46 / 230
46『荒ぶるブリュンヒルデ!』
しおりを挟む
RE・かの世界この世界
46『荒ぶるブリュンヒルデ!』テル
待てっ!!
タングリスがイグニッションを押そうとした時、凛として制止の声があがった。
え?
それがブリの声だと脳みそが理解するのに数秒を要した。いつもの気まぐれで小学生気分が抜けない中坊のようなブリではなかった。凛とした声に瞬時戸惑ったが、身を乗り出したブリの表情は幼いながらも天晴れヴァルキリアの姫騎士のそれであった( ゚Д゚)!
驚く間もなくブリは続ける。
「禍々しいものがやってくるぞ!」
そう続けてペリスコープに食らいつくブリ。
タングリスもキューポラの八つあるペリスコープを舐めるように確認した。
「「あれは……!?」」
発見の声は主従同時だ。
「おまえたちも見ろ」
促されて、わたしもケイトとペリスコープに食らいついた。
なんだ、あれは……(°д°)?
それは、数千個の泡が緩く集合してボンヤリと人型になったものだ。
蚊柱の一匹一匹が蚊ではなく泡粒なのだと言ったら分かるだろうか……それが身の丈五十メートルほどになってやってくるのだ。
「確認だ!」
ブリがキューポラから飛び出し、わたしたちも続いた。
「伏せろ!」
「イテ!」
ボンヤリ出てきたケイトがブリに押さえつけられる。
寝ていた時はケイトと似た者同士に見えたが、文字通り覚醒すると、その差は歴然だ。
「……シリンダーが融合しかかっているんだ」
数秒観察してブリが結論を出した。
泡粒に見えたのはシリンダーだった。
一つ一つのシリンダーは融合の中心から逃れようとしているのだが、引力が強すぎて逃れられないロケットのように放物線を描いて引き戻され、少し力の強い個体は人工衛星のように融合体の周囲を回っている。引力に逆らって逃げおおせている者は、ほんの僅かだ。
「結合体以上のものになりかかっている」
ムヘンの南半分、ブリと囚人地区を出ようとして散々悩まされたのがシリンダーの結合体だ。
数百のシリンダーが縦に結合して無数に繋がったダンゴのようになって、次々に襲い掛かって来た。
シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ
シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ
シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ
ムヘンの流刑地ではブリの結界で身を隠し、タングリスとタングニョ-ストが操縦する超重戦車ラーテに助けられた。あの時の結合体の三乗倍も禍々しい。
「逃げます!」
タングリスが促した。
「いや、成敗する!」
ブリは、スックと砲塔の上に立ち上がり、拳を天に突き上げた!
「姫! ブリュンヒルデ姫!」
禁じられたはずの真名で制止するタングニョースト!
「完全に融合してしまっては手に負えなくなるぞ、今なら倒せる!」
ブリのツインテールが光を帯びて生き物のように融合体目がけて伸びていく!
ブリュンブリュン! ブリュンブリュン!
これまでの戦闘でツインテールの威力は知っているつもりだったが、いま目にしているものは次元が違った。
『中二病でも恋がしたい!』の凸守早苗を思い出したが、その勇姿と威力は遥かにその上をいく!
って……なんのことだ? いきなり別人格が湧き出たような気がしたが、直ぐに小早川照姫の意識に戻った。
荒々しくうねるツインテールは、もはや独立したモンスターだ!
ブリは、そのモンスターを操る荒ぶる神だ!
グギギギ…………ブリュン!!
ツインテールが撓ったかと思うと、パチンコのゴムのようになってブリを空中に打ち出した!
いや、ブリが突出してツインテールを従えているのだ!
シリシリ シリン!
融合体は、それに気づいて、体ごとこちらを志向し始めた。
「我々も続こう!」
「うん!」
「おお!」
わたしたち三人も続いてジャンプした!
☆ ステータス
HP:500 MP:500 属性:剣士=テル 弓兵=ケイト
持ち物:ポーション・15 マップ:2 金の針:5 所持金:5000ギル
装備:剣士の装備レベル5(トールソード) 弓兵の装備レベル5(トールボウ)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ
ブリ(ブリュンヒルデ) 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘
グリ(タングリス) トール元帥の副官 タングニョーストと共にブリの世話係
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
46『荒ぶるブリュンヒルデ!』テル
待てっ!!
