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157『ポチからポナへ』
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RE・かの世界この世界
157『ポチからポナへ』ポチ
目標って……?
直球過ぎたのか、フェンリル二世はゴクンと息をのんだ。
ヘタに答えると、その答えに質問が出てきて、その質問に答えると、さらに質問が出てくるという質問のラビリンスに落ち込みそうな顔をしている。まあ、仕方がない。わたしは、なんとしてもカテンの森のみんなのところに戻るんだから、フェンリル二世の目標を確かめても仕方のないことなんだ。
「えーと……ユグドラシルを救うのが目標……的な?」
「ありがとう、答えにくそうな質問に答えてくれて」
「きちんと答えようと思ったら、明日の朝くらいまでかかりそうなんでね」
「いいわよ、わたしも明日の朝くらいまでには戻りたいから」
「そうだね、戻れるように知恵を絞ろう……伏せて!」
「どうしたの?」
「半神の使い魔が……」
這いつくばって息をひそめると、地面が振動し始めた。
……グゴゴゴゴゴ グゴゴゴゴゴゴ
「きみ、空を飛べる?」
飛べるんだけど、シリンダーの変異体ぽいので返事ができない。彼とは正体を知られないうちに分かれたかった。
「じゃ、しっかりぼくに掴まって!」
胴にまわされた手に力が入って体が密着する。オオカミ族だけあって意外に筋肉質!
ドギマギしたのは一瞬で、直ぐに舞い上がって、反射的に狼王子の首にしがみ付く。
あたしを抱えたまま、彼は空中で一周する。
逃げる方向を探っているんだ。
一周する間、石が砕けた時のようなキナ臭さが鼻を突く。
「こっちだ!」
弾かれたように後ろ斜め上に移動。
バチーーーン!!
今まで居た空間で軽自動車ほどの岩同士が激突して、火花を発してバラバラになって落ちて行った。コンマ5秒遅れていたら、岩に挟まれてペシャンコになっていた!
ブン! ビュン! ビュビュン!
次々に唸りを上げて石やら岩やらが飛んでくる。狼王子は器用に躱すんだけど、逃げる方向が定まらない。
「岩が使い魔なの!?」
「半神はなんでも使い魔にする。なあに、飛んでいれば隙が見つかる……っさ!」
ブン!
唸りを上げて岩が間近を通り過ぎていく。いっしゅん目をつぶってしまい、目を開けた時に彼の頬に一文字の切り傷が走っていた。
「魔石を投げるから、考えられるだけの破壊力を籠めて!」
「う、うん」
魔石を握った彼の拳に想いを籠める!
「いくよ!」
「うん!」
「トーーーーー!!」
わたしを抱えているから、弱いスイングだったけど、思いのほかの勢いで魔法石が飛んだ!
ドッゴーーーーーーーン!!
太陽が爆発したのかと思った。
前の方にはポッカリと岩石たちの居ない空間が広がり、すかさず彼はブーストをかけて突き抜けた。
何十キロかを瞬くうちに飛んで、川のほとりに着地した。
「あんなに速く飛んだのは初めてだ」
「あ、ありがとう」
「何万て岩石が一瞬で蒸発した。きみの力がなきゃ逃げきれないところだった」
「とうぶん帰れそうにないかも……」
「協力して身を護っていこう」
「う、うん……それしかないかも。フェンリル二世」
「フェンでいいよ」
「フェン?」
「キミのことは、なんて呼んだらいい?」
ポチとは言えない。
「ポ……ポナ」
チからチョボ一つ取って、少しだけ女の子らしく言ってみた。
「ポナ……うん、いい名前じゃないか!」
子供のような笑顔でフェンリル二世……フェンは喜んでくれた。
☆ ステータス
HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・900 マップ:12 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
スプラッシュテール(ブリュンヒルデ) 空蝉(ポチ)
☆ 主な登場人物
―― かの世界 ――
テル(寺井光子) 二年生 今度の世界では小早川照姫
ケイト(小山内健人) テルの幼なじみ ペギーにケイトに変えられる
ブリュンヒルデ 無辺街道でいっしょになった主神オーディンの娘の姫騎士
タングリス トール元帥の副官 ブリの世話係
タングニョースト トール元帥の副官 辺境警備隊に転属
ロキ ヴァイゼンハオスの孤児
ポチ シリンダーの幼体 82回目に1/6サイズの人形に擬態
ペギー 荒れ地の万屋
ユーリア ヘルム島の少女
ナフタリン ユグドラシルのメッセンジャー族ラタトスクの生き残り
フェンリル二世 狼族の王子
―― この世界 ――
二宮冴子 二年生 不幸な事故で光子に殺される 回避しようとすれば光子の命が無い
中臣美空 三年生 セミロングで『かの世部』部長
志村時美 三年生 ポニテの『かの世部』副部長
157『ポチからポナへ』ポチ
目標って……?
