の前に現れる』
「「ウーーーーーーーーン!!」」
『便秘じゃないんだから、力んだって出てこないわよ』
「じゃ、どうすれば?」
『じゃ、この情報でどう……』
アリスが指を動かすと、ミラーの前に文字が浮かんだ。
――カオスを倒さなければM資金は回収できない――
ウ…………仕方がない。
そう思ったとたん、前方に巨大なニヤケた口が現れた。
やがて、ゆっくりと目とヒゲと縞模様も現れて、巨大なチェシャネコの姿になっていった。
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