84 / 109
84〔宇賀先生の復活〕
しおりを挟む
明神男坂のぼりたい
84〔宇賀先生の復活〕
宇賀先生が復活した。
喜ばしいことなんだろうけど、ちょっとは複雑な気持ち。
宇賀先生は、今月の初めにグラウンドの線引きを体育委員の子とやっていて、風で飛んできたカラーコーンが顔に当たって何針も縫う大怪我をした。生徒に当たりそうになったのを庇っての大怪我。
麻衣が「やめた方がいい」と言うのを美枝とゆかりと三人で見舞いに行って後悔した。先生の顔はパンパンに腫れてたんだ。
昨日は腫れこそは引いてたけど、右のコメカミからほっぺたにかけての傷がとても痛々しい。先生は、その傷を隠そうともせずに、いつものポニーテール。
「ごめん。見てる方が不愉快だと思うんだけど、あたしは隠したくないの……まあ、ちょっとずつ治ってくるから、しばらく辛抱してね……いや、ほんとに。今は整形とかも進んでるから、一年もかけたら元の顔にもどるよ……うん、あたしだって、恋人作って結婚したいしね!」
少しほぐれた。
だけど、いつもだったら「ほんとは、もうカレ居るんじゃないの?」「男のお見舞いさばききれないから退院したんじゃね?」とかチャチャ入れるヤンチャたちが黙ってる。先生が精一杯だというのも分かってるし、あの傷は跡が残るいうこと、バカな高二でも分かる。女同士、やっぱりまともには見られないというのが正直なとこ。
で、先生は、それ以上傷の話題には触れずに授業に入った。授業は気合いが入ってた。平泳ぎ25メートルを五本もやらされてヘゲヘゲ。先生は庇われた体育委員の子に気遣いしてんのがよく分かった。暗くしてたら、その子はいたたまらないもんね。
いつものようにスッポンポンになって着替えるから麻衣が一番早いんだけど、今日は格別に早かった。
何かあるなと思って、AMY三人組(明日香・美枝・ゆかり)で見に行った。ちょうど体育の教官室から麻衣が出てきて、宇賀先生が嬉しそうな顔でお礼言ってた。
「「「何か先生にあげた!?」」」
三人で声をそろえて聞いた。
「なんでもないわよ」
麻衣らしくもない、ツンとすまして行こうとするから、うちらは呼び留めた。
「正直に言わんとコチョバシの刑だぞ」
「なに、コチョバシって?」
「やった方が早い」
ゆかりの一言で三人でコチョバシた。
「アハ、アハハ、アハハハ、ウキャキャキャ、ハヘハヘ、笑い死ぬう!」
麻衣は廊下に転がって、おパンツ見えるのも気にせんと笑い転げた。麻衣は笑い方までラテン系だ。
「言う言うからギブアップ、ギブアップ!」
「なんかブラジルのお土産?」
「にしては、時期が遅い」
「怪我のお守り、神田明神で買ってきたの!」
「麻衣、よく知ってたね!」
「明日香が教えてくれたんだよ」
ようやく乱れた制服を直しながら麻衣が言うんだけど、麻衣に神田明神のこと言ったっけ?
「あたしが?」
「電車は、降りなかったらどこまで行ってもダダだって。それで駅の案内とかいろいろ見たんだけどね。近場じゃ神田明神が一番の効き目。分かった?」
「あんたは、エライ! その偉さを讃えて、コチョバシ……」
「キャハハ、ギブギブ!」
コチョバシてもないのに麻衣は、笑いながら行ってしまった。
次のしょーもない数学の時間に考えた。
麻衣は知らない間に、あたしたちがコチョバシの刑ができるほどに親密になったいうこと。これは喜ばしい。そして見かけからは想像できないぐらいゲラだということ。あの子の見かけの清楚さとラテン系の明るいギャップは、なかなか面白い。
で、もう一つは反省。麻衣はブラジルから来た子なのに、ちゃんと調べて明神さまに行ってきたんだ。あたしは、朝の挨拶こそはしていくけど、しばらく、キチンとはお参りしてない。
それに、なんで神田明神のお守り? ブラジルだったら、カトリックなのに……思ってたら、先生にあてられてアタフタ。こっそり答え教えてくれたのも麻衣。
帰り道、久々にお賽銭入れて、キチンとお参りして帰った。
※ 主な登場人物
鈴木 明日香 明神男坂下に住む高校一年生
東風 爽子 明日香の学校の先生 国語 演劇部顧問
香里奈 部活の仲間
お父さん
お母さん 今日子
関根先輩 中学の先輩
美保先輩 田辺美保
馬場先輩 イケメンの美術部
佐渡くん 不登校ぎみの同級生
巫女さん
だんご屋のおばちゃん
さつき 将門の娘 滝夜叉姫
明菜 中学時代の友だち 千代田高校
美枝 二年生からのクラスメート
ゆかり 二年生からのクラスメート
新垣 麻衣 ブラジルからの転校生
84〔宇賀先生の復活〕