直球過ぎたのか、フェンリル二世はゴクンと息をのんだ。
ヘタに答えると、その答えに質問が出てきて、その質問に答えると、さらに質問が出てくるという質問のラビリンスに落ち込みそうな顔をしている。まあ、仕方がない。わたしは、なんとしてもカテンの森のみんなのところに戻るんだから、フェンリル二世の目標を確かめても仕方のないことなんだ。
「えーと……ユグドラシルを救うのが目標……的な?」
「ありがとう、答えにくそうな質問に答えてくれて」
「きちんと答えようと思ったら、明日の朝くらいまでかかりそうなんでね」
「いいわよ、わたしも明日の朝くらいまでには戻りたいから」
「そうだね、戻れるように知恵を絞ろう……伏せて!」
「どうしたの?」
「半神の使い魔が……」
這いつくばって息をひそめると、地面が振動し始めた。
……グゴゴゴゴゴ グゴゴゴゴゴゴ
「きみ、空を飛べる?」
飛べるんだけど、シリンダーの変異体ぽいので返事ができない。彼とは正体を知られないうちに分かれたかった。
「じゃ、しっかりぼくに掴まって!」
胴にまわされた手に力が入って体が密着する。オオカミ族だけあって意外に筋肉質!
ドギマギしたのは一瞬で、直ぐに舞い上がって、反射的に狼王子の首にしがみ付く。
あたしを抱えたまま、彼は空中で一周する。
逃げる方向を探っているんだ。
一周する間、石が砕けた時のようなキナ臭さが鼻を突く。
「こっちだ!」
弾かれたように後ろ斜め上に移動。
バチーーーン!!
今まで居た空間で軽自動車ほどの岩同士が激突して、火花を発してバラバラになって落ちて行った。コンマ5秒遅れていたら、岩に挟まれてペシャンコになっていた!
ブン! ビュン! ビュビュン!
次々に唸りを上げて石やら岩やらが飛んでくる。狼王子は器用に躱すんだけど、逃げる方向が定まらない。
「岩が使い魔なの!?」
「半神はなんでも使い魔にする。なあに、飛んでいれば隙が見つかる……っさ!」
ブン!
唸りを上げて岩が間近を通り過ぎていく。いっしゅん目をつぶってしまい、目を開けた時に彼の頬に一文字の切り傷が走っていた。
「魔石を投げるから、考えられるだけの破壊力を籠めて!」
「う、うん」
魔石を握った彼の拳に想いを籠める!
「いくよ!」
「うん!」
「トーーーーー!!」
わたしを抱えているから、弱いスイングだったけど、思いのほかの勢いで魔法石が飛んだ!
ドッゴーーーーーーーン!!
太陽が爆発したのかと思った。
前の方にはポッカリと岩石たちの居ない空間が広がり、すかさず彼はブーストをかけて突き抜けた。
何十キロかを瞬くうちに飛んで、川のほとりに着地した。
「あんなに速く飛んだのは初めてだ」
「あ、ありがとう」
「何万て岩石が一瞬で蒸発した。きみの力がなきゃ逃げきれないところだった」
「とうぶん帰れそうにないかも……」
「協力して身を護っていこう」
「う、うん……それしかないかも。フェンリル二世」
「フェンでいいよ」
「フェン?」
「キミのことは、なんて呼んだらいい?」
ポチとは言えない。
「ポ……ポナ」
チからチョボ一つ取って、少しだけ女の子らしく言ってみた。
「ポナ……うん、いい名前じゃないか!」
子供のような笑顔でフェンリル二世……フェンは喜んでくれた。
☆ ステータス
HP:13500 MP:180 属性:テル=剣士 ケイト=弓兵・ヒーラー
持ち物:ポーション・900 マップ:12 金の針:1000 その他:∞ 所持金:8000万ギル(リボ払い残高無し)
装備:剣士の装備レベル38(勇者の剣) 弓兵の装備レベル32(勇者の弓)
憶えたオーバードライブ:シルバーケアル(ケイト) シルバースプラッシュ(テル)
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