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159『びしょ濡れプンプン丸』
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やくもあやかし物語
159『びしょ濡れプンプン丸』
おまえは誰だ!
びしょ濡れが赤い口を開いて怒鳴った。「誰だ!」と言うのだから、わたしのことを聞いているんだろうけど、勢いが強いので疑問というよりは攻撃だ。
「あ、あなたこそ誰よ!」
むかしのわたしだったら、ワタワタして「あ、え、えと……(;'∀')」ということになるんだけど、少しはあやかし慣れしてきて、ちょっぴりだけど度胸も付いた。
だから、ノッケにかましておく。
体一つでやってきたんじゃなくて、とりあえず、机と椅子はわたしのだしね。
「ここは船長室だ、ひとの船長室に居るお前は密航者だ、密航者は、簀巻きにして海に放り込むのが海の掟だ!」
「え、海に放り込む( ゜Д゜)!」
ドスン
わたしの度胸はいっしゅんで崩れてしまった。
衝撃がリアルだと思ったら、机は座卓ほどの、椅子は座椅子の低さに縮んでしまった。
「ああ、事と次第によってはな(;`O´)o」
びしょ濡れのくせに、めちゃくちゃ怖い。びしょ濡れプンプン丸だ!
「えと、自分の部屋に戻ったら、机の上にミカンがあって『あ、ミカンだ』と思ったら、ここに来てた」
手にしたミカンを、ズイっと突き出す。
「ミカンは、あるのが当たり前、この船はミカン船だ。てめえ、積み荷のミカンを勝手に食ったなあ」
「ち、ちがうちがう! この机だって……え、わたしのじゃない?」
わたしのも木の机だけど、材質も色も違う。樫の木かなんかで、黒光りするごっつい木でできている。
「見え透いた言い訳しやがって」
「え、あ、あ……」
チリリリン チリリリン
「ウワ!?」
黒電話が鳴って、びしょ濡れプンプン丸はビックリして、ピョンと後ろに跳んだ。
揺れる船の中なのに、跳んでもふらつかないのに感心。
わたしは、ちょっと安心した。
机も椅子も変わっているけど、黒電話だけは付いて来てくれたみたい。
チリリリン チリリリン
「そ、その黒いのはなんだ! なんでリンリン鳴ってるんだ!?」
チリリリン チリリリン
「えと、電話だから……出てもいい?」
チリリリン チリリリン
「と、とにかく、その音を停めろ!」
チリリリン チリリリン
「うん、分かった……もしもし」
『船長さんに替わってもらえますか』
交換手さんが言うので、受話器を突き出す。
「替わってって」
「こ、これをか?」
「取らなきゃ、話ができない」
「お、おう……」
「あ、逆さま」
「逆さ……お、おお!?」
正しく持つと交換手さんの声がしたようで、ビックリしている。
……交換手さんは、なにかうまいこと言ってくれているようで、びしょ濡れプンプン丸は目に見えて神妙になって、ふつうのびしょ濡れになった。
「は、はい、承知いたしました。そういうことであれば、きちんとお祀りいたします、は、は、はい、替わります!」
びしょ濡れは、うやうやしく両手で受話器を捧げ持つと、わたしに手渡した。
「もしもし」
『みかんの神さまということにしました。やくもを大切に扱えば、無事に積み荷を届けられると言っておきましたので、大丈夫ですよ(^▽^)』
「みかんの神さま!?」
『そっちに行くわけにはいきませんが、がんばってくださいね』
「がんばるって、わたし、戻りたいんだけど」
『手立ては考えますが、無事に着けばなんとかなりそうですよ』
「あ、えと……」
『それでは、グッドラック』
「あ、ちょ……」
プツン…………電話は一方的にきれてしまった。
「これは、航海安全の為に遣わされたミカンの神さまとは存じませんでした。まことにご無礼いたしましたっ!」
「あ、ども。そこまで平伏されなくても(^_^;)……それで、あなたと……この船はなんなの?」
「はい、改めて名乗らせていただきます」
畏まると、ずぶ濡れは身にまとっていたずぶ濡れを脱いだ。
ずぶ濡れは上にまとっていた蓑一つで、その下はお祭りの法被みたいな下に細身のパンツルック。
ちょっとカッコいい女の子。
「わたくし、紀伊国屋ブンコと申す若輩者でございまして……」
「紀伊国屋文庫?」
頭の中にお馴染みのラノベ文庫のいくつかが点滅する。
☆角川……☆電撃……☆講談社……☆スニーカー……☆オレンジ……☆GA……
ラノベの読み過ぎで、とうとう文庫のあやかしが出てきてしまった!?
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
お母さん やくもとは血の繋がりは無い 陽子
お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
教頭先生
小出先生 図書部の先生
杉野君 図書委員仲間 やくものことが好き
小桜さん 図書委員仲間
あやかしたち 交換手さん メイドお化け ペコリお化け えりかちゃん 四毛猫 愛さん(愛の銅像) 染井さん(校門脇の桜) お守り石 光ファイバーのお化け 土の道のお化け 満開梅 春一番お化け 二丁目断層 親子(チカコ) 俊徳丸 鬼の孫の手 六条の御息所 里見八犬伝 滝夜叉姫 将門 アカアオメイド アキバ子 青龍 メイド王 伏姫(里見伏)
159『びしょ濡れプンプン丸』
おまえは誰だ!
びしょ濡れが赤い口を開いて怒鳴った。「誰だ!」と言うのだから、わたしのことを聞いているんだろうけど、勢いが強いので疑問というよりは攻撃だ。
「あ、あなたこそ誰よ!」
むかしのわたしだったら、ワタワタして「あ、え、えと……(;'∀')」ということになるんだけど、少しはあやかし慣れしてきて、ちょっぴりだけど度胸も付いた。
だから、ノッケにかましておく。
体一つでやってきたんじゃなくて、とりあえず、机と椅子はわたしのだしね。
「ここは船長室だ、ひとの船長室に居るお前は密航者だ、密航者は、簀巻きにして海に放り込むのが海の掟だ!」
「え、海に放り込む( ゜Д゜)!」
ドスン
わたしの度胸はいっしゅんで崩れてしまった。
衝撃がリアルだと思ったら、机は座卓ほどの、椅子は座椅子の低さに縮んでしまった。
「ああ、事と次第によってはな(;`O´)o」
びしょ濡れのくせに、めちゃくちゃ怖い。びしょ濡れプンプン丸だ!
「えと、自分の部屋に戻ったら、机の上にミカンがあって『あ、ミカンだ』と思ったら、ここに来てた」
手にしたミカンを、ズイっと突き出す。
「ミカンは、あるのが当たり前、この船はミカン船だ。てめえ、積み荷のミカンを勝手に食ったなあ」
「ち、ちがうちがう! この机だって……え、わたしのじゃない?」
わたしのも木の机だけど、材質も色も違う。樫の木かなんかで、黒光りするごっつい木でできている。
「見え透いた言い訳しやがって」
「え、あ、あ……」
チリリリン チリリリン
「ウワ!?」
黒電話が鳴って、びしょ濡れプンプン丸はビックリして、ピョンと後ろに跳んだ。
揺れる船の中なのに、跳んでもふらつかないのに感心。
わたしは、ちょっと安心した。
机も椅子も変わっているけど、黒電話だけは付いて来てくれたみたい。
チリリリン チリリリン
「そ、その黒いのはなんだ! なんでリンリン鳴ってるんだ!?」
チリリリン チリリリン
「えと、電話だから……出てもいい?」
チリリリン チリリリン
「と、とにかく、その音を停めろ!」
チリリリン チリリリン
「うん、分かった……もしもし」
『船長さんに替わってもらえますか』
交換手さんが言うので、受話器を突き出す。
「替わってって」
「こ、これをか?」
「取らなきゃ、話ができない」
「お、おう……」
「あ、逆さま」
「逆さ……お、おお!?」
正しく持つと交換手さんの声がしたようで、ビックリしている。
……交換手さんは、なにかうまいこと言ってくれているようで、びしょ濡れプンプン丸は目に見えて神妙になって、ふつうのびしょ濡れになった。
「は、はい、承知いたしました。そういうことであれば、きちんとお祀りいたします、は、は、はい、替わります!」
びしょ濡れは、うやうやしく両手で受話器を捧げ持つと、わたしに手渡した。
「もしもし」
『みかんの神さまということにしました。やくもを大切に扱えば、無事に積み荷を届けられると言っておきましたので、大丈夫ですよ(^▽^)』
「みかんの神さま!?」
『そっちに行くわけにはいきませんが、がんばってくださいね』
「がんばるって、わたし、戻りたいんだけど」
『手立ては考えますが、無事に着けばなんとかなりそうですよ』
「あ、えと……」
『それでは、グッドラック』
「あ、ちょ……」
プツン…………電話は一方的にきれてしまった。
「これは、航海安全の為に遣わされたミカンの神さまとは存じませんでした。まことにご無礼いたしましたっ!」
「あ、ども。そこまで平伏されなくても(^_^;)……それで、あなたと……この船はなんなの?」
「はい、改めて名乗らせていただきます」
畏まると、ずぶ濡れは身にまとっていたずぶ濡れを脱いだ。
ずぶ濡れは上にまとっていた蓑一つで、その下はお祭りの法被みたいな下に細身のパンツルック。
ちょっとカッコいい女の子。
「わたくし、紀伊国屋ブンコと申す若輩者でございまして……」
「紀伊国屋文庫?」
頭の中にお馴染みのラノベ文庫のいくつかが点滅する。
☆角川……☆電撃……☆講談社……☆スニーカー……☆オレンジ……☆GA……
ラノベの読み過ぎで、とうとう文庫のあやかしが出てきてしまった!?
☆ 主な登場人物
やくも 一丁目に越してきて三丁目の学校に通う中学二年生
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お爺ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い 昭介
お婆ちゃん やくもともお母さんとも血の繋がりは無い
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