馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》

武者走走九郎or大橋むつお

文字の大きさ
13 / 23

013:カロン

しおりを挟む
馬鹿に付ける薬 《気まぐれアルテミスとのんびりベロナの異世界修業》

013:カロン 




「さあ、一度町に戻らなきゃですね」

 ベロナが、ギュっとこぶしを握る。

「それには及ばん、代理でいい」

「「代理?」」

 ピュ

 プルートが口笛を吹くと、ショートヘアの小柄な少女が降ってわいたように現れた。

「なにぃ?」

「始まりの町に行って、手続きをしてきてくれ」

「ええぇ(‎ ‎ ̄ࡇ ̄ ) 」

 すごくメンドクサソウな顔をして、赤いショートヘアの頭をゴシゴシ掻く。

「儂らは先に行ってる、ほら、記録とドロップを渡しておく」

「おお」

 ショートヘアが腰のタガーを少しだけ抜くと、プルートのソードの束から小さな三つの光の玉が出てきてタガーに移される。

 パチン

 タガーを鞘に納めると、もう回れ右をするショートヘア。

「挨拶ぐらいしていけ」

「それには及ばん」

 プルートそっくりな捨て台詞を残してショートヘアは消えてしまった。

「なんだ、あいつ(`へ´)」

 アルテミスは機嫌が悪い。

「儂の衛星のカロンだ」

「ちょっとアルテミスに似てましたね」

「ちょ、あそこまで不愛想じゃないぞ(‎ ‎`▢’ ) 」

「下に四人も妹弟がいるんでな」

「まあ、大変なんですねぇ」

「まあな……」


 おお、プルートじゃねえか!


 坂道を上がって行くと谷の上から、ちょっとバカにしたような声が降ってきた。

 見上げると先行のパーティーたちが、バカにしたような顔で見下ろしている。

 三人と四人のパーティーに、もう一つはメンバーは前衛とメイジが二人もいて充実している。どうやら、アルテミス達の戦いを高みの見物と決め込んでいたようだ。

 メイジの一人が――ごめんなさい――というような顔をしているが、残りはどうでもいいような、あるいは、ハッキリとバカにしている。

「ヒヨッコ二人連れて、修学旅行の引率かあ?」

 腹の突き出たアーチャーが皮肉を言うと、前衛の一人が身を乗り出してトドメとばかりに悪態をつく。

「大変だよなあ、惑星のライセンス取り上げられちまっ……」

 シャリーーン!

 鞘走りの音がしたかと思うと、瞬間移動をしたかのように、プルートは前衛の首筋にソードを擬している。

「めったなことを言うな……儂は今でも太陽系の第九惑星だ!」

「あ……あ……そ、そうだったな(;゚Д゚)」

「そこのメイジ、すぐに回復魔法をかけてやれ。このソードを離した途端、こいつの首から致死量の血が噴き出すからな」

「は、はい……わ、我、神の御名において、曙の力もて汝の命を繋がんとす……」

 詠唱の最後の言葉が終わると同時にプルートはソードを引き離し、前衛の首からスイッチ入れたての小便小僧ほどの血が放物線を描き、その先が地面に落ちると同時に停まった。

「少し詠唱の力が弱い、精進するんだな」

「は、はい……」

「行くぞ」

 三人は曙の谷を後にして北に向かった。



 
☆彡 主な登場人物とあれこれ

アルテミス          アーチャー 月の女神
ベロナ            メイジ 火星の女神 生徒会長
プルート           ソードマン 冥王星のスピリット カロンなど五つの衛星がある
カグヤ            アルテミスの姉
マルス            ベロナの兄 軍神 農耕神
アマテラス          理事長
宮沢賢治           昴学院校長
ジョバンニ          教頭
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

氷河期世代のおじさん異世界に降り立つ!

本条蒼依
ファンタジー
 氷河期世代の大野将臣(おおのまさおみ)は昭和から令和の時代を細々と生きていた。しかし、工場でいつも一人残業を頑張っていたがとうとう過労死でこの世を去る。  死んだ大野将臣は、真っ白な空間を彷徨い神様と会い、その神様の世界に誘われ色々なチート能力を貰い異世界に降り立つ。  大野将臣は異世界シンアースで将臣の将の字を取りショウと名乗る。そして、その能力の錬金術を使い今度の人生は組織や権力者の言いなりにならず、ある時は権力者に立ち向かい、又ある時は闇ギルド五竜(ウーロン)に立ち向かい、そして、神様が護衛としてつけてくれたホムンクルスを最強の戦士に成長させ、昭和の堅物オジサンが自分の人生を楽しむ物語。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

ペーパードライバーが車ごと異世界転移する話

ぐだな
ファンタジー
車を買ったその日に事故にあった島屋健斗(シマヤ)は、どういう訳か車ごと異世界へ転移してしまう。 異世界には剣と魔法があるけれど、信号機もガソリンも無い!危険な魔境のど真ん中に放り出された島屋は、とりあえずカーナビに頼るしかないのだった。 「目的地を設定しました。ルート案内に従って走行してください」 異世界仕様となった車(中古車)とペーパードライバーの運命はいかに…

処理中です...