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342『予想のはるか斜め上!』
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銀河太平記
342『予想のはるか斜め上!』 扶桑道次(ツギ君)
お城の中に入るのは5年ぶりだよ。
マッパ病も一応終結宣言されて、マス漢との争いも収まったけど、世の中、本のページをめくるようにはいかない。両方ともいつ復活するか知れたもんじゃないからね。
だけど、けじめをつけて人の心を切り替えることは大事だ。
そこで、伯父さん、いや上様は御台所をお迎えになった。父上の結婚も遅かったけど、上様はその上を行く。
相応しい時期を狙っていたとしたら、あの時期はピッタリだった。みんなマッパ病と戦争で疲れ切っていたから、征夷大将軍の嫁とりは、扶桑国民の心を明るくしたさ。日本や火星の各国からもお祝いが届いて、マス漢さえも長い祝電をよこしてきた。
ただ残念なのは、マッパ病の再流行を恐れて、正式な結婚式を挙げていないこと。「その昔、東京オリンピックも無観客でやったことがあるからね」と上様も御台所様も平気な顔をされていた。
あの時のお二人……なんだかよそよそしいから、伯父さん伯母さんでいくよ。
「早くツギ君たちとうちの子がいっしょに遊べるようになるといいわねぇ(⌒∇⌒)」
伯母さんは角隠しの顔を上げて、お腹をさすった。
ドキっとしたさ!
伯父さんと伯母さんは出来ちゃった婚なんだ( ゚Д゚)!
あの頃は、どうやったら子どもができるかなんて知らなかったから、運命だと思ったさ!
「お、おめでとうごじゃいッ!」
ワハハハハハハ(* ´艸`)((´∀`))
舌噛んで、みんなが笑って、とてもおめでたかった。
でも、その後、伯母さん流産してしまって。それから、いろいろあって、もう子どもが産めなくなった。
今日、父上が呼ばれたのは、とても大事なことなんだ。だから「ツキ、お前も来るんだ」と連れてこられたんだ。
それぐらいは分かる。伯父さんは、征夷大将軍の位を父上に譲るつもりなんだ。
まだ、大御所になって隠居する歳じゃないけど、そうやって『人心の安定』を図ろうとしているんだ。
ということは、ボクが玄武扶桑家の当主になるんだ。北の開発と玄武自治領の経営を任されるんだ。
五分ほど控えの部屋で待たされて、その間伯父さんと父上が大人の話……たぶん、最終確認の話をしてるんだ。普通の家でも跡継ぎの話って大変だろ、まして将軍家だからね、兄弟の仲でもいろいろあるさ。
「道次さま、こちらに」
取次の書院番さんに呼ばれて伯父さんの部屋に入る。
さっき、お庭の研究室で会った時の白衣じゃなくて、準正装と言っていい将軍服。
伯母さんもニコニコ笑顔だけど御台所服、父上も、いつ着替えたのか式服で、横には大老の穴山さん。
…………いよいよなんだ。
「五年ぶりであるな、道次」
「はい、上様もご健勝のご様子、道次うれしく存じます」
「うむ…………その方も健やかなる様子、道隆安堵いたし……いたし……あぁ、やっぱり普通に行こう。いいだろ、穴山?」
「ハ、いずれ正式な発表にもなることでしょうから」
「徳子もいいね?」
「はい」
「じゃあ、道次」
「は、はい!」
「おまえ、うちの子になれ(^_^)」
「え(⊙⊙)!?」
「うちの子になって、将来は、この扶桑幕府第六代の将軍になるんだ」
「あ、え、えと……(;'∀')」
はるか斜め上からの話に、憶えている礼法的慣用句じゃ間に合わなくなってオタオタして、親父……父上の顔を見る。
「ま、そういうことだ、玄武の家は弟たちもいる。励め」
「…………」
「返事は!?」
「は、はひ!」
そのあと、父上のハンベが鳴って「できた!」と叫んで、もうなにがなんだか分からなくなってしまった!
☆彡主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 第一師団曹長、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑幕府書院番士 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) 第一師団軍医、一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中だった
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑科学研究所博士
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
扶桑 徳子 道隆の御台所
扶桑 道興 道隆の弟、二人の息子(道次・道忠)と娘がいる
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 東鈴(妻) 悟遼(息子)
テムジン モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン) 銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉 胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく) 輸送船の船長 大統領府参与
朱 元尚 少将 ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
※ 重要事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西之島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
御山 西之島の火山
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
氷室神社 シゲがカンパニーの南端に作った神社 御祭神=秋宮空子内親王
ピタゴラス 月のピタゴラスクレーターにある扶桑幕府の領地 他にパスカル・プラトン・アルキメデス
奥の院 扶桑城啓林の奥にある祖廟
342『予想のはるか斜め上!』 扶桑道次(ツギ君)
お城の中に入るのは5年ぶりだよ。
マッパ病も一応終結宣言されて、マス漢との争いも収まったけど、世の中、本のページをめくるようにはいかない。両方ともいつ復活するか知れたもんじゃないからね。
だけど、けじめをつけて人の心を切り替えることは大事だ。
そこで、伯父さん、いや上様は御台所をお迎えになった。父上の結婚も遅かったけど、上様はその上を行く。
相応しい時期を狙っていたとしたら、あの時期はピッタリだった。みんなマッパ病と戦争で疲れ切っていたから、征夷大将軍の嫁とりは、扶桑国民の心を明るくしたさ。日本や火星の各国からもお祝いが届いて、マス漢さえも長い祝電をよこしてきた。
ただ残念なのは、マッパ病の再流行を恐れて、正式な結婚式を挙げていないこと。「その昔、東京オリンピックも無観客でやったことがあるからね」と上様も御台所様も平気な顔をされていた。
あの時のお二人……なんだかよそよそしいから、伯父さん伯母さんでいくよ。
「早くツギ君たちとうちの子がいっしょに遊べるようになるといいわねぇ(⌒∇⌒)」
伯母さんは角隠しの顔を上げて、お腹をさすった。
ドキっとしたさ!
伯父さんと伯母さんは出来ちゃった婚なんだ( ゚Д゚)!
あの頃は、どうやったら子どもができるかなんて知らなかったから、運命だと思ったさ!
「お、おめでとうごじゃいッ!」
ワハハハハハハ(* ´艸`)((´∀`))
舌噛んで、みんなが笑って、とてもおめでたかった。
でも、その後、伯母さん流産してしまって。それから、いろいろあって、もう子どもが産めなくなった。
今日、父上が呼ばれたのは、とても大事なことなんだ。だから「ツキ、お前も来るんだ」と連れてこられたんだ。
それぐらいは分かる。伯父さんは、征夷大将軍の位を父上に譲るつもりなんだ。
まだ、大御所になって隠居する歳じゃないけど、そうやって『人心の安定』を図ろうとしているんだ。
ということは、ボクが玄武扶桑家の当主になるんだ。北の開発と玄武自治領の経営を任されるんだ。
五分ほど控えの部屋で待たされて、その間伯父さんと父上が大人の話……たぶん、最終確認の話をしてるんだ。普通の家でも跡継ぎの話って大変だろ、まして将軍家だからね、兄弟の仲でもいろいろあるさ。
「道次さま、こちらに」
取次の書院番さんに呼ばれて伯父さんの部屋に入る。
さっき、お庭の研究室で会った時の白衣じゃなくて、準正装と言っていい将軍服。
伯母さんもニコニコ笑顔だけど御台所服、父上も、いつ着替えたのか式服で、横には大老の穴山さん。
…………いよいよなんだ。
「五年ぶりであるな、道次」
「はい、上様もご健勝のご様子、道次うれしく存じます」
「うむ…………その方も健やかなる様子、道隆安堵いたし……いたし……あぁ、やっぱり普通に行こう。いいだろ、穴山?」
「ハ、いずれ正式な発表にもなることでしょうから」
「徳子もいいね?」
「はい」
「じゃあ、道次」
「は、はい!」
「おまえ、うちの子になれ(^_^)」
「え(⊙⊙)!?」
「うちの子になって、将来は、この扶桑幕府第六代の将軍になるんだ」
「あ、え、えと……(;'∀')」
はるか斜め上からの話に、憶えている礼法的慣用句じゃ間に合わなくなってオタオタして、親父……父上の顔を見る。
「ま、そういうことだ、玄武の家は弟たちもいる。励め」
「…………」
「返事は!?」
「は、はひ!」
そのあと、父上のハンベが鳴って「できた!」と叫んで、もうなにがなんだか分からなくなってしまった!
☆彡主な登場人物
大石 一 (おおいし いち) 第一師団曹長、一をダッシュと呼ばれることが多い
穴山 彦 (あなやま ひこ) 扶桑幕府書院番士 扶桑政府老中穴山新右衛門の息子
緒方 未来(おがた みく) 第一師団軍医、一の幼なじみ、祖父は扶桑政府の老中だった
平賀 照 (ひらが てる) 扶桑科学研究所博士
加藤 恵 天狗党のメンバー 緒方未来に擬態して、もとに戻らない
姉崎すみれ(あねざきすみれ) 扶桑第三高校の教師、四人の担任 じつは山野勘十郎 月で死亡
扶桑 道隆 扶桑幕府将軍
扶桑 徳子 道隆の御台所
扶桑 道興 道隆の弟、二人の息子(道次・道忠)と娘がいる
本多 兵二(ほんだ へいじ) 将軍付小姓、彦と中学同窓
胡蝶 小姓頭
児玉元帥(児玉隆三) 地球に帰還してからは越萌マイ
孫 悟兵(孫大人) 児玉元帥の友人 乳母の老婆婆の小鈴に頭が上がらない JR東と西のオーナー 東鈴(妻) 悟遼(息子)
テムジン モンゴル草原の英雄、孫大人の古い友人
森ノ宮茂仁親王 心子内親王はシゲさんと呼ぶ
ヨイチ 児玉元帥の副官
マーク ファルコンZ船長 他に乗員(コスモス・越萌メイ バルス ミナホ ポチ)
アルルカン(メアリ・アン・アルルカン) 銀河系一の賞金首のパイレーツクィーン
氷室(氷室 睦仁) 西ノ島 氷室カンパニー社長(部下=シゲ、ハナ、ニッパチ、お岩、及川軍平) 島守を称す(270から)
村長(マヌエリト) 西ノ島 ナバホ村村長
主席(周 温雷) 西ノ島 フートンの代表者
及川 軍平 西之島市市長
須磨宮心子内親王(ココちゃん) 今上陛下の妹宮の娘
劉 宏 漢明国大統領 満漢戦争の英雄的指揮官 PI後 王春華のボディ
王 春華 漢明国大統領付き通訳兼秘書 JR西のボディー 劉宏にPI
胡 盛媛 中尉 胡盛徳大佐の養女
栗 尊宅(りつそんたく) 輸送船の船長 大統領府参与
朱 元尚 少将 ホトケノザ採掘基地の責任者 胡盛徳大佐の部下だった
※ 重要事項
扶桑政府 火星のアルカディア平原に作られた日本の植民地、独立後は扶桑政府、あるいは扶桑幕府と呼ばれる
カサギ 扶桑の辺境にあるアルルカンのアジトの一つ
グノーシス侵略 百年前に起こった正体不明の敵、グノーシスによる侵略
扶桑通信 修学旅行期間後、ヒコが始めたブログ通信
西之島 硫黄島近くの火山島 パルス鉱石の産地
御山 西之島の火山
パルス鉱 23世紀の主要エネルギー源(パルス パルスラ パルスガ パルスギ)
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