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111『歓迎式典』
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RE・かの世界この世界
111『歓迎式典』タングリス
ベイクイーンのユーリアが笑顔で歓迎の花束を船長に捧げ、波止場に拍手が満ちて歓迎式典が始まる。
わずかに残っていた霧もきれいに、それこそ霧消して、山の端の緑が空の青さに映える。ブラスバンドは軍の栄誉礼で流すような、ゆったりとしながらも清々しい曲を奏で、傷ついたシュネービットヘンを癒してくれる。
緊急避難と修理の為の入港なのだが、ヘルムは最大の敬意と親しみで出迎えてくれている。戦ばかりのオーディンの版図にありながら曲芸のように独立を保つことの難しさの現われなのだろうが、島の住人たちの明るさと礼節の有り方に好感を持つ。
ユーリアは岸壁の中央に設えられた雛壇の玉座に収まって、その玉座の前にとっかえひっかえエライサンが出てきては挨拶する。ヘルム島副首相 ヘルム議会議長 ヘルム裁判所長官 ヘルム警察庁長官 ヘルム商工会議所会頭……などなど。
長くなってはたまらんと思ったが、それぞれ長くとも一分ほどのスピーチで助かった。
スピーチの前と後にきちんとユーリアに敬礼する。なんだか本物のクイーンのようだ。ただの観光や親善のための役割としては大げさな気がしないでもないが、答礼するユーリアの所作もなかなか堂にいっていて気持ちのいいものだ。
プロジェクターにも、ときどきクイーンの様子がアップされる。そのたびに姫が対抗心剥き出しの目になるのが面白い。
式典の最後に復員兵たちの寄宿舎が紹介され、警察が先導して、そちらに向かった。我々はヤコブ伍長の手配もあって、四号に乗ったままヤコブの家を目指すことになった。
シュネーヴィットヘンには島の水先案内人が乗り込み、タグボートに介助されて一キロほど離れたドッグに向かっていった。
ゲートを出て二キロほどです。
ヤコブ伍長が地図を広げて港のゲートからヤコブの家までをなぞった。
「とくに気を付けなければならない交通規則とかは無いのか?」
初めての土地なので、操縦手としては気になる。
「……子どもですかねえ。島の子は戦車なんて見たこともありませんから、間近で見ようと飛び出してくるのがいるかもしれません」
なるほど、接岸の時も幼稚園児が飛び出して一騒動になったところだ。
「みんな、警戒をおこたらないように」
「「「「ラジャー(^^ゞ」」」」
元気な声が返って来る。注意するまでもなく、乗員たちも島が珍しく、車外に全身を晒したり、ハッチから半身を出して景色を楽しんでいる。
オーディン神国とちがって戦火にまみれたことのないヘルムは長閑だ。
「オーディンの四号戦車だ、ゲートを開けてくれ」
眼鏡のガードマンに頼む……が、ガードマンは椅子に座ったまま身じろぎもしない。
「警備員、聞こえないのか!」
気の短い姫の声が尖がる。
「任せてください……」
ヤコブが下りてガードマンの前に立つ、何をするのかと思ったら、そっと奴の眼鏡を外した。
「「「「「あ!?」」」」」
驚いた、目をつぶって寝ているではないか。眼鏡のレンズにはパッチリ開けた目がプリントされていて、パッと見には分からない。
「あ、いや、これはすみまっしぇん(;'∀')」
目覚めたガードマンは素っ頓狂な声をあげてゲートを開けてくれる。
いやはや、我らの国ならば懲戒ものだ。
ギギー!
ゲートを出て大通りに出たところで急ブレーキを踏んだ!
急に短パンの少女が飛び出してきたのだ。
25トンの四号がつんのめり、車外に出ていた乗員は振り落とされそうになる。
「家まで載せてって!」
しゃあしゃあと満面の笑顔でのたまうのはバイト帰りのような少女だ!
「ユーリア!」
ヤコブが声をあげる。
え……!?
そいつが、さっきまですまし顔で玉座に収まっていたクィーンだとはすぐには分からなかった……。
☆ ステータス
HP:13000 MP:150 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・80 マップ:8 金の針:0 所持金:5500ギル(リポ払い残高29000ギル)
装備:剣士の装備レベル30(トールソード) 弓兵の装備レベル29(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:シルバーヒール(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
111『歓迎式典』タングリス
ベイクイーンのユーリアが笑顔で歓迎の花束を船長に捧げ、波止場に拍手が満ちて歓迎式典が始まる。
わずかに残っていた霧もきれいに、それこそ霧消して、山の端の緑が空の青さに映える。ブラスバンドは軍の栄誉礼で流すような、ゆったりとしながらも清々しい曲を奏で、傷ついたシュネービットヘンを癒してくれる。
緊急避難と修理の為の入港なのだが、ヘルムは最大の敬意と親しみで出迎えてくれている。戦ばかりのオーディンの版図にありながら曲芸のように独立を保つことの難しさの現われなのだろうが、島の住人たちの明るさと礼節の有り方に好感を持つ。
ユーリアは岸壁の中央に設えられた雛壇の玉座に収まって、その玉座の前にとっかえひっかえエライサンが出てきては挨拶する。ヘルム島副首相 ヘルム議会議長 ヘルム裁判所長官 ヘルム警察庁長官 ヘルム商工会議所会頭……などなど。
長くなってはたまらんと思ったが、それぞれ長くとも一分ほどのスピーチで助かった。
スピーチの前と後にきちんとユーリアに敬礼する。なんだか本物のクイーンのようだ。ただの観光や親善のための役割としては大げさな気がしないでもないが、答礼するユーリアの所作もなかなか堂にいっていて気持ちのいいものだ。
プロジェクターにも、ときどきクイーンの様子がアップされる。そのたびに姫が対抗心剥き出しの目になるのが面白い。
式典の最後に復員兵たちの寄宿舎が紹介され、警察が先導して、そちらに向かった。我々はヤコブ伍長の手配もあって、四号に乗ったままヤコブの家を目指すことになった。
シュネーヴィットヘンには島の水先案内人が乗り込み、タグボートに介助されて一キロほど離れたドッグに向かっていった。
ゲートを出て二キロほどです。
ヤコブ伍長が地図を広げて港のゲートからヤコブの家までをなぞった。
「とくに気を付けなければならない交通規則とかは無いのか?」
初めての土地なので、操縦手としては気になる。
「……子どもですかねえ。島の子は戦車なんて見たこともありませんから、間近で見ようと飛び出してくるのがいるかもしれません」
なるほど、接岸の時も幼稚園児が飛び出して一騒動になったところだ。
「みんな、警戒をおこたらないように」
「「「「ラジャー(^^ゞ」」」」
元気な声が返って来る。注意するまでもなく、乗員たちも島が珍しく、車外に全身を晒したり、ハッチから半身を出して景色を楽しんでいる。
オーディン神国とちがって戦火にまみれたことのないヘルムは長閑だ。
「オーディンの四号戦車だ、ゲートを開けてくれ」
眼鏡のガードマンに頼む……が、ガードマンは椅子に座ったまま身じろぎもしない。
「警備員、聞こえないのか!」
気の短い姫の声が尖がる。
「任せてください……」
ヤコブが下りてガードマンの前に立つ、何をするのかと思ったら、そっと奴の眼鏡を外した。
「「「「「あ!?」」」」」
驚いた、目をつぶって寝ているではないか。眼鏡のレンズにはパッチリ開けた目がプリントされていて、パッと見には分からない。
「あ、いや、これはすみまっしぇん(;'∀')」
目覚めたガードマンは素っ頓狂な声をあげてゲートを開けてくれる。
いやはや、我らの国ならば懲戒ものだ。
ギギー!
ゲートを出て大通りに出たところで急ブレーキを踏んだ!
急に短パンの少女が飛び出してきたのだ。
25トンの四号がつんのめり、車外に出ていた乗員は振り落とされそうになる。
「家まで載せてって!」
しゃあしゃあと満面の笑顔でのたまうのはバイト帰りのような少女だ!
「ユーリア!」
ヤコブが声をあげる。
え……!?
そいつが、さっきまですまし顔で玉座に収まっていたクィーンだとはすぐには分からなかった……。
☆ ステータス
HP:13000 MP:150 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・80 マップ:8 金の針:0 所持金:5500ギル(リポ払い残高29000ギル)
装備:剣士の装備レベル30(トールソード) 弓兵の装備レベル29(トールボウ)
憶えたオーバードライブ:シルバーヒール(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
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テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) 今度の世界の小早川照姫の幼なじみ 異世界のペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 タングニョーストと共にラーテの搭乗員 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 タングリスと共にラーテの搭乗員 ノルデン鉄橋で辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ ロキたちが飼っていたシリンダーの幼体
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二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
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