宇賀先生が復活した。
喜ばしいことなんだろうけど、ちょっとは複雑な気持ち。
宇賀先生は、今月の初めにグラウンドの線引きを体育委員の子とやっていて、風で飛んできたカラーコーンが顔に当たって何針も縫う大怪我をした。生徒に当たりそうになったのを庇っての大怪我。
麻衣が「やめた方がいい」と言うのを美枝とゆかりと三人で見舞いに行って後悔した。先生の顔はパンパンに腫れてたんだ。
昨日は腫れこそは引いてたけど、右のコメカミからほっぺたにかけての傷がとても痛々しい。先生は、その傷を隠そうともせずに、いつものポニーテール。
「ごめん。見てる方が不愉快だと思うんだけど、あたしは隠したくないの……まあ、ちょっとずつ治ってくるから、しばらく辛抱してね……いや、ほんとに。今は整形とかも進んでるから、一年もかけたら元の顔にもどるよ……うん、あたしだって、恋人作って結婚したいしね!」
少しほぐれた。
だけど、いつもだったら「ほんとは、もうカレ居るんじゃないの?」「男のお見舞いさばききれないから退院したんじゃね?」とかチャチャ入れるヤンチャたちが黙ってる。先生が精一杯だというのも分かってるし、あの傷は跡が残るいうこと、バカな高二でも分かる。女同士、やっぱりまともには見られないというのが正直なとこ。
で、先生は、それ以上傷の話題には触れずに授業に入った。授業は気合いが入ってた。平泳ぎ25メートルを五本もやらされてヘゲヘゲ。先生は庇われた体育委員の子に気遣いしてんのがよく分かった。暗くしてたら、その子はいたたまらないもんね。
いつものようにスッポンポンになって着替えるから麻衣が一番早いんだけど、今日は格別に早かった。
何かあるなと思って、AMY三人組(明日香・美枝・ゆかり)で見に行った。ちょうど体育の教官室から麻衣が出てきて、宇賀先生が嬉しそうな顔でお礼言ってた。
「「「何か先生にあげた!?」」」
三人で声をそろえて聞いた。
「なんでもないわよ」
麻衣らしくもない、ツンとすまして行こうとするから、うちらは呼び留めた。
「正直に言わんとコチョバシの刑だぞ」
「なに、コチョバシって?」
「やった方が早い」
ゆかりの一言で三人でコチョバシた。
「アハ、アハハ、アハハハ、ウキャキャキャ、ハヘハヘ、笑い死ぬう!」
麻衣は廊下に転がって、おパンツ見えるのも気にせんと笑い転げた。麻衣は笑い方までラテン系だ。
「言う言うからギブアップ、ギブアップ!」
「なんかブラジルのお土産?」
「にしては、時期が遅い」
「怪我のお守り、神田明神で買ってきたの!」
「麻衣、よく知ってたね!」
「明日香が教えてくれたんだよ」
ようやく乱れた制服を直しながら麻衣が言うんだけど、麻衣に神田明神のこと言ったっけ?
「あたしが?」
「電車は、降りなかったらどこまで行ってもダダだって。それで駅の案内とかいろいろ見たんだけどね。近場じゃ神田明神が一番の効き目。分かった?」
「あんたは、エライ! その偉さを讃えて、コチョバシ……」
「キャハハ、ギブギブ!」
コチョバシてもないのに麻衣は、笑いながら行ってしまった。
次のしょーもない数学の時間に考えた。
麻衣は知らない間に、あたしたちがコチョバシの刑ができるほどに親密になったいうこと。これは喜ばしい。そして見かけからは想像できないぐらいゲラだということ。あの子の見かけの清楚さとラテン系の明るいギャップは、なかなか面白い。
で、もう一つは反省。麻衣はブラジルから来た子なのに、ちゃんと調べて明神さまに行ってきたんだ。あたしは、朝の挨拶こそはしていくけど、しばらく、キチンとはお参りしてない。
それに、なんで神田明神のお守り? ブラジルだったら、カトリックなのに……思ってたら、先生にあてられてアタフタ。こっそり答え教えてくれたのも麻衣。
帰り道、久々にお賽銭入れて、キチンとお参りして帰った。
※ 主な登場人物
鈴木 明日香 明神男坂下に住む高校一年生
東風 爽子 明日香の学校の先生 国語 演劇部顧問
香里奈 部活の仲間
お父さん
お母さん 今日子
関根先輩 中学の先輩
美保先輩 田辺美保
馬場先輩 イケメンの美術部
佐渡くん 不登校ぎみの同級生
巫女さん
だんご屋のおばちゃん
さつき 将門の娘 滝夜叉姫
明菜 中学時代の友だち 千代田高校
美枝 二年生からのクラスメート
ゆかり 二年生からのクラスメート
新垣 麻衣 ブラジルからの転校生
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる