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96『ノルデングランドホテル』
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RE・かの世界この世界
96『ノルデングランドホテル』テル
名は体を表さない宿だ。
ノルデングランドホテルはいわゆるラブホテルだ。お城風の三階建ては三流映画のセットのようにチャッチイ。一見味のある石造りで、風雪によって風化しかけた趣があるが、手で触れると発泡スチロールに泥絵の具を塗りたくっただけのものだ。
「なんだか遊園地のお化け屋敷のようだな」
「マーケットで出た発泡スチロールを砕いて貼り付けてあるんです、剥がれたら、その都度貼り付けて塗装をしています。こういうところにお金を掛けない分、料金は安いんですね、アハハ(^_^;)」
頭を掻きながらヤコブが言い訳をする。
「こういうホテルってフロントが無くて、自販機みたいなところからキーが出てくるんだぞ……無機質なところが闇に通じる」
ヒルデは意外にツボにはまっているようだ。タングリスは憮然とし、ケイトとロキはワクワク、ポチはロキの肩に掴まったまま動かない。
いらっしゃいませぇ。
え!?
自販機めいたのが喋った!?
なんと、機械が故障しているようで、パネルの横に鍵束を持ったオヤジが立っているではないか。
「申し訳ありません、二名様と三名様に分かれてのお泊りになります」
「なんでだよ、連絡した時は全員個室だって!」
「すまん、ヤコブ。西部戦線が片付いたんで、うちみたいなところにも予約が一杯になってなあ。あ、もしヤコブも泊まることになったら布団部屋に入ってもらうしかないぞ」
「オレは四号の修理がある、みなさん、一晩の事なんで、どうかご辛抱ください。では、鍵をどうぞ」
二つのキーを渡すとオヤジはスタッフオンリーの部屋に戻っていった。
ロキとケイトにポチで一部屋、もう一部屋をタングリスとヒルデとわたしで使うことになった。
「ふ、風呂がガラス張りだぞ……」
ヒルデがたじろいだ。
女同士、気を使わなくていいじゃないかと慰めるが、元来が姫君、首を縦に振らない。ヒルデを先に入れて、その間部屋を出ているという選択肢もあるのだが、タングリスは斟酌しようとはしない。
「女同士です、いっしょに入りましょう」
なるほど、これなら外から見られて恥じらうこともない。
入ってみると、この種のホテルの仕掛けが気に入るヒルデだ。
風呂からテレビが見れるぞ! オー、泡のジェット噴射で気持ちいい! なんで風呂に滑り台がある!? 水鉄砲があるぞ! 子どものようで見ていて飽きない(^_^;)。
タングリスの裸には驚いた。美人でプロポーション抜群なのは分かっていたが、軍人らしく引き締まった身体にきめの細かい肌が微妙にアンバランス。いや、アンバランスと言っても美しさのアンバランス。なんだろう、この見とれてしまう感覚は? そうだ、形容すると「おいしそう」というのがピッタリして、ドキドキしてくる。
「おいしそうという感覚は間違ってないぞ、ハハハ、そんなにうろたえるな」
「殿下」
ヒルデが混ぜっ返し、タングリスがたしなめる。
「先にあがります」
タングリスがあがると、ガラスの向こうに所在なげなケイトが見えた。肩にポチを載せている。
「あっちでは入りにくいので、こちらの風呂を使わせて欲しいそうです」
タングリスの解説でケイトが入って来る。なるほど、ロキがいっしょでは入りにくいだろう。
「おー、水鉄砲も滑り台もあるし、遊んでいけ(^▽^)/」
ヒルデはすっかり寛いでいる。
明日はいよいよムヘンともお別れだ。海を渡って、行くべき進路は二通り……ま、それは明日考えよう、タングリスもブリュンヒルデも口にはしないのだから……。
☆ ステータス
HP:9000 MP:100 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・60 マップ:5 金の針:0 所持金:1500ギル(リポ払い残高34400ギル)
装備:剣士の装備レベル25(トールソード) 弓兵の装備レベル25(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
96『ノルデングランドホテル』テル
名は体を表さない宿だ。
ノルデングランドホテルはいわゆるラブホテルだ。お城風の三階建ては三流映画のセットのようにチャッチイ。一見味のある石造りで、風雪によって風化しかけた趣があるが、手で触れると発泡スチロールに泥絵の具を塗りたくっただけのものだ。
「なんだか遊園地のお化け屋敷のようだな」
「マーケットで出た発泡スチロールを砕いて貼り付けてあるんです、剥がれたら、その都度貼り付けて塗装をしています。こういうところにお金を掛けない分、料金は安いんですね、アハハ(^_^;)」
頭を掻きながらヤコブが言い訳をする。
「こういうホテルってフロントが無くて、自販機みたいなところからキーが出てくるんだぞ……無機質なところが闇に通じる」
ヒルデは意外にツボにはまっているようだ。タングリスは憮然とし、ケイトとロキはワクワク、ポチはロキの肩に掴まったまま動かない。
いらっしゃいませぇ。
え!?
自販機めいたのが喋った!?
なんと、機械が故障しているようで、パネルの横に鍵束を持ったオヤジが立っているではないか。
「申し訳ありません、二名様と三名様に分かれてのお泊りになります」
「なんでだよ、連絡した時は全員個室だって!」
「すまん、ヤコブ。西部戦線が片付いたんで、うちみたいなところにも予約が一杯になってなあ。あ、もしヤコブも泊まることになったら布団部屋に入ってもらうしかないぞ」
「オレは四号の修理がある、みなさん、一晩の事なんで、どうかご辛抱ください。では、鍵をどうぞ」
二つのキーを渡すとオヤジはスタッフオンリーの部屋に戻っていった。
ロキとケイトにポチで一部屋、もう一部屋をタングリスとヒルデとわたしで使うことになった。
「ふ、風呂がガラス張りだぞ……」
ヒルデがたじろいだ。
女同士、気を使わなくていいじゃないかと慰めるが、元来が姫君、首を縦に振らない。ヒルデを先に入れて、その間部屋を出ているという選択肢もあるのだが、タングリスは斟酌しようとはしない。
「女同士です、いっしょに入りましょう」
なるほど、これなら外から見られて恥じらうこともない。
入ってみると、この種のホテルの仕掛けが気に入るヒルデだ。
風呂からテレビが見れるぞ! オー、泡のジェット噴射で気持ちいい! なんで風呂に滑り台がある!? 水鉄砲があるぞ! 子どものようで見ていて飽きない(^_^;)。
タングリスの裸には驚いた。美人でプロポーション抜群なのは分かっていたが、軍人らしく引き締まった身体にきめの細かい肌が微妙にアンバランス。いや、アンバランスと言っても美しさのアンバランス。なんだろう、この見とれてしまう感覚は? そうだ、形容すると「おいしそう」というのがピッタリして、ドキドキしてくる。
「おいしそうという感覚は間違ってないぞ、ハハハ、そんなにうろたえるな」
「殿下」
ヒルデが混ぜっ返し、タングリスがたしなめる。
「先にあがります」
タングリスがあがると、ガラスの向こうに所在なげなケイトが見えた。肩にポチを載せている。
「あっちでは入りにくいので、こちらの風呂を使わせて欲しいそうです」
タングリスの解説でケイトが入って来る。なるほど、ロキがいっしょでは入りにくいだろう。
「おー、水鉄砲も滑り台もあるし、遊んでいけ(^▽^)/」
ヒルデはすっかり寛いでいる。
明日はいよいよムヘンともお別れだ。海を渡って、行くべき進路は二通り……ま、それは明日考えよう、タングリスもブリュンヒルデも口にはしないのだから……。
☆ ステータス
HP:9000 MP:100 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・60 マップ:5 金の針:0 所持金:1500ギル(リポ払い残高34400ギル)
装備:剣士の装備レベル25(トールソード) 弓兵の装備レベル25(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:ブロンズヒール(ケイト) ブロンズスプラッシュ(テル)
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ケイト(小山内健人) 照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
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タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
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二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
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