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111『ハチと坂の底で待ち合わせ』
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やくもあやかし物語
111『ハチと坂の底で待ち合わせ』
断ってもいいんですが……
交換手さんは、めずらしくためらった。
「え、ヤバイ人からの電話?」
『里見さんのところのハチです』
交換手さんは、いつもは「誰それさんからお電話です」とだけ言って、取り次いでくれるんだけどね。
今日は『断ってもいいんですが……』と言ってから。
ちょっと前のわたしなら「じゃ、断って」と言うんだけど、気の迷いか「ううん、繋いで」と応えてしまった。
たぶんね、机の上のコタツでくつろいでいる闇猫(チカコ)とあやか(六条御息所)が興味深そうで、どこか意地悪な目で見ていたせいだ。
『では、お繋ぎします!』
ちょっと気合いの入った返事をして切り替わった。
『時分時(じぶんどき)にすみません、里見家のハチです。大至急お話したいことがあるので坂の下までお越し願えませんか?』
人語を話しても、ハチは折り目正しい。
「えと、晩御飯までには家に帰りたいんだけど、それでもいいかしら?」
『はい、それで結構です。おそらく五分も話せば済むと思いますから』
「う、うん、じゃ、すぐに行くわ」
『よろしくお願いします』
電話を切ると、チカコと御息所が興味津々の目で見上げてる。
「あんたたちも来る?」
「「ううん」」
揃って首を横に振る。
御息所は、まだ新参者だけど、チカコは、ほとんどわたしの相棒だ。断られるのは心外だけど、疑問形で聞いたんだから、断られても文句は言えない。
「だってねえ……」
「ハチって八房……」
「ちょ、声大きい!」
意味深なことを言ってるけど、時間が無いし、聞くのもムカつくし、自転車を漕いで、坂の下を目指した。
黄昏時の通学路、いろいろ気配を感じる。
二丁目地蔵……メイドお化け……四毛猫……
みんな姿は現さない。道路に映った影とか「カサリ」とか「ガサ」って音だったりの気配。
みんな、なんか企んでる感じ。もしくは、わたしに申し訳なくて遠慮的な、そんな感じ。
角を曲がって下り坂になったところにペコリお化け。
なんの力もない妖だけど、姿を晒して、きちんとペコリするのは好感度なんだ。
だけど、神風特攻隊を見送るような悲壮な顔はしないでほしい。
チャラララ
ペダルを逆廻しして、ちょっとだけ気合いを入れる。
坂の下が見えてくる。
ジジジ ジジジ ジジ……
今どき珍しい蛍光灯の街灯が切れかかってチラチラ。
そのストロボが近くなると、ノッソリと車いすのハチが街灯の灯りの中に入ってきた。
「あら、そういう車いすだったの?」
意表を突かれた。
犬の車いすだから、てっきり前脚を地面についたやつだと思ったら、人間の車いすを小さくしたようなのに乗っている。
「恐縮です、これが本来のカタチなもので。さっそく要件に入らせていただいてよろしいでしょうか?」
「あ、うん、どうぞ」
「ハチと言うのは略称と申しましょうか、ニックネームのようなもので、本来は八房と申します」
「あ、うん、チカコたちが言ってた」
「主人は里見家のお嬢さんなのですが、わけあって、大妖怪どもと戦っております」
「ひょっとして、その戦いの……」
「はい、不覚でした。条件が整う前に、ちょっと勇み過ぎました……」
ちょっと悪い予感がしたけど、こう丁寧に話されると、待ったをかけるのはためらわれるよ。
「関八州には八人の大妖怪がおります。われわれ里見一族は、その八大妖怪と戦うことを運命づけられております……」
「南総里見八犬伝?」
「ご存知でしたか?」
「あ、うちの者が……」
「チカコさんと御息所さんですね?」
「あ、うん ハチ……八房も知ってるの?」
「ハチでけっこうです。ええ、古くから、この地におりますので、情報はいろいろと伝わってまいります」
あ、きっと二丁目地蔵とかメイドお化けだ……
「先日は、河内の俊徳丸もお助けになったとか」
「あ、うん、ちょっとね……」
突っ込まれたら、どうしようかと思ったんだけど、すぐに用件を切り出した。
「厚かましいお願いなんですが、わたしに変わって大妖怪を退治してはいただけないでしょうか?」
「え、わたしが!?」
「やくもさんには、十分、その力があります」
「ナイナイナイ(;'∀')」
慌てて顔の前でナイナイする。
「いいえ、無ければ、仁義八行の玉が、あなたの手にもたらされるわけがありません!」
「あ、あれは……」
メイドお化けに嵌められて、八つのカップ麺を……
「どのような事情や経緯があろうとも、お手に渡ったということは、十分に資格があるということです」
「し、資格って……」
「運命と申し上げてもよろしいでしょう」
「で、でも……」
「八つ全てとは申しません、わたしも、この脚は回復すれば戦えると思います。取りあえずは、わたしが打ち漏らした武蔵の妖怪だけでも」
「え、あ、でも、もう日も落ちてしまったし……」
「そうですね、かいつまんで申します。先日お使いになったコルト・ガバメントをお使いになれば分があります。弾は、八つのカップ麺を、あれは仁義八行の力が籠められていますから、絶大な力を発揮いたします」
「で、でも……」
「お願いです、これには里見のお嬢様の命運もかかっております……あ、いけません。もう陽が沈み切ってしまいます、急いでお戻りください、グズグズしていては大妖怪が、ホラ……」
折り返して一丁目に繋がる坂道から唸り声のようなものが聞こえてくる。
ブオブボボボボ……
「わたしが防ぎます! お急ぎになってください!」
「わ、分かった! わたしも何とかするからねえ!」
サドルに跨ると、精一杯の立ち漕ぎで坂の上を目指した。
ゼーゼーゼー
「あれ?」
坂の上まで来ると、まだ西の空の底辺に太陽な張り付いていて、まだ余裕で家に帰れそう。
そうか、坂の底だったから、早く暗くなるんだ……ひょっとしたら、ハチに嵌められた?
ブオブボボボボ……
あ、化け物が追いかけてくる!
アセアセで自転車を漕ぐと、坂を上り切った化け物のがすぐ後ろまで迫ってきた!
ブオブボボボボ!!
ああ、もうダメ!
そう思って漕ぎながら頭を下げると、ブオブボボボボ……どこかの工事現場から帰る途中のトラックが、追い越していった。
あ、ひょっとしたら嵌められた!?
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
教頭先生
小出先生 図書部の先生
杉野君 図書委員仲間 やくものことが好き
小桜さん 図書委員仲間
あやかしたち 交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六畳の御息所
111『ハチと坂の底で待ち合わせ』
断ってもいいんですが……
交換手さんは、めずらしくためらった。
「え、ヤバイ人からの電話?」
『里見さんのところのハチです』
交換手さんは、いつもは「誰それさんからお電話です」とだけ言って、取り次いでくれるんだけどね。
今日は『断ってもいいんですが……』と言ってから。
ちょっと前のわたしなら「じゃ、断って」と言うんだけど、気の迷いか「ううん、繋いで」と応えてしまった。
たぶんね、机の上のコタツでくつろいでいる闇猫(チカコ)とあやか(六条御息所)が興味深そうで、どこか意地悪な目で見ていたせいだ。
『では、お繋ぎします!』
ちょっと気合いの入った返事をして切り替わった。
『時分時(じぶんどき)にすみません、里見家のハチです。大至急お話したいことがあるので坂の下までお越し願えませんか?』
人語を話しても、ハチは折り目正しい。
「えと、晩御飯までには家に帰りたいんだけど、それでもいいかしら?」
『はい、それで結構です。おそらく五分も話せば済むと思いますから』
「う、うん、じゃ、すぐに行くわ」
『よろしくお願いします』
電話を切ると、チカコと御息所が興味津々の目で見上げてる。
「あんたたちも来る?」
「「ううん」」
揃って首を横に振る。
御息所は、まだ新参者だけど、チカコは、ほとんどわたしの相棒だ。断られるのは心外だけど、疑問形で聞いたんだから、断られても文句は言えない。
「だってねえ……」
「ハチって八房……」
「ちょ、声大きい!」
意味深なことを言ってるけど、時間が無いし、聞くのもムカつくし、自転車を漕いで、坂の下を目指した。
黄昏時の通学路、いろいろ気配を感じる。
二丁目地蔵……メイドお化け……四毛猫……
みんな姿は現さない。道路に映った影とか「カサリ」とか「ガサ」って音だったりの気配。
みんな、なんか企んでる感じ。もしくは、わたしに申し訳なくて遠慮的な、そんな感じ。
角を曲がって下り坂になったところにペコリお化け。
なんの力もない妖だけど、姿を晒して、きちんとペコリするのは好感度なんだ。
だけど、神風特攻隊を見送るような悲壮な顔はしないでほしい。
チャラララ
ペダルを逆廻しして、ちょっとだけ気合いを入れる。
坂の下が見えてくる。
ジジジ ジジジ ジジ……
今どき珍しい蛍光灯の街灯が切れかかってチラチラ。
そのストロボが近くなると、ノッソリと車いすのハチが街灯の灯りの中に入ってきた。
「あら、そういう車いすだったの?」
意表を突かれた。
犬の車いすだから、てっきり前脚を地面についたやつだと思ったら、人間の車いすを小さくしたようなのに乗っている。
「恐縮です、これが本来のカタチなもので。さっそく要件に入らせていただいてよろしいでしょうか?」
「あ、うん、どうぞ」
「ハチと言うのは略称と申しましょうか、ニックネームのようなもので、本来は八房と申します」
「あ、うん、チカコたちが言ってた」
「主人は里見家のお嬢さんなのですが、わけあって、大妖怪どもと戦っております」
「ひょっとして、その戦いの……」
「はい、不覚でした。条件が整う前に、ちょっと勇み過ぎました……」
ちょっと悪い予感がしたけど、こう丁寧に話されると、待ったをかけるのはためらわれるよ。
「関八州には八人の大妖怪がおります。われわれ里見一族は、その八大妖怪と戦うことを運命づけられております……」
「南総里見八犬伝?」
「ご存知でしたか?」
「あ、うちの者が……」
「チカコさんと御息所さんですね?」
「あ、うん ハチ……八房も知ってるの?」
「ハチでけっこうです。ええ、古くから、この地におりますので、情報はいろいろと伝わってまいります」
あ、きっと二丁目地蔵とかメイドお化けだ……
「先日は、河内の俊徳丸もお助けになったとか」
「あ、うん、ちょっとね……」
突っ込まれたら、どうしようかと思ったんだけど、すぐに用件を切り出した。
「厚かましいお願いなんですが、わたしに変わって大妖怪を退治してはいただけないでしょうか?」
「え、わたしが!?」
「やくもさんには、十分、その力があります」
「ナイナイナイ(;'∀')」
慌てて顔の前でナイナイする。
「いいえ、無ければ、仁義八行の玉が、あなたの手にもたらされるわけがありません!」
「あ、あれは……」
メイドお化けに嵌められて、八つのカップ麺を……
「どのような事情や経緯があろうとも、お手に渡ったということは、十分に資格があるということです」
「し、資格って……」
「運命と申し上げてもよろしいでしょう」
「で、でも……」
「八つ全てとは申しません、わたしも、この脚は回復すれば戦えると思います。取りあえずは、わたしが打ち漏らした武蔵の妖怪だけでも」
「え、あ、でも、もう日も落ちてしまったし……」
「そうですね、かいつまんで申します。先日お使いになったコルト・ガバメントをお使いになれば分があります。弾は、八つのカップ麺を、あれは仁義八行の力が籠められていますから、絶大な力を発揮いたします」
「で、でも……」
「お願いです、これには里見のお嬢様の命運もかかっております……あ、いけません。もう陽が沈み切ってしまいます、急いでお戻りください、グズグズしていては大妖怪が、ホラ……」
折り返して一丁目に繋がる坂道から唸り声のようなものが聞こえてくる。
ブオブボボボボ……
「わたしが防ぎます! お急ぎになってください!」
「わ、分かった! わたしも何とかするからねえ!」
サドルに跨ると、精一杯の立ち漕ぎで坂の上を目指した。
ゼーゼーゼー
「あれ?」
坂の上まで来ると、まだ西の空の底辺に太陽な張り付いていて、まだ余裕で家に帰れそう。
そうか、坂の底だったから、早く暗くなるんだ……ひょっとしたら、ハチに嵌められた?
ブオブボボボボ……
あ、化け物が追いかけてくる!
アセアセで自転車を漕ぐと、坂を上り切った化け物のがすぐ後ろまで迫ってきた!
ブオブボボボボ!!
ああ、もうダメ!
そう思って漕ぎながら頭を下げると、ブオブボボボボ……どこかの工事現場から帰る途中のトラックが、追い越していった。
あ、ひょっとしたら嵌められた!?
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
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