タングリスがイグニッションを押そうとした時、凛として制止の声があがった。
え?
それがブリの声だと脳みそが理解するのに数秒を要した。いつもの気まぐれで小学生気分が抜けない中坊のようなブリではなかった。凛とした声に瞬時戸惑ったが、身を乗り出したブリの表情は幼いながらも天晴れヴァルキリアの姫騎士のそれであった( ゚Д゚)!
驚く間もなくブリは続ける。
「禍々しいものがやってくるぞ!」
そう続けてペリスコープに食らいつくブリ。
タングリスもキューポラの八つあるペリスコープを舐めるように確認した。
「「あれは……!?」」
発見の声は主従同時だ。
「おまえたちも見ろ」
促されて、わたしもケイトとペリスコープに食らいついた。
なんだ、あれは……(°д°)?
それは、数千個の泡が緩く集合してボンヤリと人型になったものだ。
蚊柱の一匹一匹が蚊ではなく泡粒なのだと言ったら分かるだろうか……それが身の丈五十メートルほどになってやってくるのだ。
「確認だ!」
ブリがキューポラから飛び出し、わたしたちも続いた。
「伏せろ!」
「イテ!」
ボンヤリ出てきたケイトがブリに押さえつけられる。
寝ていた時はケイトと似た者同士に見えたが、文字通り覚醒すると、その差は歴然だ。
「……シリンダーが融合しかかっているんだ」
数秒観察してブリが結論を出した。
泡粒に見えたのはシリンダーだった。
一つ一つのシリンダーは融合の中心から逃れようとしているのだが、引力が強すぎて逃れられないロケットのように放物線を描いて引き戻され、少し力の強い個体は人工衛星のように融合体の周囲を回っている。引力に逆らって逃げおおせている者は、ほんの僅かだ。
「結合体以上のものになりかかっている」
ムヘンの南半分、ブリと囚人地区を出ようとして散々悩まされたのがシリンダーの結合体だ。
数百のシリンダーが縦に結合して無数に繋がったダンゴのようになって、次々に襲い掛かって来た。
シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ
シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ
シリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリシリ
ムヘンの流刑地ではブリの結界で身を隠し、タングリスとタングニョ-ストが操縦する超重戦車ラーテに助けられた。あの時の結合体の三乗倍も禍々しい。
「逃げます!」
タングリスが促した。
「いや、成敗する!」
ブリは、スックと砲塔の上に立ち上がり、拳を天に突き上げた!
「姫! ブリュンヒルデ姫!」
禁じられたはずの真名で制止するタングニョースト!
「完全に融合してしまっては手に負えなくなるぞ、今なら倒せる!」
ブリのツインテールが光を帯びて生き物のように融合体目がけて伸びていく!
ブリュンブリュン! ブリュンブリュン!
これまでの戦闘でツインテールの威力は知っているつもりだったが、いま目にしているものは次元が違った。
『中二病でも恋がしたい!』の凸守早苗を思い出したが、その勇姿と威力は遥かにその上をいく!
って……なんのことだ? いきなり別人格が湧き出たような気がしたが、直ぐに小早川照姫の意識に戻った。
荒々しくうねるツインテールは、もはや独立したモンスターだ!
ブリは、そのモンスターを操る荒ぶる神だ!
グギギギ…………ブリュン!!
ツインテールが撓ったかと思うと、パチンコのゴムのようになってブリを空中に打ち出した!
いや、ブリが突出してツインテールを従えているのだ!
シリシリ シリン!
融合体は、それに気づいて、体ごとこちらを志向し始めた。
「我々も続こう!」
「うん!」
「おお!」
わたしたち三人も続いてジャンプした!
☆ ステータス
HP:500 MP:500 属性:剣士=テル 弓兵=ケイト
持ち物:ポーション・15 マップ:2 金の針:5 所持金:5000ギル
装備:剣士の装備レベル5(トールソード) 弓兵の装備レベル5(トールボウ)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ
ブリ(ブリュンヒルデ) 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘
グリ(タングリス) トール元帥の副官 タングニョーストと共にブリの世話係
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました!
【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】
皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました!
本当に、本当にありがとうございます!
皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。
市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です!
【作品紹介】
欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。
だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。
彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。
【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc.
その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。
欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。
気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる!
【書誌情報】
タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』
著者: よっしぃ
イラスト: 市丸きすけ 先生
出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる